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Monophony  作者: はくの
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さて、準備はできた?

うん、私の目的のお手伝いをしてくれる?

「うん!」

そう言って僕は走り出していた。

僕は××の役に立ちたかったのだ。

その日はとてもそわそわしていた。

祭りの気分に浮かれていたのかもしれない。

祭りに行きたいと言ったら××は少し笑いながらいいよ、といって一緒に行ってくれた。

祭りは大盛況だった。

いつも疲れた顔をしていた住人たちが嬉しそうにしていた。

僕たちは人目を避けながら歩いた。

ここのところ雪が降り続き、歩き慣れない道に、配慮して××は休憩をとりながらゆっくり歩いていた。

賑やかな屋台。その光が、あまりにもまぶしかったから、僕は、その方向へ歩いて行った。

気づくと、周りは知らない人ばかりで××の姿が見えなくなっていた。

どうしよう、このまま会えないんじゃないか・・・そんなことが幼心に浮かんだ。

泣きながら歩き回ったのを覚えている。

周りは久しぶりの祭りごとに騒ぐ人たち。笑顔で通り過ぎていく人々。

「!」

××の声が聞こえた。

僕はすぐに振り向く。影の方へ僕を引っ張って行って、泣いてぐしゃぐしゃになった顔を拭いてくれた。

ごめんね、怖がらせてしまったね。

もう、離れたらいけないよ。

はい、と僕はうなずく。

それが、あまりにもしょげていたのか、

「まったく、好奇心旺盛なのね、あるなは」

あるな・・・そうだ、それが僕の名前だった。

そう思って××のことを振り返ったときに、花火の光で××がまぶしく見えた。

そんなケの日。

そしてめぐるハレの日。

また、いつものサイクルを繰りかえす。

僕は××の仕事を手伝っていた。

その仕事は不定期で、それまでは僕は調律の使用の練習をしている。

パロール。

発した言葉をもとにして世界に変革を与える魔法。

今まで僕がこなした仕事は1回だけだけどもう慣れというものを感じてしまう。いけないいけない、初心忘れるべからずだぞ、と自分に言い聞かせるとともに、自分が自分であるということを実感する。

さて、もうひと練習、と始めようとしたところに

「あるや、仕事があるの。来てくれる?」

と呼び出しが入った。


海の外壁へいって高い岩山を登ってきた。今回は深い森らしい。

けれど、僕たちが住んでいる島に深い森なんてあったっけ、とふと思った。

この場所だけが僕の世界。

今回は念入りに準備する必要があるわね、と××は言った。

なんでだろう、と思った。

僕たちの世界は、外壁で囲まれていて、それ以外の世界なんてない。

違うよ、あるや、と××は言った。

この世界はこの島だけではないよ。

島?それは百科事典で見たことがある。

そうか見せてなかったね、と彼女は世界地図というものを広げた。

今わかっているのはこれだけ・・・でもね、こんなに、広い。

その時の驚きは言葉に表されないものだ。

そうだ、僕は知識ばかりをみていてその世界というものを知らなかったのだ。


/世界は美しい。

僕はそんなことを知らなかったのだ。

・・・花を。色とりどりの花を。

鮮やかな色は僕の罪を消してくれるような気がする。


/この世界を歩くたびに私の身体は熱されるような痛みを感じる。

いや、違う。そう定め得られているだけだ。実際。私は手詰まりだ。私が設定したはずのシステムも壊れ始めている。偶然に巡ってきた出来事。いや、詳しく行けばただそれは当たり前に私に返ってくるものだったのだろうけど。私はこの機を逃してはいけないと、ただそれだけを考えていた。


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