ブサイクだけの愛の魔法
なんか本気で恋愛書いたら……ムカついてくるのは俺だけ?
俺が……ブサイクだ……と?
あり得ない。俺は全女子生徒中全てが振り返るほどにイケメン!であった俺がなぜ……。
な!ぜ!………。
クソデブになっているんだあああああああああああああああああああああああああ!!??
俺がこうなったのもあいつのせいに違いない。
高校生である俺は学校が終わり。何時ものように何を言っているか分からないが、俺に話し掛けようとするオドオドとした女を撒いて、喫茶店でコーヒタイムとしゃれこんでいた俺は。何時ものようにミルク多めのブラックではないブラックじゃないコーヒーを頼んでいた。
「すみません。コーヒーブラックでいつもの(ミルク多め)」
「はい。分かりまして。ブラックコーヒーでいつものですね?(ミルク多め)」
「お願いします」
かわうぃい女性店員にキザ風に頼んでいつものようにそのかわうぃい女性店員のハートを掴んだ俺は。満足したようにどっかりといつもの端にあるテーブル席を独占するようにどっさりと足を組みながら座っていた。
「あ、あの!」
「ん?」
俺はあのかわうぃい女性店員に注文をしているクソブサイク男の声に気が付いて思わず顔を振り向いて見た。
所謂……イタ服と言ったアニメキャラの魔法少女☆ミミカの世界抹殺けいかくぅ~~!!と有名な女の子キャラが真ん中にドカンと載っている服を着た男で、顔はあぶらぎっし、汗もこのクーラが絶妙に効いて丁度いい温度帯に関わらずダラダラと掻き。ここまで加齢臭を臭わす、クソ野郎に思わず舌打ちをした。
「うっは!マジかわ!!ねぇねぇ!僕ちんと今からデートしようよ!!お願い!!」
きっっっっっっっっっっっっっっも!!!なんだありゃ!?あんな顔面であのかわうぃい女性店員に話しかけるとか!身の程を知れ!!クソデブが!!
あの子に話しかける人間は俺みたいな完璧イケメンだけに許される行いなんだぞ!っは!!何やってんだあの野郎は!!
俺は加齢臭のせいで飲めなくなったブラックじゃないコーヒーの恨みをぶつけるためと、かわうぃい女性店員にかっこいいところを見させるために立ち上がりずんずんと近づいて行った。
「おい!!ごらぁ!?ああ!?てめぇみてぇーなクソデブ野郎がなーにこの子に話しかけてんだよ!?あああぁぁ!!??」
「僕ちんはこの子にはなちゅ権利があるの!ちみは関係ないでしょ!!グフフ!!」
きっも!!うわ!!背筋が凍るわ!!何だその豚+イノシシ+猿+ゴリラ+オラウータンを混ぜた様なキモイ笑い方は!?気持ち悪いわ!!
てか話す権利が何処にあるんだよ!?どっからどう見ても地球が一週しちまうほどガン見してもそんな要素が見つかるはずないだろうが!!
「ある訳ねぇだろ!!さっさとこの喫茶店から出て行きやがれ!!営業妨害だ!!客にも迷惑になる加齢臭を放ちやがって!粗大ごみにでもなってろ!!」
「いちゃい!や、やめて!!僕ちんは何もしてないよ!ほ~~ら!こんな生きた善意見たいな僕ちんがこんなことする筈ないだろ!!分かったでちょ!!」
「知るか!!出ろ!!今すぐ出ろ!!」
「痛い!!やめて!分かっちゃから!!出で行くかりゃ!もう!僕ちんを叩かないで!!」
「ほらよ!クソデブ!一昨日きあがれ!」
「じゃあ!また来るよ!!グヘへ!!み──可愛い店員ちゃん!!」
どうだ!!俺様が追いやってやったぞ!!やっぱ俺ってかっこいいな!!かわうぃい女性店員をクソデブから守るなんて人間の鏡だな!!あっはっは!!
俺は勢いずいた俺はこのままかわうぃい女性店員をデートに誘うためにあれこれ言ってみたが、さっきの事があったせいか、今はいいと言われて渋々諦めた俺は。会計を済ましてそのまま喫茶店を後にした。
クソ!あのクソデブのお陰であのかわうぃい女性店員をデートに誘う計画がパー!になっちまったじゃねーか!!最悪だ!!!次あったら覚えておけよ!!
そして、俺の運命の日になった。
この日の俺は絶好調だった。その勢いで今度こそデートに誘おうと喫茶店の前に着いた俺が目にしたのは……。
「うん!じゃあまずはあそこのゲームセンターに行こうね!」
「グヘへ!僕ちんもそれがいいと思うんだ!グヘへ!!」
ファ!?
ファ!!!??
ファファファ!!!!???
おい。気のせいか。何であのかわうぃい女性店員がクソデブと手を繋ぎながら満面の笑み歩いてんだ?
おかしいだろ!その場所は俺の居場所だぞ!何でクソデブが居るんだ!!あの豚+イノシシ+猿+ゴリラ+オラウータンを混ぜた様笑い方をしながらかわうぃい女性店員の横を歩くな!!!花が枯れちまうじゃねーか!?
ほら見ろ!あのクソデブの匂いにやられた花が萎んでんぞ!!っう!こっちまであの臭さが漂ってくる……。
これ以上近づけない……だが俺は!!
二人の後を付けた。
「あ~~負けた!やっぱりこうちゃんなの?」
「グフフ!!僕ちんの勝ち!!そ───僕ちんはミミカちゃんの愛の僕なのだ~~」
「ふ~~ん。ま、いいか。あとで教えてくれるんでしょ?待ってるから。私」
「グフフ~~。たっぷりと後でおじえであげる!」
…………。なんだこれ。
なんでクソデブと一緒に居る時は……俺にも見せた事がない笑顔で楽しく過ごしてるんだ?
何でだ?俺の方がイケメンだぞ?俺の方が臭くないぞ?どう考えたっておかしいだろ!!
っは!そうか!これは幻だ!!絶対に幻だ!!
「そうか!そうだったのか!」
思い込みにも疲れたものだ。あのクソデブの匂いで幻覚を見ちまうなんて……俺としたことが……。
ふぅ……帰って。明日また喫茶店に行くとするか。
カランカラン!
俺はいつものように喫茶店の中に入りいつものように注文しようとする。
にしても……今日は嫌な一日だな。このイケメンの俺に対してあんな気持ち悪い奴。まるで豚+イノシシ+猿+ゴリラ+オラウータンを混ぜた様な顔を見た時の様な反応をしながらこっちを見てきやがったからな。
クソ女共め。イケメンである俺にあんな顔をしてくるとは……人生の全てを損しているな……全くだぜ。
まぁいい。あのかわうぃい女性店員に会いさえすればこんな嫌な感情すべて吹き飛ぶ。
俺はカウンターで受付をしているかわうぃい女性店員の方に一目散に向かって注文する。
「ベッヒッヒ!!おで。いずものおねがぁい」
「……も、申し訳ありませんが……お名前をお願いしてもよろしいでしょうか?」
ん?おかしいな……いつもならこれで分かる筈なんだが……。
「おで……魔法少女ミミカの僕だから、そんなもの捨てだよ」
「……申し訳ございません。メニュー表から注文をお願いします」
っへっへっへ!?何でだ!?なんでいつものが伝わらない!?
「あでぇ?いづものおねだいしたんでしゅけど?(あれ?いつものお願いした筈なんですけど?)」
「誠に申し訳ございません……。お名前を頂ければ……いいのですが……」
「なんだぁぁ!そんな事かぁ!おでは魔法少女ミミカの僕なんだぁ!!(なんだ!そんな事か!俺は鷺守 龍だぜ!!)」
「………」
何だ!?何かがおかしいぞ!
「ああ!ちょ~~と通信がぁ!」
俺は嫌な予感がして思わずトイレに駆け込んだ。
嫌な予感が的中した。
トイレの中に設置してある鏡を見た俺は分かった。イケメンであった俺は豚+イノシシ+猿+ゴリラ+オラウータンを混ぜた様な顔をしたクソデブになっていた。服装も買ったことがないイタイ服のおまけ付きで。
は。ははは……。なんだこれ油まみれで気持ち悪い……。これが俺の顔だと……?
俺が……ブサイクだ……と?
あり得ない。俺は全女子生徒中全てが振り返るほどにイケメン!であった俺がなぜ……。
な!ぜ!………。
クソデブになっているんだあああああああああああああああああああああああああ!!??
「ありえなぁいぞぉ!なんでぃこんなこちょに!ベッヒッヒ!!(あり得ないぞ!何でこんな事に!ははは!……)」
いつものように喋ろうとしても、思っている事と違う事が口から出てくる……止めてくれぇ……。俺はこんなクソデブじゃない……。
いやだいやだ!!こんなクソデブであんな変な口調でしか喋れないなんて!いやだ!!
「やだぁぁ……」
『フフフ!!君も苦しむがいい……ね!!』
「!?」
何だ!?頭の中に直接!?
頭の中に声が響くと思ったら、後ろには空中に浮かんでいる小悪魔見たいな小さな黒いコウモリみたいな翼に黒い服を着た小さな子供が居た。
誰だお前!!お前か!俺をこうしたのは!!
『ニシシ!!違うよ!!君をこんなに醜い姿に変えたのは君自身だ』
!?……どういうことだそれは!!
『僕は欲を司る悪魔のレイ。君の欲に反応した僕は、元の宿主から君に乗り移ったんだ!!嫉妬って美しい!!』
知らねぇ!元に戻せ!!俺は世界の中でも貴重中の貴重の超イケメンなんだぞ!それをこんな風にしやがって!!戻せ!!
『いいよ』
へ?
俺がこいつの言葉に唖然としていると。この野郎がニヒルの表情をして。
『女の子と……キスが出来たらね!!ニシシ!!』
っは?……この状態でか?
『そうだよ』
出来る訳ねぇ……。無理だ!!こんなクソデブ!誰がキスをしてくれるんだ!!俺だったら死んでも嫌だな!
『それでもいいよ。だけど……一生クソキモイデブのまま一生を過ごしといい……ニシシシシ!!じゃあね!!』
まって!!
そして、目の前に居た悪魔はボフンと、黒い煙を撒き散らしながら消えやがった。
俺はその場で四つん這いになって絶望した。
こんな奴とキスなんてやってくれる奴なんている訳がねぇ……駄目だ。お終いだ。
ああ……なんてつまらない生き方をしたんだろうか……俺は。
「やっぱり。君の所に『あれ』が行ってたんだね」
「おん?(誰?)」
トイレのドアが開けられて、そこに居たのは少し前まではずっとこの辺じゃ人気があったイケメンである。与端 工が立っていた。
見られちまった……。こんな鼻水涙塗れの姿を……いや。もういいか……どうせつまらない人生だからな…。この程度。
「君。『レイ』は知っているね?」
「!?な!なんでぃ!?(な!?何でそれを!?)」
「ちょっと来て」
「ま───」
俺の腕を掴んで強引に立たせてトイレの外に出そうとする。
待ってくれ!!外に連れ出さないでくれ!!トイレの外には……あ。
「こうちゃん?どうだった?」
「うん。あってたよ、ほぼ間違いないでしょ」
「ねえねえ!カワイイ君!おでとデードじよう!!(やめてくれ!俺を見ないでくれ!)」
動くなよ!!そんな事俺は言ってねぇ!!!!!やめろ!!!
俺が自分を必死に喋らないように抵抗していると。あのかわうぃい女性店員とこの与端と一緒にいつものテーブル席に座った。
「君。鷺守 龍だね?喋らなくてもいい。頷くかで示してくれれば」
俺は状況があまり理解できていないが、この与端の言葉通りなのでゆっくりと重たい頭を上げ下げした。
「これから一方的に言うから。君は頭を頷くか横に振って答えてくれ」
一体何をするつもりだ?こいつは?
「まずは。きみが鷺守 龍前提で話を進めていくよ。僕は少し前にここに来ていて、君に追い出された太った男だ」
「!?」
は?はあぁぁぁぁぁぁ!?あのクソデブがこいつ!?全然違うじゃねーか!詐欺だ!詐欺!有名なダイエットにでも受けにいったか!?
「驚くかもしれないが、僕も君があったであろうレイにあのような姿に変えられてしまってね……あのざまだったよ。いまでも……。士鳥には感謝してるよ」
「こうちゃんって何となく分かったからね!これでも幼馴染だし」
………取り敢えず殴らせろ。
「まって!殴りたい気持ちはわかるけど!!今はそんな状況じゃないでしょう!」
ッチ!!リア充が!!
俺は殴りかかろうとしたが渋々席に戻った。
「おっほん。僕は君と同じことになったから気持ちは痛いほどわかる。だから……戻るのに手伝おう」
俺がお前に何をしたか知ってるだろ?
「君が僕にしたことは普通に考えて許すことは出来ない……」
そうだよな、俺を喜ばせて……落として楽しんでんだろ?分かってるよ………そんな事ぐらい。
「だけど。僕は偽りの君に謝れても許すつもりはない」
っは?
「僕は元に戻った君に誠心誠意謝ってもらいた。それだけだ」
ふざけんな………そんな事……。俺が自己中にお前に暴力を振り、自分勝手に罵倒してた男だぞ?
「あでぃえない(ありえない)」
「あり得る。人間は……変えれない人間なんて存在しない」
「お、おでは(お、俺は)」
「なら、元の姿で謝ればいいだろう?鷺守 龍」
「!?……ううぅぅ……あ、あり──あでぃがどぅ(あ、ありがとう)」
クソォ……クソ野郎は。俺だったって事かよ……ははは。………分かったよ!!分かったぜ!!謝ってやる!!元の姿で!!土下座でもジャンピング土下座でもスライディング土下座でも大回転土下座でも!どんな土下座でもして見せて誠心誠意謝ってやる!!
俺は泣いて頷きながら、こちらに手を伸ばしているこいつの……与端さんの手を握って握手した。
「じゃあ行こう!!」
今現在夜です。そして………え?マジで言ってるの?あそこにいる女。俺にいつもオドオドして話し掛けようとしている奴じゃね?無理じゃね?
俺はあれから数日の間どうにかキスを出来る相手を探し回っていると、それに該当する人物がいるとの連絡を聞いて、とある公園に付くと茂みに隠れている与端さんが指を差して俺に行けと促した。
そこには昔から記憶の隅に時折映る女子である眼鏡を掛けた伏島 翡翠が何かを待っているようにブランコに乗ってぶらぶらと揺れていた。
……なぜこうなった?あいつはどう考えたって俺が嫌いな筈だぜ?
話をしよう。あれは今から……五年前の小六での話だ。
俺は修学旅行先で、グループ毎に遊んだりしている時に、端っこでめそめそとしていたあの伏島が気に入らなく、無理矢理端っこから引っ張って遊びに強制的に巻き込みほんっとうに無理矢理一緒に遊ばさせたり。
夜には肝試しがあり。怖がりでめそめそしていたあの伏島を引っ張って無理矢理一緒に肝試しをしたりと、全くに持っていい印象を持たれる事をしていない。
だから……あり得んだろ……俺の人生終わったな。うん。
「よし!行け!!!」
「!?」
躊躇していた俺がじれったいのか、与端さんが背中から俺を思いっきり押し出して伏島が居るブランコの方にと押し出した。
「……えっと………鷺守くん……なの?」
「え……違うだ。おらは魔法少女ミミカの僕だぞ(そ、そうだ。俺は鷺守 龍だ)」
はーい!終了しました!さようならーーー!!
伏島が俺の自己紹介を聞いて口を押えながら後ろを振り向いた。
やっぱり、気持ち悪いよな……。こんなにくせぇ臭いを出しているクソデブなんて見たくないよねーー。
「やっぱり……ふふふ。鷺守くんだね」
「うえ?(え?)」
え?どこに俺の要素は?全くないんだが?
てか、久し振りに見たけど……伏島ってかわうぃんだな……。眼鏡を掛けた小顔が可愛らしく、少し……少しだが!!守ってやりたい雰囲気を持ち出して……って!?何で俺こんなこと言ってんの!?どうなってんの!?くっさ!!俺くさ!
「隣に……座らない?」
ポンポンともう一つあるブランコに手を当てながら伏島が呼ぶ。
お、おう………。
俺は何だか……ドキドキしながらゆっくりとブランコの上に乗った。
「ハマった……」
はい。デブすぎる体がブランコの鎖に食い込んで出れなくなりました。……助けて……伏島……。
「っぐ!!っぷ!!」
笑ってらっしゃいませんか?気のせいですかい?あのー?伏島さんや?
伏島がまたもや俺とは反対の方向を向いて口と腹を抑えながら笑いを?堪えていた。
「あはははは!!凄いよ……やっぱり。鷺守くんは凄いよ……こんなに笑えたのは久し振り」
伏島が夜空を見上げながら手で涙を拭っていた。
不覚にも……その………。横顔に………いや。うん。そうだな……ドキッとしちまいました!かわうぃい!と思っちまいました!!なんでやねん!!俺どうしたんや!!誰かーー!西の高校生探偵呼んできて俺の心の中推理してくれーー。
伏島は足をプラプラさせながらブランコをゆっくりと揺らし始めた。
「私。鷺守くんは覚えてないと思うけど。昔ブランコが怖かったんだ」
ん?
「他の子はきゃっきゃっってはしゃいで遊んでいるのに私だけ陰でその様子を見ているしか出来なかったんだ」
伏島がこっちを見て苦笑いをした。
その話って……。まっさかー
「その時ね。『そんなに乗りてぇなら俺が乗せてやるよ!』って無理矢理ブランコに乗せられたんだ」
犯人は!!俺です!……って。あれ伏島かよ……。めそめそして乗りたそうに様子を見て乗りそうにない様子にイライラして無理やりやったからな………。
「私。怖くて目を瞑っちゃった」
あの時せっかく乗せたのに目を瞑ってブランコの楽しみ方が分からん奴だな!って怒ってから……えーと。
「そしたら、一人用なのに私の隣にぎゅうぎゅう詰にしてまで乗ってきたから驚いちゃった」
あああ!そうそう!そんな感じ!って……あの後の記憶が……。
「それで……私。驚いて思いっきり頬を叩いてブランコから落としたんだよね……あ、あはは……」
だから……記憶が曖昧だったのか。って!俺殺す気!?小さいころにそんなダメージ食らったら危ないぞ!!俺が!
「でもね、そのおかげで。私はこうしてブランコにも乗ることが出来たし」
ん?伏島がゆっくりと揺れていたブランコに降りたぞ?って!動けん俺が乗っているブランコの上に無理矢理乗るなよ!!
「おま!!」
「そーい!今までのお返し!!あはははは!!!」
あぶねぇ!!おち!落ちねぇけど!!肉が絡まって落ちねぇけどあぶねぇぞ!!
「私ね」
「ん?」
急に立ちながらブランコを揺らしていた伏島がこっちを見てきたぞ?何だ?
「初めて人が……鷺守くんの事が好きになったの」
「え」
口に触れた柔らかく温かい物に呆然としていると、それがゆっくりと離れた。
「お、お前!!ま、まさって?あれ?普通に喋れる?」
身体が!光ってる!!俺人間じゃねぇぞ!なんだこれ!?……ん?
光が治まると……俺の身体が元に戻っていた。
「戻った!!!」
「ッキャ!」
「おっと」
喜んでいるのも束の間。急に体格が戻った俺は、ブランコから落ちそうになった伏島を抱きしめるようにキャッチした。
「え、えええ!?鷺守くん!?」
「伏島。さっきのお返しだ」
「え───ん」
俺は驚いている伏島の口にゆっくりと軽くキスをした。ゆっくりと口を離して、頬を染めながらこちらを見ている伏島を正面から見つめる。
こんなにも嫌な俺に……こんなにも好きでいてくれた彼女には、この言葉しかない。
「伏島。…………ありがとうな」
「鷺守くん…………うんん。私も」
ありがとう
お読みいただきありがとうございました!!
追記。少し修正。