生き延びるためには。
この前初めて感想をいただきとてもうれしかったです!!!これからも頑張っていきますのでどうか皆さん温かい目で見守ってください。感想やブクマを頂いたら倒立しながら世界一周できるくらい喜びますのでよろしくおねがいします。
ゾンビ発生から3日俺と妹はずっと家に引きこもっている。時々聞こえる悲鳴もだんだん聞こえなくなってきた。幸いまだライフラインは切れておらず水道や電気は問題なく使えているがいつまでもつのだろうか。一番懸念するのは食料なのだがもってあと2日といったところだ。
「兄さんお腹減った!!!」
「いやお前さっきカップラーメンくったばっかりだろうが!」
「だって・・・カップメンだけだとお腹減るんだもん・・・」
そりゃそうだ、うちの妹はこうなる前までは一日5食食べていた女だ。3日前から一日2食しかたべていないのだから腹が減って当然だろう。やはり食料が心もたない、外に出てみるべきだろうか。
「外に出るしかないのかなあ」
「でも兄さんもう少しで助けがくるんじゃない?もう2日もたったんだよ?」
「本当に助けがくるか怪しいぞ?」
「そんな・・・なんで・・・」
結衣の顔が一瞬にして曇る。
「この前テレビでゾンビを鎮圧しようとした自衛隊の部隊が全滅したってやってた。」
「じゃあどうすればいいの・・・」
「外に出るしかないか」
「やだ!!」
結衣は外に出るのを頑なに拒むのだが理由は明白だ。外に出るとゾンビの前に父親の死体が目に入る、それがたまらなく辛いのだろう。
「まあどっちにしてもゾンビのことがなんもわかんないと危ないよなあ」
「兄さん・・・」
「まあ俺に任せとけって」
そう言うと俺は二階に上がり部屋の窓を開けた。
「兄さんなにするの?」
「実験だよ、俺思うんだけどあいつら目が見えるとは思えないんだ白目むいてるし」
「それでどうするつもり?」
「目覚まし時計をあいつらに投げてみればわかるかなって」
「さすが兄さん!こういう時だけ頭良いね!!」
「こういう時だけは余計だ」
さっそく目覚ましをセットし奴らに投げてみる。
「おりゃ!!」
目覚まし時計は円を描いて女ゾンビの頭にクリーンヒットした。だがそいつは何もなかったかのようにそのまま動いている
「何もないってことは痛くないのかな・・・」
「めっちゃ痛そうなのに」
数十秒後目覚ましがジリリリリ・・・と鳴り、その瞬間奴らはそこに群がりあっという間に目覚まし時計を破壊してしまった。
「やっぱり目覚まし時計があたっても反応なかったね、音には反応したけど」
「聴覚は生きてるみたいだね!兄さんの読みどうり?」
「まあな」
「偉そうにしないで」
我が妹ながらなんて生意気な妹なのだろう、そんな妹にはすこしお仕置きをしてやらねば。
「おい結衣ちょっとバンザイしてみろ」
「こ、こう?」
結衣が腕をあげた瞬間脇を思いっきりこちょこちょしてやった
「ぎゃははははは!!もちょこいよ!やめて兄さん!!」
数十秒こちょこちょして結衣を開放してやる
「はあ・・・はあ・・・兄さんいきなりどうしたの?」
「妹よ、俺が右手に持っているのはなんだとおもう?」
「わ、わ、私のパンツ!!!返して!!!」
「やなこった!!」
俺が妹のパンツを奪ったのには意味がある。このパンツは前から妹が愛用しており妹の匂いがたっぷり染み込んでいる。本来なら永久保存したいところだがこれはゾンビにくれてやろう。
「おりゃ!!くらいやがれ!!」
俺は思いっきり結衣のパンツをゾンビに投げつける。パンツはひらひらと落ちていき上を向いていた男ゾンビの顔面にジャストヒットした。
「あ!!!私のパンツ!!」
妹がそう口にした瞬間男ゾンビは結衣のパンツをムシャムシャと食べてしまった。
「ああ・・・私のパンツ・・・」
「結衣のパンツは決して無駄じゃないさ、あれのおかげであいつらに嗅覚があることを証明できた」
「それでも!!!兄さんのばか!」
「そう怒るなって、後で俺のパンツあげるから」
「そんなのいらない!!」
結衣はぷいっとそっぽを向いてしまった。でもこれで奴らに聴覚と嗅覚しかないのがわかった。これをうまく使えば外に出て避難所になっているはずの場所にいけるかもしれない。
「おい結衣外に出て避難所にいけるかもしれないぞ」
「でも外には・・・・」
「お前は目をつむってていいから」
「うん・・・」
そうと決まれば早速準備だ。結衣と一緒に家の中にあるいざというときに使う武器を探し回った。
「家にあるのはこれだけか・・・」
「うん・・・」
見つかったのは包丁2本とスコップだけだった。
「まあ武器はこれでいいか」
「でも兄さん噛まれそうになった時にこのままの服じゃ殺されちゃうよ」
「まあゾンビだから噛んでくるよね・・・しかもこの様子じゃ噛まれたら即ゾンビの仲間入りだし」
家にある服を全部集めてみる。
「なるべく厚着していくしかないよな・・・あ!!!」
「どうしたの?兄さん」
「うちに座布団とガムテープあったっけ?」
「あるよ!!」
「腕とかに座布団とかまきつけとけば襲われてもそこを噛ませればいいしね!」
「兄さん冴えてるね!!」
「あと・・・」
そこからなんだかんだ準備に時間がかかり気がついたらもうとっくに日が暮れていた。
「結衣、もうこんな時間だし出発は明日にしてもう寝よう」
「うん、兄さん」
そう言うと俺は布団に入る、妹も入ってきて俺に抱きつく。妹は3日前からずっと俺に抱きついて寝ているのだ。きっと不安で怖いんだろう。
「おやすみ」
「おやすみ兄さん」
・・・・10分ほど時間がたっただろうか、なかなか眠れない。
「ねえ、兄さん起きてる?」
「どうした?」
結衣も起きていたようだ。結衣は俺を強く抱きしめた。
「兄さんは死なないよね・・・?あんなふうにならないよね・・・」
「当たり前だ、絶対に死なない」
「そっか!!ごめん寝るね!おやすみ!」
「おやすみ」
結衣はそう言うとすぐ寝息をかきはじめた。結衣を見ると安心したように眠っている。
「結衣、お前を絶対に守るから・・・」
そう自分に言い聞かせるようにいい襲い来る睡魔に身を任せた・・・。