act.1
夜勤という仕事柄、人とは真逆の時間を生きていた。昼間は自宅で惰眠を貪り、夜になれば日が昇るまでレジ打ちと店内の清掃。人が生を営み始めるのと入れ替わるように俺の一日は終わる。
その日は一日休みということもあり、夜勤明けに睡眠を摂って夜遅くに目が覚めた。休みの日にすることは大抵テレビゲームかネットだ。我ながらもう少しアウトドアな趣味を持てばと思いつつも、今夜もまたPCからネットの雑談掲示板を回遊していた。
回遊と言っても単に適当にチャット出来そうなユーザーを見つけて、飽きるまでチャットするだけだ。そんな感じでいつもの様にチャット相手を探す。
まあどの募集文を見ても殆どが寝落ち通話ばかり。男からの募集なんて下心丸出し。
「今日はハズレかな」
別の掲示板サイトに移動しようかとした時、思わずある募集文に目が留まった。
__貴方は私の為に人を殺せますか?__
いつもならただのメンヘラだろうな、と気にも留めない文なのに、今日はどんな風の吹き回しなのか、妙に気になってしまった。止せば良いのに僕は既に“i”と募集主欄に書かれたその募集文に指掛けていた。