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Inherit  作者: 栄家 水月
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第二章③

 倉庫の集まった区画は海から吹きつける風が強く、四月とはいえ肌寒かった。灯りは所々に外灯がぽつんと建っているだけで、耳には波と風の音が聞こえるのみだ。独りで歩くには少々心細い。

 目的のストアを目指して海岸線沿いを南下していると、大量のコンテナが並べられた一角にさしかかった。長さが五メートル以上、幅と高さも二.五メートルはある非常に大きなコンテナだ。見た目は全て同じデザインである。内容物が同じなのだろうか。

 コンテナの脇には所々、ロープや錆びた鎖、木箱などが雑然と放置されている。これだけ沢山の箱があるなら、宝箱の一つくらい配置しておいて欲しいものだ。とはいえ仮にあったとしても、勝手に中身を持ち去ったら窃盗である。現実とは世知辛い。

 海を挟んだ東側を見ると、埋立地に建設された巨大なコンビナートが佇んでいた。幾重にも伸びる大量のパイプと色とりどりの灯りから、近未来都市の夜景みたいだ、と少し感動する。

 コンビナートの光は、百メートル以上離れたこちら側まで明るく照らしていた。狭間の海上には飛び回る海鳥が見える。こんな夜でも鳥がいるのか。鳥目というくらいだから昼しか活動しないと思っていたが、夜行性の種類もいるらしい。

「では、昨夜行われたマスターの御父上達の戦闘に関して説明します」

 耳元のカードで水鏡が話し始める。

「昨晩二十二時頃、戦闘は開始しました。私も元マスターに呼び出されて参戦しましたが、開始から約十五分後にカードへ強制送還となったため、以降の出来事は一切分かりません」

「カード内でも音は聞こえるじゃん」

「カードへ外部の音が伝わるのは、カードがマスターの手元にある時だけです。それ以外では完全に外部情報が遮断されます」

 つまり開戦から十五分後に、水鏡の元マスターはカードを失ったということか。

「マスター」

 水鏡が突然改まった。

「ん?」

「そのまま自然に歩いて下さい」

 随分と不自然なお願いだ。

「なんで?」

「尾行されているようです」

 あまりの驚きに危うく立ち止まりそうになる。が、なんとかそのまま歩行を続けられた。

 心拍数が一気に上昇する。

 尾行? 誰に? いつから? 声を押し殺して水鏡に問い詰める。

「落ち着いて下さい。相手が何者かは、まだ分かりません。自然に振舞って下さい。こちらが気付いたと悟られれば、相手は即座に行動へ移るでしょう」

 自然に、と言われても……。ポーカーフェイスとかは得意ではない。意識すると足運びがぎこちなくなる。いや、そんな気がするだけかもしれない。今の自分が自然に見えるのかどうかも判断できない。いつもはどんな風に歩いていたのだろうか。そんなことさえ分からなくなった。

 いきなり足元から、ばしゃっという音がして体がびくつく。水溜まりのようだ。暗くて見えにくいが、港内の道には小さく水が溜まった箇所が幾つかあるようだ。海水だろうか、或いは何かを水洗いした跡かもしれない。

 カードの水鏡に質問する。

「どうして尾行されてると?」

「マスターの背後から、既に二回の水音が鳴っています。二回とも発せられたのは、マスターから同程度離れた位置だと感じました」

 水溜りを踏んだ音か。自分には全く聞こえなかった。周囲に注意を払っていたつもりだったが、会話に夢中になっていたのだろうか。

「で、どうする?」

「しばらくは様子を伺いましょう」

「……分かった。じゃあ、話の続きを」

 意識すればするほど、動作はたどたどしくなる。話を聞いて少し意識を散らそう。

「戦闘の行われた場所は、大村井(おおむらい)にある廃工場跡です」

 大村井はここからさらに三駅南下した所だ。様々な企業の生産施設が並ぶ工業地帯である。

「戦闘は非常に大規模なもので、戦場には二十名を超える能力者がいました。しかし激しい攻防によって、開戦から十分後には既に半数以上が死亡していました。私も戦闘に参加していましたが、途中でカードへ強制送還となりました」

 話に耳を傾けながら進んでいると、前方五十メートルの左手に古い倉庫が口を開いていた。目的の倉庫はもっと先のはずだ。既に廃棄されたものだろうか。

「バディの強制送還には、四つのパターンがあります。一つ目は、マスターのバグが尽きたパターン。二つ目は、マスターが死亡したパターン。三つ目は、マスターの手元からカードが離れたパターン。そして最後は、バディがマスターのレンジを越えたパターンです。レンジとは、バディが自由に活動できる範囲を指します。強制送還になったバディは、二百四十秒間呼び出すことができません」

「でも、緊急回避手段として使えそうだな」

 四分間呼び出せなくとも、バディがやられるよりは遥かにましだろう。

「バディの強制送還は、瞬間的に実行されるわけではありません。数秒のインターバルが存在します。さらに、この間はバディの動きが鈍るため隙が大きくなります」

 どうやら無理らしい。水鏡が話題を戻す。

「昨日の戦闘では強制送還後、私は外部情報を取得できなくなりました。故に一番目と四番目のパターンは除外されます。強制送還の直前まで元マスターは存命でしたので、マスターからカードが離れた三番目のパターンの可能性が高いと考えられます」

 扉が開け放たれたボロボロの倉庫を横切る。中には誰もいなさそうだ。

 背後から水音は一度も鳴っていない。まだ尾行されているのだろうか?

「じゃあ、それ以降の出来事は分からず、か」

「はい。御父上らと元マスター達の戦闘がどう決着したのかは分かりません。ただ、マスターの御父上があのような状態だったことから、元マスターらが勝――」

「……ちょっと待て」

 水鏡の話を遮った。足が止まる。

 今、変な事を言わなかったか。父と元マスターの戦闘……?

 視線が一点を見つめて動かなくなる。見開いた目を潮風が打った。涙が少し滲む。

「マスター、立ち止まらないで下さい。相手に気取られます」

 カードを乗せた携帯電話をゆっくりと耳から離す。鼓動を打つ音が大きくなった。カードに目をやり、恐々と問う。

「あんたの元マスターと……、父の関係は?」

「敵です」

 水鏡は抑揚のない声ではっきりと答えた。頭へ一気に血が昇る。

「は……? じゃあ、あんた、は……」

 言葉が思うように出ない。

「私の元マスターは、現在マスターが所持しているカードの所有者です。それよりも、早く移動して下さい」

「ふ、ふざけるな。つまり、あんたは……、敵ってことじゃないか……!」

「いえ、今はマスターのバディです。バディはマスターの命令に従います」

「信用できない……!」

 バディはマスターの指示に従う、その情報源は水鏡だ。容疑者の言葉は証明にならない。

 水鏡の元マスターは父の仲間だと、勝手に思い込んでしまっていた。おそらく父は水鏡の元マスターに殺されたのだ。もしかして自分は、その殺人犯達の所へ誘導されているのではないか? それに、本当に尾行などされているのか? 足音も水のはねる音も聞こえなかった。焦らせて考える余裕を失わせるのが目的ではないのか? そもそも、ホームセンター跡で水鏡に殺された男は、本当に敵だったのか? 血を見て様子を見に来ただけの、無関係な人間だったのではないか? いや、むしろ父の仲間ではないのか?

 全て成り立ち得る。これまで得た情報は、全て水鏡から聞いたものに過ぎない。埴輪の男に直接話を聞いたわけでもない。これらの疑念を断ち切る証拠など、何処にもないのだ。

 疑惑が連鎖反応を起こして、あっという間に心を占領した。カードを持つ手が震える。

 これからどうする? 何を信じて、何をすればいい?

 疑念によって滅茶苦茶に食い破られた頭は、空っぽになって動かなくなる。ただ恐怖と焦燥が心を捲し立てるだけだ。

 突如、背後から水音が聞こえて反射的に振り返った。

 誰かいる――!!

 誰かが水溜りを踏んだ。尾行していた奴。本当にいたのか。

 月とコンビナートの光が作るコンテナの影により、近付いて来るそれは輪郭しか見えない。

 足が動かない。あれは敵なのか、味方なのか。逃げればいいのか、どうすればいいのか分からない。

 向かって来る人影はだんだんと足早になる。コンテナの影を抜け、その姿が月下に晒された。

「ば、化物……!?」

 それは骸骨だった。全身は泥のような色をしていて、頭蓋骨には幾重にも緋色のラインが引かれている。まるで血の涙を流しているようだ。目の窪みの奥には、不気味に輝く瞳のようなものが見える。手足には銀の輪がはめられていた。

 直観的にバディだと理解する。誰の? 近くには誰も見当たらない。

「マスター!」

 握られたカードから水鏡の声が響く。

「危険です。早く出して下さい!」

 パニックになる。彼女の言うことを聞いていいのか? だが、こちらへ接近してくるあれはとても味方には見えない。明らかな敵意が感じられる。

 泥色の骸骨はどんどん迫って来る。

「マスター!!」

 水鏡がまた声を張り上げた。

 駄目だ、分からない。もう、どうにでもなれ!

 プラチナクラウンのカードを掲げて叫ぶ。

「水鏡!」

 青白い光が灯り、真っ白なコートをひらりとはためかせて少女が舞い降りた。

 水鏡は地面に立つや否や、足元にあった木箱を掴んで骸骨へと投げつけた。相手がそれを叩き落とす隙に、彼女は私を抱きかかえて後方へと大きく跳躍する。空高く宙を舞い、骸骨から離れたコンテナの陰で下ろされた。

「隠れていて下さい」

 脚が震えて上手く立てない。

 水鏡が金色に光る瞳で、こちらを見下ろして言う。

「大丈夫です。マスターは、私が死守します」

 彼女が少し微笑んだ。ような気がした。

 それに驚いて数秒間息をするのも忘れる。ふと我に返ると、震えは止まっていた。恐怖も少しなりを潜めて、落ち着きを取り戻している。

 立ち上がってコンテナに背中をつける。

「緊急時には拳銃で自衛して下さい」

「いや、撃ったことないんだって」

 通学鞄から銃を取り出す。鞄は邪魔なので地面に置いた。

 水鏡が敵の方を見て構える。

「FPSで経験されているのでは?」

「ゲームと現実を一緒にすんな! あんたはゲーム脳か!」

 そう言い終わる前に、水鏡は駆け出した。彼女が加速する際に発生した風が髪を揺らす。

 コンテナに身を潜めてバディの戦闘を覗き込む。コートを大きくなびかせた水鏡が骸骨へ右ストレートを打ち込むところだった。腹にずしりと来るような重低音が鳴る。

 速い。骸骨まで二十メートル以上はあったのに。

 骸骨は両腕で受け止めるが、威力に押されて後ろへ下がる。水鏡がすかさず間合いを詰めて追撃する。骸骨は彼女の打撃をなんとか防ぐが、明らかに圧されている。どうやら格闘技能は水鏡の方が上らしい。少し安心する。

 だが、あの骸骨のマスターが何処にいるか分からない。バディを囮にして水鏡を引き付け、その隙に直接攻撃を仕掛けてくる可能性もある。周囲を警戒しておいた方がいい。

 戦闘しているバディ達に向かって左は内陸方向で、ほとんど障害物になるものはない。しかし右の海側は、コンテナや古い倉庫など身を隠せそうなものが沢山ある。物陰に潜んだ敵能力者に急襲されるかもしれない。

 両手で握った銃を見る。万一の時は、撃つしかない。心配なのは、「安全装置が解除されているのか」と「残弾数がいくつか」だ。

「マスター」

 胸ポケットのカードから水鏡の声がした。呼び出していても、カードで会話ができるのか。

「何?」

「こちらへ移動して頂けますか。レンジを越えそうです」

 バディはレンジから出るとカードへ強制的に戻される、という話を思い出す。バディはレンジの範囲を感知できるのだろう。

 プラチナクラウンのカードを見ると、水鏡の文字が点滅している。離れ過ぎの警告と思われる。強制送還されたバディは四分間呼び出せない。そうなると、かなりまずい。

 コンテナの陰から北の戦場を見ると、水鏡達はだいたい四、五十メートル離れた位置にいた。水鏡に圧されて、骸骨が後退しているためだろう。

 再びコンテナの裏に体を戻して、呼吸を整える。東にあたる海側は、障害物が多い。敵が潜んでいる可能性があって危険だ。ならば、西の陸側からアプローチしよう。

 覚悟を決めて、コンテナの陰から飛び出る。

 すると、コンテナに背をつけて追い込まれた骸骨と、まさに殴りかかろうとする水鏡の横顔が見えた。しかし、泥色の骸骨は正面の水鏡から目を逸らし、顔を横に向けてこちらを見た。

 なんで――?

 その時、骸骨の血涙を流したような瞳と目が合った気がした。直後、視界が狂う。

 水鏡と骸骨が消えた。

 いや、それだけではない。周りの風景もおかしい。右手にコンテナがあるのは同じだが、倉庫やクレーンの位置が変わっている。

 何が起きた……? そう思った次の瞬間、後頭部のすぐ後ろで鼓膜が裂けるほどに激しい轟音が響いた。

 煙のようなものが舞い上がり、視界を遮る。自分の頭が爆発したのかと思った。煙が肺に入って咳き込む。何かの粉のようだ。

 背後を振り返って確認しようとすると、すぐ左に水鏡がいた。自分の頭のすぐ隣に、彼女の右腕が突き刺さっている。その拳はコンテナを貫いて、中に詰められた袋を破いていた。この空中を舞う微小な粉は、どうやらその中身らしい。小麦粉かなにかだろうか。

 水鏡の顔には驚きが浮かんでいる。また初めて見る表情だ、と思った。

「マスター、御怪我はありませんか?」

 彼女が尋ねてきた。

「ああ……、うん」

 何が起きたのか分からず、水鏡と向かい合って気の抜けた返事を返す。

 ちょうどその時、南方から何者かが駆けて来るような音がした。粉塵によりシルエットしか見えないが、直ちに先ほどの骸骨だと分かった。

 水鏡がコンテナから右腕を引き抜く。一瞬、顔が小さく歪んだ。

「どうした?」

「筋を痛めたようです」

 彼女は左手で右腕を撫でる。

「マスターは、早急に退避して下さい」

 彼女は骸骨の方へ走っていった。

 すぐに自分も動く。粉塵で前が見えないので、コンテナ伝いに移動する。骸骨から隠れようと、水鏡の破ったコンテナの裏側へ回る。裏は海のある東側にあたり、沢山のコンテナとさっきも見た古い倉庫がある。その倉庫の位置から、ようやく事態を把握した。

 カードを介して水鏡に話しかける。

「さっき骸骨に殴り掛かる瞬間、何が起きた!?」

「詳細は分かりませんが、攻撃の直前、敵のいた位置にマスターがいました。そのため無理矢理、右腕の軌道を変えました」

 やはりそうか。自分は瞬間移動したのだ。水鏡が攻撃する直前に、骸骨のいた位置へ。そして、自分が元々いた位置へ骸骨が移動した。

 瞬間的に相手と場所を交替する、おそらくこれが骸骨のアプリケーションだろう。

 水鏡にその内容を伝える。

「私も同意見です。ですが、それだけ応用性の高い能力なら、使用に制限があるはずです」

 使用制限……、そこが突破口か。

 あちこちに置かれたコンテナに隠れながら、大きく迂回して水鏡の見える場所へ移動する。

 およそ三十メートル先で、二体のバディが格闘戦を繰り広げていた。しかし今度は明らかに水鏡が圧されている。無論、筋を痛めて右腕がまともに使えないこともある。だが根本的な原因はそこではない。水鏡は骸骨に対して、全く攻撃を仕掛けていないのだ。

 骸骨は防戦一方の彼女を滅多打ちにする。重い打撃が次々と肩部や脇腹へ入る。水鏡の顔が苦痛で歪み、白い肌にみるみる青痣が増えていった。

 溜まらずカードへ叫ぶ。

「どうして反撃しない!?」

「敵アプリケーションの発動条件が不明です」

 彼女はいつもの平坦な口調ではなかった。息が切れて苦しそうだ。

「現状で闇雲な攻撃を行えば、再びマスターに危険が及びかねません」

 そういうことか……。

 彼女は、敵が先程のようにアプリを使うことを恐れているのだ。もしかすると、今度はマスターを殺しかねない。それを懸念して、痛みに耐えながら無抵抗を貫いている。

 骸骨の強烈な上段蹴りが入り、水鏡のか細い体は宙に浮いた。そのままコンテナへと叩き付けられ、地面に突っ伏す。コンテナの外装は大きく歪み、隙間から細かな粉末を吹き出した。

 追撃を加えようと、骸骨が迫る。水鏡は体を回転させて、(すんで)のところでその一撃を回避する。ふらふらと立ち上がった彼女の頭に、真っ赤な血が滴った。

 その姿に、歯を噛み締めて拳を握る。

 自分が許せなかった。

 水鏡は満身創痍になりながらも、一切攻撃へ転じない。マスターの安全を最優先に考えて。

 そんな彼女を、自分は疑った。最低だ。なのに、今も彼女はあんなになって……。

 叫びたい衝動に駆られる。拳を己の太腿に叩きつけた。

 カードへ命令する。

「水鏡、攻撃しろ……!」

「同意できません」

「構わない! 足払いとかなら、喰らったって死にはしない!」

 少しの間を置いて、彼女は承諾した。

 骸骨が回し蹴りを仕掛ける。水鏡はしゃがんでそれをかわし、軸足へ蹴りを叩き込む。

 が、彼女の脚は空を切っただけだった。

 骸骨は水鏡の背後にいる。足払いが入る直前に、彼女と場所交替したのだ。

 空振りの隙を突いて、骸骨が水鏡の脇腹へ強力な蹴りを打ち込む。鈍い音がこだました。

 吹き飛ばされた水鏡は、硬いコンクリートの上を転がる。手をつき立ち上がろうとすると、咳き込んで血を吐いた。

 そんな彼女を、骸骨は容赦なく蹂躙する。踏みつけ、蹴り上げ、殴り飛ばし、投げ倒す。度重なる打撃に、水鏡の柔肌は裂けて純白のコートは血で染まっていく。

 彼女は反撃を試みるが、全て場所交替でいなされてしまう。ほとんどサンドバッグ状態だ。

 このままでは、水鏡がやられてしまう。どうしたらいい?

 見守る? 祈る? 違う。

 自分だ。自分がやらないで、どうする。

 やるべきことは何だ。敵アプリの制限を突きとめるか、敵能力者を押さえるか、だ。

 傷だらけになった水鏡を見て、己を奮い立たせる。

 敵能力者がいるとしたら何処だ? きっとバディを観察できる位置にいるはずだ。ならば、それほど遠くない。

 そういえば、自分から五十メートル程度がバディの活動可能なレンジだった。敵も同じだろうか。だとすれば、すぐ近くにいるはずだ。コンテナの陰か、脇にある古い倉庫か。

 カードに問う。

「水鏡、レンジの広さはみんな同じか?」

「いえ、バディによって異なりますし、また能力者の適性にも依存します」

 喋り難そうだ。口の中を切ったのだろう。

「バグの射程に関与する接続適性(アクセス)が高ければ、レンジは広がります。敵バディのアプリケーションから推察するに、敵能力者の接続適性(アクセス)はマスターより高いはずです」

 相手は自分よりもっと離れた場所にいる可能性が高そうだ。ならば、接近するのは難しいだろう。その前に水鏡と離れ過ぎて、強制送還になってしまう。

 それに敵能力者と直接対峙するのは、やはりリスキーか。もう一体バディを持っているかもしれない。もしそうなら、自ら死地へ赴くようなものだ。

 敵能力者を押さえるのは厳しい。敵アプリの使用制限を考えた方が良さそうだ。

 これまでの戦いを見るに、少なくとも物とは場所交替ができないらしい。コンテナやクレーンと場所交替できるなら、水鏡をその下敷きにするだけで勝敗は決するからだ。

 問題は、それ以外の使用制限だ。他にどんな制限がある?

 バディ二体の様子を窺う。やはり骸骨のワンサイドゲームのままだ。水鏡の体には痣と傷が増え、疲弊が色濃く確認できた。そう長くは持たないだろう。

 どう考えれば、早く結論へ辿り着く?

 焦るな。落ち着いて考えろ。敵の行動の不合理を探すんだ。

 最も疑問なのは、「なぜ自分と場所交替したのが一回だけで、それ以降、水鏡としか交替しないのか?」だ。あの一回と今の状況の違いは、何だ?

 相手の位置が分かっていないと、交替できない? 粉塵の中を隠れながら移動したから、骸骨にこちらの現在地は分からないはずだ。

 いや、相手の位置把握が発動条件なら、水鏡が最初に放った右ストレートの時にアプリを使用したはずだ。戦闘開始時、こちらの位置は骸骨に割れていた。あの時、自分と骸骨が場所交替していれば、水鏡の初撃で戦闘は即終了していた。にも関わらず、骸骨はアプリを使用しなかった。合理的ではない。つまり、「相手の位置が分かっている」は、アプリの発動条件じゃないということだ。

 だとしたら、何だ? 額に手を押し当て、思考を駆け巡らせる。

 ふと、場所交替が発動する直前に、骸骨と視線が交じったことを思い出す。

 目が合うのが、条件か?

 いや、水鏡は骸骨の顔を見ていないのに場所交替させられている。

 だとすると、発動条件は「骸骨に見られる」ことか。それならば、隠れている自分に使えないのも、頷ける。

「水鏡、そいつの目を塞げ! 見られることが条件かもしれない!」

 カードに叫んでから気付いたが、どうやって敵の目を塞ぐのか。水鏡は、骸骨に触れることすらできない。

 ……いや、方法はある。それを伝えようとした時、水鏡の背中越しに、彼女のローキックが骸骨へきまるのが見えた。

 骸骨の眼前には、縦十センチ、横二十センチ程の小さな板が浮いている。その板は透明なガラスのようであり、同時に鏡のようでもあった。不思議なことに、板の向こうにいる骸骨と、手前にいる水鏡が同時にはっきりと映り込んでいるのだ。

 少し遅れて、水鏡のアプリだと気付く。攻撃の直前に、ファイアーウォールで敵の視界を塞いだのだ。

 カードから水鏡の声がする。

「どうやらマスターの見解は正しいようです」

 なぜファイアーウォールが黒かったり、透明な鏡のようになったりするのかは分からない。だが、敵の視界はちゃんと遮られているようだ。それは自分の思い付いた方法と違ったが、結果は同じなので問題ない。

 バディ二体の戦いは一方的なものではなくなった。骸骨は場所交替で攻撃の回避を図り、水鏡がファイアーウォールで視界を遮ってそれを妨害する。今度は骸骨がそれを阻むために、大きく体を左右に動かす。

 展開できるファイアーウォールは小さい。敵の目を覆うのが、やっとだ。骸骨が大きく動けば、すぐに視界を取り戻してしまう。それにファイアーウォールは、水鏡の極近傍にしか張れないようだった。彼女が骸骨に接近した時のみ、敵の目を遮ることができる。

 水鏡は目潰しを狙っていたが、相手もそれは承知しているのだろう、巧みにかわされてなかなか当てられそうにない。ここまでの消耗も含めれば、まだこちらが不利だ。

 さっきのローキックの代わりに、サミングを放っていれば……!

 悔しい想いに奥歯を噛んで、息を漏らす。

 だが、たらればを考えても仕方がない。あの段階で、敵アプリの使用条件は確定していなかった。もし見込み違いで能力を使用されれば、水鏡は最悪マスターの眼球を抉ることになっていた。それを危惧して、彼女はローキックに留めたのだろう。

 再び戦いを観察する。

 先程まで骸骨は、回避手段としてアプリを使用していた。しかし、今では距離が離れている状態でも、しきりに水鏡と場所交替している。攪乱目的だろうか。

 何か打開策はないものかと辺りを見回す。すると、扉の空いた古い倉庫の中に、大量のドラム缶が積み上げられているのが見えた。

 ……使えるかも知れない。

 直接触って確かめたいが、水鏡から大きく離れることに躊躇する。

 倉庫は、水鏡から東側へ約四十メートルの位置にある。それだけなら強制送還の心配はない。しかし、骸骨は水鏡と場所交替できる。

 仮に自分から五十メートル以上離れた骸骨が、水鏡と場所交替したらどうなる? 水鏡はレンジ外へ出て、強制送還になるだろう。そうなれば、四分間もあの骸骨から単身で逃げ回らなければならない。絶望的な状況だ。

 ……いや、果たして本当にそうだろうか? 何か釈然としないものを感じる。

 もし場所交替によって水鏡を強制送還可能なら、初めからそれを狙うのではないか? 何故そうしない? 何か理由が――。

 ふと脳内から眼前へ意識を戻すと、二体のバディは大きく距離を取っていた。骸骨の現在地へ水鏡が移動したら、間違いなくレンジ外だろう。「まずい、もっと近付かなければ」と思ったが、骸骨はアプリを使用しない。さっきまでは、無意味なくらいに乱発していたのに。

 骸骨は少しずつ水鏡へにじり寄り、私から五十メートル程の位置で彼女と場所交替した。

 一瞬肝を冷やしたが、水鏡は消滅しない。カードを見ると、彼女の名前が激しく点滅している。レンジ内ぎりぎりの位置なのだろう。

 だが、これではっきりした。おそらく骸骨は相手バディがレンジ外へ出てしまう場合、アプリを使用できないのだ。

 だとすると敵能力者は、こちらのレンジを測るために、何度も距離を変えて場所交替させているのだろう。何か策を考えているのかもしれない。早めにけりをつけなくては。

 強制送還の恐れが払拭されたので、骸骨から姿を隠しつつ倉庫内へ移動する。入ってすぐ右手の壁に身を潜めた。倉庫の正面で戦うバディ達からは死角になる位置だ。

 外の様子を伺うと、遠くに動く人影が見えた。おそらく敵能力者だ。水鏡達の北側七十メートル程の位置を、コンテナに隠れながら移動している。敵能力者はこちらを見ず、きょろきょろと何かを探している。水鏡が起こした粉塵が目くらましとなって、こちらを見失ったのだと思った。もしかして、場所交替からレンジを逆算して居所を割り出すつもりだろうか。

 急いで倉庫内を観察する。中の物品は埃を被っていた。放置されて久しいのだろう。

 自分のすぐ傍には、鉄板が百五十センチ程の高さまで積層され、その上には沢山のドラム缶が三段に積み上げられている。上下のドラム缶の間には簀子のような物体が挟まれ、一番下のドラム缶と鉄板の間には、ぼろぼろになったカーペットのような布が敷かれている。

 鉄板の上に登り、ドラム缶を揺すってみる。中で液体が揺れるのを感じる。

 鉄板から降りて、今度はドラム缶の下敷きとなったカーペットを引いてみる。重い。動かないので力を込めると、多数のドラム缶と一緒にカーペットが鉄板上を少し滑った。鉄板とカーペットの摩擦は小さいようだ。カーペットはぶ厚く、引っ張っても破れそうにない。

 これで骸骨を倒せるかもしれない。いや、倒せなくても、敵能力者を押さえることはできるはずだ。

 考えた方法を脳内でシミュレートする。一か八かな所もあったが、賭けるしかない。

 プラチナクラウンのカードに話しかける。

「水鏡、東に倉庫があるだろ」

「はい」

「倉庫の中が見えるように、敵を誘導してくれ。合図をしたら、攻撃するふりをして近くのコンテナを破壊するんだ」

「了解です」

 水鏡に敵能力者のおおよその位置も伝えておく。これで仕込みは終わりだ。

 倉庫の扉と向き合うように、水鏡が骸骨を誘導する。彼女から誘導完了の知らせが来た。

 カーペットを持つ。深呼吸し、全身の筋肉を強張らせる。

 ……よし、行くぞ!

「今だ!!」

 カードに向かって叫び、思いっきりカーペットを引く。バランスを崩したドラム缶の壁が、こちらへ倒れかかってくる。

 引いた勢いで体が大きく後退する。倉庫の出口の真正面まで来て、その場に尻餅をつく。

 敵バディの視界へと入った。だが、倒壊するドラム缶は外から見えない。

 倉庫の正面では、水鏡が今まさに骸骨へ殴り掛かるところだった。

 骸骨と目が合う。

 来い! 能力を使え!

 心の中でひたすら念じる。

 頼む、早く!

 大量のドラム缶が、体のすぐ上まで迫ってくる。

 駄目だ! これ以上、待てない!

 回避するため横へ転がろうとする。

 が、その瞬間、風景が一変した。倉庫の外だ。水鏡がすぐ傍にいる。自分と骸骨の位置が交替したのだ。

 よし、やった……!

 尻餅をついている自分の体をかすめ、水鏡が近くのコンテナを攻撃する。中から粉塵が舞い上がり、一帯が何も見えなくなる。

 それとほぼ同時に、倉庫の方からけたたましい轟音が立て続けに響いてきた。大量のドラム缶がぶつかり合う音だ。骸骨はその下敷きになっているだろう。

 敵にこちらの姿は粉塵で見えない。よって、場所交替もできない。

 拳銃を取り出す。

「水鏡は能力者を!」

 彼女を敵能力者へと向かわせ、倉庫へ銃口を向ける。

 当たるかどうかは分からない。撃ったこともないし、舞う粉でほとんど何も見えない。

 引き金を引いた。大きく弾けるような銃声が響く。強い反動が腕に伝わった。しかし、バグで筋力が強化されているからか、バランスを崩す程ではない。

 続けて撃つ。

 二発、三発。

 四発目で銃のスライドが停止し、引き金が動かなくなった。弾切れらしい。

 粉塵の先、倉庫からは何も聞こえてこない。銃弾はドラム缶に当たらなかったのか、それともドラム缶の中はただの水だったのか。いや、そもそもドラム缶が爆ぜるのは、ゲームの世界だけかもしれない。

 残念ながら爆発はしなかったが、それは必須ではないので問題ない。

 急いで敵能力者の所へ向かう。骸骨をどのくらい足止めできるか分からない。視界が悪い中、なんとか手探りで人影のいた北へ走る。

 立ち込める煙を抜けると、水鏡の足下で腰を抜かしたようにしゃがみ込んだ人物が見えた。革のライダージャケットを着た三十代くらいの男性だった。

 水鏡の振り上げた左手には、ファイアーウォールで作られた鋭い短剣が握られている。

 彼女がナイフを振り下ろす。

「待て、殺すな!」

 駆けながら必死に叫ぶ。水鏡は手を止め、こちらを振り返る。

 それと同時に、巨大な炸裂音が鳴った。

 水鏡の頭が大きく揺れ、白銀の髪が振り乱れる。彼女は体勢を崩し、後ろに足をついた。

 鳴り響いた音には聞き覚えがあった。ついさっき聞いたばかりだからだ。それは、敵能力者が取り出した拳銃から発せられた音だった。

 顔を向き直した水鏡を見て、ぎょっとする。顔の左半分が真っ赤に染まっている。左目が潰れていた。だらだらと流れる血が、涙のように見える。あの骸骨みたいだ。

 なんて事をしてしまったのか。どうしようもない大馬鹿者だ。激しい慙愧の念が身を焼く。

 ふらふらと水鏡へ近付く。

「そんな……、ごめん、ごめん……!」

「問題ありません」

 彼女の声は場違いなくらい平坦だった。

 彼女が敵能力者の方を向く。彼はいつの間にか逃げようとしていた。我々に背を向けて、全速力で走っている。

 追跡しようと水鏡が構えると、突如、敵能力者は骸骨へと姿を変えた。振り返ると、ドラム缶のあった倉庫の辺りで敵能力者が走っていた。

 まずい、また距離を取られてしまった……!

 水鏡が敵バディを迎え撃つため、前へ出る。

「マスターは隠れて下さい」

 彼女は右腕と左目が使えない。体中から出血し、透けるように白い肌は真紅に染まっている。

 自分のあまりの愚かさに叫びたくなる。彼女に申し訳なくて堪らない気持ちになった。

 水鏡が短刀を生成して骸骨へ刃を向ける。しかし、敵バディは直立不動のまま横を向いた。海の方向だ。

 次の瞬間、骸骨が鳥に変わった。

 急いで海へ目をやる。およそ五十メートル先の海上で、数羽の海鳥と空に浮かぶ骸骨が見えた。その奥にはコンビナートが煌々と照らされている。

 やばい! と思った時には、もう遅かった。

 海上で自由落下を始める骸骨は、一瞬で白い少女に変わる。水鏡だ。

 すぐに向き直ると、間近に骸骨がいた。

 しまった……! 場所交替の対象は、生き物なら何でもいいのか!

 レンジの端ぎりぎりで交替させられた。水鏡は海へ落ちた後、陸まで四十メートル近く泳いで、さらに高さ三メートルはある壁をよじ登らなければ、ここまで辿り着けない。

 絶対に間に合わない。

 終わった――。

 骸骨が強烈な右フックを放つ。咄嗟に後ろへ身を引いて、間一髪でその拳をかわす。重苦しい風が顔を撫でた。

 だが体は突然の重心移動に対応できず、後方へと倒れ込んでしまう。逃げられなくなったところへ、骸骨が腕を振り上げた。

 ここで死ぬのか……。

 その拳が振り下ろされる刹那、空を裂くように鋭い音が海の方から響いた。骸骨がそちらを見る。

 直後、目の前を白銀の疾風が駆け抜けた。それは一瞬のうちに骸骨をさらっていく。

 そして側面から、大量のガソリンに引火したような、とてつもない大きさの爆音が鳴った。

 目をやると、骸骨がコンクリートに力なく倒れていた。その体には、死者にかける白い布のように白のコートが被せられている。

 骸骨の完全に砕けた頭蓋骨から、細い脚が抜かれる。そのしなやかな曲線から視線を上げると、背中が丸見えになった水鏡がいた。

 彼女がこちらを振り返る。コートを脱いだ彼女は、ほとんど半裸といっていい状態だった。上半身は小さなブラジャーみたいなものしか付けておらず、腹部や背中は完全に露出され、豊満な胸の谷間も露わになっていた。正直、目のやり場に困る。

「御無事ですか? マスター」

 彼女はいつもように抑揚のない声で訊いてきた。

「ああ……。でも、どうやって……!?」

 遠くで何かが海に落ちる音がした。敵能力者の逃げた方向だ。

「マスターはここにいて下さい。私は敵能力者を押さえます」

 水鏡が足早に駆けていく。その血に染まった背中を見て、迷いながらも叫んだ。

「もし可能ならでいい! 殺さないでくれ」

 言い終わる前に、水鏡はコンテナの陰へと消えた。

「了解です」

 胸ポケットのカードから彼女の返事が聞こえた。




 骸骨のマスターは、結局捕まえられなかった。

「捕獲に失敗しました」

 捜索から帰還した水鏡が報告した。おそらく海へ飛び込み、逃走したのだろう。

「そんなことより、怪我は!?」

 彼女に駆け寄り、損傷部を見る。やはり左目は完全に潰れている。

「問題ありません。カードに戻して頂ければ、二十四時間以内に完全治癒します」

 その言葉で一気に力が抜ける。その場にへたり込んでしまった。安堵の胸を撫で下ろす。

「そうか、良かった……」

 だが、自分のせいで重傷を負わせてしまったのは変わらない。

「ごめん……!」

 しゃがみ込んだまま、彼女へ頭を下げる。

「何を、されているのですか?」

 水鏡が小首を傾げた。

「謝罪など不要です。私はバディですので」

「いや、そんなのおかしい。自分のせいで誰かを傷付けたのなら、謝らなきゃ駄目だ。疑って、そんな怪我までさせて……、本当にごめん」

 目の前に掌が差し伸べられた。

「マスターは変わった方ですね。思考が理解できません」

 水鏡に手を引いてもらって立ち上がる。

「そうかな」

 頬を指で掻きながら答えた。

 砕けたコンクリートの地面を見る。そこには血の付いた白いコートがあるだけで、骸骨の姿はない。水鏡が敵能力者を追跡する間に、光へと還元されて消えた。

「待っている間に、骸骨が消えたけど」

「破壊されたバディはカードへ戻り、二十四時間呼び出すことができません」

 水鏡の返答を聞きながら、地面に落ちたコートを拾い上げる。指先に血で湿った感覚が伝わった。手ではたいて汚れを払う。

「マスター、迅速にここから退避しましょう。先の敵は、元マスターの仲間かもしれません」

 目標を仕留め損なった敵は仲間を呼ぶだろう。いや、既に連絡済みかもしれない。

「ワームは?」

「別の場所で入手しましょう。今は離脱が最優先です」

「うん。……でも、その前に」

 水鏡の顔を見る。彼女は無防備にこちらを見つめて、じっと言葉の続きを待っている。その姿は、何となくご主人様の命令を待つ犬を連想させた。

 顔を逸らして、水鏡へコートを差し出す。

「とりあえず、服着て」

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