23.囚人と脳トレ
暇すぎる。
そろそろやることが尽きた私は、ベッドの上にだらりと横たわって退屈をかみしめていた。
窓から見える空は嫌味なほど青い。まるで外で遊ぼうよ、と呼びかけているようだ。
……こんな退屈な生活が続いたら、そのうち痺れを切らして脱走してしまいそうだ。
あの腹の立つ謁見が終わった後、部屋に押し込まれて5日が経った。
この5日、ほとんど気の休まる会話をしていない。
食事を運んでくるジーナさんが、必要最小限の会話しかしてくれなくなったからだ。
ジーナさんの申し訳なさそうな顔を見る限り、多分誰かからあまり話さないよう命令されているんだろう。
悲しいことに、かわって一番顔を合わすようになったのがシドだ。
日に何度かやってきては、辞書を片手に拙い日本語で話しかけてくる。
行動だけを見ると友好的だが、その冷たい視線がすべてを語っていた。私が何者か調べるために、わざわざ辞書まで使って話をしているのだ。
まず、『オナマエハ?』からはじまり、『アナタハ、ドコカラ来マシタカ?』とか、『カゾクハ、何人デスカ?』など質問をして、私の顔色をじっとチェックしてくる。
正直言って、微妙なアクセントでの尋問は精神的に参る。
まあでも、少しは面白い会話もあった。
真剣な顔をして、『アナタハ、王族デスカ?』なんて聞かれたときには、思わず大笑いしてしまった。
……そのあとシドの目が余計にきつくなって、居心地が悪かったけど。
それ以外は暇なので、私は返してもらった荷物の整理をしたり、手帳にこれまでの経緯をまとめてメモ書きしたりしていた。
後々のためメモには大事な情報だけでなく、少しでも気になったことは網羅してある。
それでも5日も暇していれば、やることは尽きる。
私は白い布団にくるまり、ため息をついた。
退屈を紛らわそうとベッド上でごろごろ転がっていると、鍵を開けてシドが扉を開けた。
芋虫のようになっている私を見て、嫌そうに顔をしかめる。
『何、また尋問? 何も覚えてないって言ってるでしょ』
軽蔑の表情に怯まず、シドに向かって不機嫌な口調で言い張る。
そう、異世界から来たことを隠すと決めた私は、記憶喪失のふりをしていた。
ヘタに嘘をつくより、何も覚えていないといったほうが都合がいいと思ったからだ。
ぶすっとした私に構わず、シドは渋い表情のまま無言で誰かを通す。
今まで影になって見えなかったが、背の高い人が室内に入ってきた。
薄い水色のローブを着て、海のような青色の瞳をした、金髪の女性だ。
まるでモデルのように綺麗で、スタイルがいい。
予想外の展開に、芋虫状態だった私はあわてて布団をはぎとり、座りなおした。
『こんにちは、エリカさん』
モデルのような美人は部屋の中央まで進むと、さっと椅子に座り完璧な日本語で話しかけてきた。
『私は魔女連盟から派遣された者で、カリーティザと言います。どうぞお見知りおきを』
そう続け、美女は日本語以上に完璧な笑顔で、華やかにほほ笑んだ




