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ブレイブ・フェザー!  作者: 斬空狼
第Ⅱ章 ~そうだ、長崎、行こう~
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第二十五翔 〜朱い記憶〜

また1ヶ月以上更新が遅れました…。


この話、完結するまでに何年かかるんだろう…。


それはそれとして、本編をどうぞ!


研修二日目。

今日は実際にFGを装着しての飛行訓練を実施するらしい。


しかしせっかく飛べるのに、僕の視線と思考はランバーズさんに全て注がれていた。

注がれていたって言うか、注がざるを得ないというか。


「お、おい進道!あの人って!」


今日の講師が到着した途端、それも吹っ飛んじゃうんですけどね。


「え?あ、ああっ!」


慌てる久宝さんの声にハッとして、空を見上げると。


「そ、蒼燕!?」


見間違うはずがない!

あの青いFGは蒼燕だ!

と言うことは今日の講師って…。


「はーい、皆さん。今日の研修は僕、坂垣寅一が担当します」


!?


さ、坂垣さんだ!

本物の坂垣寅一さんだ!


まさかのスペシャルゲスト―――もとい本日の担当講師に、その場にいた全員が驚きを隠せずにいる。


福室さん程ではないにせよ、坂垣さんも世界選手権には幾度となく出場しているし、斡旋で各国のレースに参加することも多々あるため、この人だってかなりの世界的有名人だ。


と言うか、つい一週間前に代表決定戦で飛んでた人が、何でこんなところで講師やってんだよ!



「や!久し振りだな、永路!テメェまだ生きてやがったか!ハッハッハ!愉快痛快!正路の旦那が見たらなんと言うかねこんちくしょー!」


と、僕に気付くといきなりマシンガン如き早口で話しかけてきた。


こうして顔を合わせるのは父さんが死んでから初めてなので、およそ6年振りになる。

よく僕だって気がついたな、坂垣さん。



「坂垣さんこそ、お元気そうで何よりです」



「な〜に一丁前に敬語とか使ってんだよバッキャロー!昔みたいに『寅さん』でいいっつーの!」


ハッハッハッと、大胆に笑う坂垣さん。



余りにイメージと違いすぎたのか、僕と坂垣さんの会話を見ていた他のインストーラー達は、唖然としている。


『…アレ、ホントに坂垣寅一…?』


『…もっとクールな人だと思ってたのに…』


『って言うか、あの日本代表の子、何であんな坂垣選手と仲良そうなの?』


あちこちで代表生達がざわめき出したのに気がついたみたいで、


「ゴホンッ」


と一つ咳払いをすると、坂垣さんの顔つきが登場時のようにキリッとしたモノになった。


「えー、気を取り直して。皆さん、早速ですがFGを装着して下さい!」






「風迅、インストール!」


僕の合図と同時に、右手首に填めた腕輪を始点として風迅の各パーツが、身体に装着される。


…何か久し振りだな、空飛ぶの。

宜しく頼むよ相棒。


「うし、ヘカトンケイル、インストールや!」


お、久宝さんのFGってヘカトンケイルって言うんだ。


確かヘカトンケイルはギリシャ神話に出て来る百の腕を持つ怪物だっけ。


成る程、腕に一杯アタッチメントが付いてるし、ピッタリな名前だ。


「インフィニト・ソル、インストール!」


「ベルメリオン・ラミナ、インストール」


ダミアンさん、ランバーズさんも自分のFGを装着した。


ダミアンさんのインフィニト・ソルは眩しい金を基調としたカラーリングにピンと立った一本の背面ウィングが特徴的だ。


例えるなら、Zガ◯ダムの背面のアレだ。

ウェブライダーの時に尾翼みたいになる奴。


一方ランバーズさんの『ベルメリオン・ラミナ』は朱いカラーリング、触れば切れてしまいそうな程シャープなボディパーツと二枚のウィングを装備している。


…そしてなにより、目のやり場に困るデザインだ…。

特に、その、胸が。


僕の視線に気付いたのか、不敵に笑うランバーズさん。

ついドギマギしてしまう。

アレが大人の色気ってヤツなんだろうか。


ファムもあのくらい成長すべきじゃなイテテテテ!


『今なんか失礼な事考えたでしょ!心拍数上がりっぱなしだし、丸わかりなんだからね!』



耳をつんざく位の声が通信される。

痛ってー…。

ファムのヤツ、また電流流しやがったな。


「よし、全員インストールしたみたいですね。それではあちらに注目してください!」


坂垣さんの指の先には、スタジアムのスクリーンディスプレイ。

そしてそこにはトーナメント表が掲示されていた。


「残りの2日間、皆さんにはひたすらこのスタジアム内でレースをやってもらいます!優勝者には豪華賞品、敗者にはテンジ講師のスペシャル特訓メニューがプレゼントされるので、皆さん死なない程度に頑張って下さい!」






「僕はXブロックだから、一番最後ですね」


「ウチはAや。初っ端やな」


「俺もAだ!宜しくなアユム!」


くじ引きでA〜Xブロックに別れ開催する事になった学院代表戦。


一つのブロックにつき6人がレースを行い、上位3名が次の闘いへ駒を進めることが出来る。


二回戦以降は各ブロックの勝ち残り、計6名によるレース。

これを繰り返して準優、優翔戦へ出場する選手を決めるのだ。


但し人数とレース数の関係上、準優戦は三試合行われるため、準優戦のみ勝ち残れるのは2人ずつとなる。



これは一般のレースも同じ(幾つか例外もあるが、殆どはこの方式だ)。


なるほど、さながら実戦形式で飛ぶことになるわけか。


「ティス、お前はいつ飛ぶんだ?」


「Jブロックよ。優翔戦で会いましょう」


ダミアンさんとランバーズさんの会話が聞こえた。


Jって事は、僕とも優翔までは当たらないな。


…これはチャンスかもしれない。


「ら、ランバーズさん!」


「あら、何かしら坊や(ベベー)?」


べ、ベベー?

いや今はそんなことはどうでもいいや。


「い、今からのレース、もし僕が優翔戦に出れて」


「出れて?」


おちょくるように僕の言葉をオウム返しするランバーズさん。


「…僕があなたに勝てたら」


「勝てたら?」


変わらず皮肉るような態度で僕の台詞を繰り返す。


だがここで呑まれてはいけない。


僕は知らなくちゃならないんだ。


父さんの死の真実を。


「教えてください。昨日のあの言葉の意味を」


今度はオウム返しをすることなく、口に手を当て真剣に考える素振りを見せるランバーズさん。


やがて彼女は言った。


「いいわよ。但し逆に私が勝ったら」






「あなたのお父さんのお墓を教えて頂戴な」






続く!


トキ「うぷっ…飲み過ぎました…」


と言うわけで『教えて!答えて!トキコ先生!!』のコーナーは今回はお休みです。


つーかぶっちゃけこのコーナー要ります?


いっそのこと打ち切って…


トキ「やめて!それだけは!」



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