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ブレイブ・フェザー!  作者: 斬空狼
第Ⅰ章 ~進道永路、始動~
16/35

番外編 〜旭川麻火的視点PART2『戦闘潮り…じゃなかった、父からの電話』〜

タイトルがいつになく長いのは御愛嬌。


今回は旭川麻火君が主人公の物語です。


風邪気味の中で書いたので、パロディ要素がマシマシです。


それではごゆっくりご覧下さい。



「324…フッ…325ッ…!」


ピリリリリリリリ。


あ、電話。


俺こと旭川麻火は腕立て伏せを中断してベッドの上にある携帯電話を取った。


「もしもし?」


『よう、せがれよ!元気にしてるかこの野郎!』


「……お掛けになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめになってもう一度お掛け直しください」


『あ、こりゃ失礼』


プチ。ツーツー。


五秒後。

ピリリリリリリリ。

ピ。


「お掛けになった電話番号は」


『って待てえい!何電話で居留守やっとんじゃ我はぁ!』


「いや、もしもしって言った時点で気付けよ」


『む、それもそうか。フッ、腕を上げたな息子よキリッ』


「キリッ、じゃねえよ。つーか電話越しに顔が見えないからって口に出すな。逆に格好つかねぇよ」


出そうが出すまいがどちらにしろ格好はつかないが。


「はぁ…。で何の用、親父?」


そう。

既にお気づきの方もいるかもしれないが、この自称ハイパーメガインフィニティグロリアスフリーダムロマンチックビクトリー(意訳:無駄に高い)テンションの39歳のオッサンこそ、俺の父親の旭川壮一(あさひかわ そういち)だ。


五歳の頃に母親を交通事故で亡くした俺を、男手一つで育ててくれた超スゴい人なのだが、先述の通り、いかんせんテンションが高すぎる。

おかげでこっちのツッコミのスキルが上がりまくりである。


『おお、そうだ。お前に用があってな』


「だから、その用はなんだって聞いてんだよ」


いまいち要領を得ない親父に少し苛立ってしまう。


『父さん、再婚した』


へぇ、再婚。

再婚って美味しいよね。

うん。

そうか再婚か〜。

そう来るとは思わなかったわ〜。

って―――――――


「再婚んんん!!?」


『ハッハッハ!そんなに驚く程嬉しいか!そうかそうか!それでこそ再婚した甲斐があると言うモンだ、ハッハッハ!』


「いやいやいやいやいや!!待て待て待て待て待て!!」


再婚!?

親父が再婚しただと!?

聞いてないぞ、そんな事!


『そりゃそうだ。だって今言ったからな』


「何当たり前みたいに振る舞ってんの!?」


思えばいつだってそうだ。


母さんが死んだ時は別として、親父はいつも大切な事は随分と後になって、それこそ当たり前のようにポツリと言ってくる。


車を買い換えた時も!


家をリフォームした時も!


宝くじで一億円当てた時も!


事前相談と言うものを知らないのだ、この男は。


しかも宝くじに至っては車とリフォームの資金として幾らか使った後に報告して来やがった!


…ってちょっと待てよ。

と言うことは、まさか今回も…。


「親父、念の為聞いとくけどさ。再婚っていつ籍を入れた?」


『ん?ああ、確かアレは今から36万…いや一万4000年前だったか』


「やめろ!版権的に危ないネタはマジでやめろ!つーか真面目に教えろよ!」


『ハッハッハ!いや悪い悪い!実は1ヶ月程前だ』


やっぱりかい!

やっぱり事後報告かい!


『実は春子さん―――あ、これは再婚相手の女性な―――ともかく彼女と交際を始めたのは一年くらい前なんだけどな』


スピード婚かよ!

出会って9ヶ月でもうゴールインかよ!!


そして教えろよ!

交際してたことくらい教えろよ!


『ハッハッハ!すまんすまん!聞かれなかったもんでつい、な』


「いや、どこの世界にいきなり寮から『再婚した?』なんて電話をかける、家族変化探知機みたいな高性能な息子がいるんだよ」


そんな道具、どっかの青い猫型ロボットでも持ってねえよ。


『ハッハッハ!まあそれは置いといて』


「置くな!」


まだ何にも解決しちゃいない!


『本題に入るんだが』


「あぁ?本題って、まだ何かあんのかよ?」


ハア…。

まあこれ以上何が有っても驚かないだろうけどさ…。


『春子さんの連れ子―――早い話がお前の妹に当たる娘がいるんだが…』


前言撤回。

ふっつーに驚いたわ。

驚き過ぎて携帯落としそうになったわ。



妹?

sister?

偉茂兎賭?

小野妹子?


「いいいいい妹ォォォォ!?」


先に断っておくが、俺は断じて妹趣味なんて持ち合わせていない。


じゃあ何で驚いたかって?


いや、だって普通いきなり『お前に妹が出来たよ』なんて言われたら誰でも動揺するだろう?


『おいおい、大丈夫か?』


「大丈夫なワケあるか!!」


『そうか。じゃあ続けるぞ』


「人の話を聞け!!」


どんだけマイペースなんだよ、この男!

唯我独尊過ぎるだろ!


『でな。その娘のことでお前に言わなきゃいけなことがあるんだ』


「言わなきゃいけないこと?」


まあどうせ『仲良くしてやれ』とかそんなところだろう。


とか考えていたこの時の自分がひどく滑稽だ。


相手はこちらの予想の遥か斜め右上89°を行く、スーパー親父。


その程度の筈がなかった。


『その娘、今そこにいるぞ』


「……はい?」


そこ?

どこ?

俺の後ろ?

メリーさんも立たねえよ。


『だから、学院にいるぞ』


「………」



あぁ、そういうこと!


「ってどういうことだぁぁ!」


『ハッハッハ!そういうことだから、仲良くしてやってくれ!』


「仲良くも何も、俺まだその娘の名前すら知らないんだけど!?」


『あ、来週の水曜日からゴールデンウイークで連休だろ?その時に春子さん達紹介してやるから、一旦家に帰ってこいよ』


「聞けよ!俺の話を聞けよ!」


『ハッハッハ!その娘の名前は敢えて教えん!自分の力で探してみろ!』


何で課題みたいになってんの!?


『ハッハッハ!それじゃまたゴールデンウイークに会おう!』


「え!?ちょっと待てよ!本気かよ!?いやむしろ正気か!?ってオイ!もしもし!もしもーし!」


ツーツーツーツーツー。


………切れた。


電話だけじゃない。

俺の中で何かがプッツンした。


「あんの馬鹿親父ぃぃぃ!!」


俺の魂の叫びは、夕焼けに虚しくこだまして、空の彼方へ吸い込まれていった。






「ひぅっ!?」







いかがだったでしょうか。


前にも書いたかもしれませんが、個人的に麻火君はお気に入りのキャラクターなので書いててすごく楽しかったです。


『キャラクターが勝手に動く』と言う都市伝説が昔あったような気がしますが、麻火君は正にそれなんですよね。


斬鉄犬が尊敬してやまない某小説家先生のとこの殺人鬼みたいな感じです。


ここまで読んで下さった皆様に感謝致します。


本当にありがとうございました!


それでは、駄犬めはこれにて失礼致します。


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