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プロローグ〜父の残影〜
はじめまして。斬鉄犬です。拙い文章ですが、暖かい眼差しで読んでもらえると嬉しいです。
声が聞こえる。
沢山の人の熱狂的な声援。
嬉々として実況するレポーターの声。
でも、その歓声は次の瞬間に悲鳴に変わった。
その場にいる人の視線はある一人の男の血にまみれた姿に釘付けになり、それは僕も例外ではなかった。
そして血まみれの男は最後の力を振り絞り、僕の方へ手を伸ばしながら呟いた。
『……永………路…』
「ッ…!父さん!!」
勢い良く身を起こす。
そこはいつもと変わらない、僕の部屋。 変わってしまったのは僕の方だ。
「…また、あの時の夢………」
『フェザーギア』。通称『FG』
15年程前に日本で開発され、今や世界中で普及している、装着型ハイスピードマシン。
僕の父さん、進道正路は日本におけるトップクラスのFGインストーラーで、世界中から一目置かれた人物だった。
そう。7年前のあの事故までは。