エピソード47 白い布紐
青い埃の中の言葉は消えなかった
拒絶
それはショーンゴの足元に
勝利としてではなく横たわっていた
まるで染工場そのものが
まだ閉じきれていない扉になったみたいに
扉は細く開いていた
その向こうには闇が垂れていた
そしてそのどこかで
一人の生きた人間が
とても静かに息をしていた
少年は歯を強く噛みしめすぎて
顎が震えていた
メラは彼の肩を押さえていた
- 今じゃない
彼女は言った
- もしあの子なら 私たちはそこまで行く
- もし罠なら お前の声がそれを閉じる
少年は頷いた
すぐにではない
それでも頷いた
ショーンゴはすぐには敷居を越えなかった
左ではレルタが短刀を低く構えていた
腰に近い位置で
右ではセイガが扉の前の埃を見ていた
ミロスはタルヴェンの背後に立ち
彼が暗い通りへ後ずさりできない位置を取っていた
リオルは全員の半歩後ろにいて
扉そのものではなく
その向こうに吊られている声の数を聞いていた
- 声が多い
リオルが言った
- でも生きた息は一つだけだ
タルヴェンが低く答えた
- ここでは声は生の証拠にならない
ショーンゴは彼を見た
- 何が証拠になる
タルヴェンは長く扉の隙間を見つめた
- 熱
- 同じ形で繰り返されない恐怖
- そして他人の規則ではなく
- 自分で乱れる呼吸だ
メラが鋭く彼へ顔を向けた
- あなたはそれを知りすぎている
- そうだ
タルヴェンは答えた
- だからまだ生きている
レルタが敷居へ一歩進んだ
- 私が先に行く
- いや
ショーンゴが言った
彼女は怒らなかった
ただ少しだけ首を傾けた
- 理由は
ショーンゴは足元の言葉を見た
- これは俺の拒絶を受け取った
- なら最初の一歩も俺のものでなければならない
- だが全員で入るな
セイガは板の破片で敷居の前の土をなぞった
青い埃には触れない
ただ乾いた土をずらし
言葉と扉のあいだに歪な帯を作った
言葉の青い縁が暗くなった
だが動かなかった
- 名づけられていない土はまだ邪魔になっている
セイガが言った
ショーンゴは頷いた
- それを俺たちと痕のあいだに保て
セイガは黙って二つ目の破片を取った
ショーンゴは最初の一歩を踏み出した
青い埃の上ではない
古い敷居の石の上へ
染工場は光で彼へ飛びかからなかった
叫びもしなかった
扉を閉じもしなかった
だからこそ悪かった
中にあるものは
普通の罠よりもずっと賢く待っていた
彼の次に入ったのはレルタだった
彼女は敷居の左に立った
壁を背にして
扉と奥へ続く暗い通路の両方を見られる位置だった
セイガは右へ入り
すぐに床へ視線を落とした
ミロスはタルヴェンを
ショーンゴの少し後ろ
皆から見える横へ入れた
前ではない
完全な後ろでもない
全員に見える場所だった
メラは少年を敷居のそばに残した
だが自分は
もし彼が叫んだ時に
すぐ口を塞げる場所に立った
リオルは最後に入った
中は古い染料の匂いがした
濡れた木の匂い
冷えた布の匂い
そして空気のない場所に長く置かれすぎた
甘いものの匂い
天井から床まで布紐が吊られていた
緑
青
白
手首に巻く帯のように細いものもあった
床に届きそうなほど長いものもあった
輪に丸められたものもあった
まるで誰かから急いで外され
二度と広げられなかったかのように
白い布紐には何も書かれていなかった
だからこそ
それが一番悪かった
レルタが短刀を少し高く上げた
- 空だ
タルヴェンはそれを見なかった
- まだな
メラが囁いた
- まだって どういう意味
タルヴェンは彼女ではなく
ショーンゴを見て答えた
- 白は
- まだ記録の中で場所を割り当てられていないものを待つ
ショーンゴはゆっくりと列を見渡した
- その人間はまだ生きているのか
- あるいは記録が
- 何を取るのかまだ決めていない
タルヴェンが言った
敷居のそばの少年が小さく息を飲んだ
- 妹はそこにいる
リオルが手を上げた
- 生きた息は奥だ
- この部屋じゃない
セイガは板の破片で右の壁際の床に触れた
埃の中に足跡が通っていた
新しい
だが奇妙だった
まっすぐではなかった
それを残した者は
どの布紐に触れてはいけないか知っているように
布紐のあいだを歩いていた
- ここを最近誰かが通っている
セイガが言った
- 一人は確かに歩いている
- もう一人は弱い
- 三人目は引きずられている
メラは少年に一歩も進ませなかった
- 弱い足跡があの子かもしれない
リオルはすぐには答えなかった
- かもしれない
- だが生きた息は一つだけだ
それは肯定ではなかった
否定でもなかった
だからこそ少年は耐えた
ショーンゴは奥へ進んだ
速くはない
一歩ごとに
セイガが埃をずらした場所
あるいは乾いた破片で示した場所へ足を置いた
布紐は彼に触れなかった
だが揺れた
風ではない
中に風はなかった
それはまだ言われていない言葉で揺れていた
左から突然 老女の声が聞こえた
- 確認する
レルタが鋭く短刀を向けた
リオルが低く言った
- 空の声だ
右から別の声が答えた
- 自分で来た
セイガは目を上げなかった
- 意味を聞くな
- どこから繰り返しているかを聞け
ショーンゴは一本目の白い布紐のそばで止まった
それは他のものから少し離れて吊られていた
緑には触れていない
青にも触れていない
下端に古い印章の痕があった
青ではない
緑でもない
色のない痕
印はあったのに
そこから色だけを抜き取られたようだった
タルヴェンはそれを見て唇を強く結んだ
ショーンゴは気づいた
- これは一人のためじゃない
タルヴェンは黙っていた
- 顔に出ている
ショーンゴが言った
- 話せ
タルヴェンは低く答えた
- 白い布紐が待っているのは
- 必ずしも人間とは限らない
メラは彼を見た
- ほかに何を記録できるの
タルヴェンは染工場の壁へ目を移した
- 家
- 通り
- 門
- 町
レルタはすぐには理解しなかった
そのあと短刀の柄を強く握った
- 人だけを書いていたんじゃないのか
- 人は軽い
タルヴェンが言った
- 場所は重い
- だが場所がすでに帳簿の上に置かれていれば
- 人々が気づく前に
- 譲渡の準備ができる
ショーンゴは白い布紐を見た
色のない印の下で
細い文字の端が浮かび始めた
全部ではない
最初の曲線だけだった
セイガが身を寄せた
- 名前が出始めている
タルヴェンが鋭く言った
- 触るな
- 触っていない
セイガは答えた
- もう浮かんだ分だけを読んでいる
布に少しずつ浮かんだ
オル
タルヴェンは目を閉じた
その同じ時
役所の中庭では
エンナがページから手を引いた
下の余白にあった青い線が消えた
その隣に白が浮かんだ
ケルトがすぐに身をかがめた
- 何だ
オルデクは完全に見える前から青ざめていた
- 白い行だ
サルマが彼へ振り向いた
- 誰のためのもの
オルデクは長く答えなかった
彼の視線は人の名ではなく
ページの上の方を追っていた
そこには各紙ごとに
その帳簿が属する場所の名が書かれていた
この町の名
オルヴェン
その名は中庭の誰もが知っていた
子どもでも知っていた
借用証にも書かれていた
報告書にも記されていた
レヴェンガルドの印章がその名を支えていた
だから誰もその名に驚かなかった
驚いたのは
その下に空白の行が浮かんだことだった
ケルトがゆっくりと言った
- これは人の名簿じゃない
オルデクが頷いた
- 譲渡の下書きだ
ランゼが盾を石に下ろした
鈍い音がした
- 何を譲る
オルデクの代わりにベレンが答えた
- 町だ
中庭は叫びで爆発しなかった
今回の恐怖は
音にするには大きすぎた
サルマはベレンを見た
- 知っていたの
ベレンは階段のそばに立ち
言い訳を探さなかった
- 清書帳のことは知っていた
- 役所が変わる時の備えだと思っていた
- 町ごと準備しているとは知らなかった
デランは硬貨を回すのをやめた
- 役所が変わる
彼は繰り返した
- 人間ごと売るにはきれいな言葉だな
ベレンは目を伏せた
それで十分だった
染工場の中では
ショーンゴの前の白い布紐がゆっくりと開いていた
そこにさらに浮かんだ
オルヴ
その下に細い線
名の下の空白
犠牲者のためではない
町が渡される相手のための空白だった
ショーンゴは布に触れなかった
- 誰へ
タルヴェンは黙っていた
- お前はもう十分長く生きている
ショーンゴが言った
- その生き延びる癖を今さら壊すな
タルヴェンは目を開けた
- 名前は知らない
- ここには書かれていなかった
- 白は空白のまま残される
- 自分の印を押す者が来るまで
セイガは白い布紐と
最も近い青い痕のあいだの床を
板の破片でなぞった
- つまりオルヴェンはまだ渡されていない
- 準備されていた
- そうだ
タルヴェンが言った
- そして緑と青の記録が済めば
- あとは町に新しい所有者を
- すでに決まったものとして受け入れさせるだけだった
メラはゆっくり敷居の方を振り返った
- あそこの人たちは
- 自分たちがもう行に置かれていたことすら知らなかった
タルヴェンは否定しなかった
リオルが突然顔を上げた
- 生きた息が速くなっている
染工場の奥で何かが落ちた
重くはない
小さなもの
木の椀か蓋のような音だった
少年が飛び出そうとした
メラが押さえた
- 聞こえている
彼女は言った
- でも今お前があの子の名を叫べば
- あいつらにまた一本の糸を渡す
少年は唇を噛んで血を滲ませた
それでも黙った
ショーンゴはレルタへ顔を向けた
- 出口を押さえろ
ミロスへ
- タルヴェンは倒れない
- 逃げない
セイガへ
- 布紐と床のあいだに帯を
リオルへ
- 生きた息のところまで導け
- 名は使うな
リオルは頷いた
彼は奥へ一歩進んだ
声へではない
声と声のあいだの沈黙へ
ショーンゴはその後に続いた
背後で白い布紐はゆっくり開いていった
そこにはもう見えていた
オルヴェン
そしてその下に二つ目の行が浮かんでいた
空白
まっさらで
他者の印を受け入れる準備のできた行
役所の中庭で
エンナが低く言った
- ここにも空白の行が出ています
ケルトはページに触れなかった
- 名の下か
オルデクはすぐには答えなかった
- そうだ
サルマは鍵を握った
- そういう本は何冊あるの
ベレンは帳簿室の方を見た
- 窓のない保管室に
- まだ運び出されていなければ
ランゼはすぐにアーチのそばの二人の見張りへ振り返った
- 誰も一人でそこへ行かせるな
- そして証人なしに一冊も外へ出すな
サルマが頷いた
- ケルト
- エンナ
- あなたたちは開いた本のそばに残る
- オルデクが保管室への道を示す
- ベレンが先に行く
- 嘘をつけば 最初に人々の前に立つのは彼だ
ベレンは反論しなかった
それは新しかった
悔いではない
だがもう権威でもなかった
染工場では通路が狭くなっていた
布紐はさらに密に吊られていた
緑が青に触れていた
白は別に下がっていた
もっと良い場所を待つように
リオルは前を歩き
息を数えていた
- 生きているのは一つ
- 空の声が二つ近くにある
- その奥にまだ何かある
入口の方からレルタが低く投げた
- 生き物か
リオルはすぐには答えなかった
- いや
- 辛抱強いものだ
タルヴェンが自分で止まった
ミロスがすぐにその背を押した
- 歩け
- この先は染料の部屋だ
タルヴェンが言った
- そこでは桶を見るな
ショーンゴは顔を向けた
- なぜだ
タルヴェンは闇を見ていた
- ここの染料は
- もう布のためのものではない
染工場の奥から
静かな息が聞こえた
生きている
さっきより近い
そのあと子どもの声が囁いた
- 青を見ないで
敷居のそばの少年が震えた
メラは彼が名を吐く前に
その口を手で覆った
ショーンゴはさらに一歩前へ進んだ
闇の中で
古い桶の輪郭がゆっくりと光り始めた
青く
深く
そこに映ったのは彼の顔ではなかった
役所の中庭だった
白い行のある本
そしてオルヴェンの名の下にある
まだ他者の印が置かれていない空白だった




