第3話 無視できない存在になる
半年が過ぎた
彼は砂漠を歩いていた
一人で
力もない
希望もない
砂が足を焼く
空気は乾ききっている
一歩
もう一歩
彼は倒れた
身体が言うことをきかない
彼は横たわり
空っぽの空を見つめる
その時 目の前に 印が現れた
それは光ったわけじゃない
ただ そこにあった
空中に浮かぶ 奇妙な紋様
象徴
なぜ分かったのか 自分でも分からない
でも確信だけはあった
この印は 俺のためだ
- 俺は嫌だ
- 悪として生まれたわけじゃない
言葉は乾いた空気に溶けた
返事の声はない
あるのは感覚だけ
怒りでもない
温もりでもない
方向
誰かが道を示したみたいに
彼がずっと内側に抱えていた道を
- 英雄になれないなら
- 俺は 無視できない存在になる
- 二度と
彼の目が かすかな黒い光を帯びた
ゆっくり起き上がる
身体は痛い
それでも 背筋は伸びた
彼は一歩踏み出す
そして初めて
確かな足取りで 歩いた
最初の3話、ここまで読んでくれてありがとうございます
この先は長く、そして簡単ではない道になります
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