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第2話 背を向ける世界

彼は土地をさまよった

長く

目的もなく


ある日 小さな村に辿り着いた


一晩泊めてほしいと頼むと

渋々ながら入れてはくれた

敵意はない

ただ 距離があった


夜 村が襲われた


悲鳴


略奪者たちは素早く押し込んできた

扉を壊し

家から人を引きずり出す


彼は叫び声で目を覚まし

外へ出て

燃える光景を見た


彼は 村と襲撃者の間に立った

手を伸ばす


動きは衝動だった

決断というより 反射


閃光


魔力が前へ飛び出した

荒く

制御されていない


光が消えた時

敵は もういなかった


静寂


人々が隠れ場所から出てくる

おそるおそる


誰も喜ばなかった


彼は道の真ん中に立ち

荒く息をつく


服は焦げ

腕が灼ける

力は自分自身も傷つけていた


痛かった


それでも 彼は待った


せめて ひと言でも


女が子どもを抱きしめ

一歩下がる


老人は視線をそらす


熊手を持った若者が

落ち着かない目で 周りを見る


- こいつ 俺たちだって消せたはずだ

- あの力 見ただろ

- 俺たちを“助けた”んじゃない

- 力を見せつけただけだ

- 次は 俺たちが消される番かもしれない


- 普通じゃない


- 次は 止められなかったらどうする


背後から 誰かが近づいた

目を合わせない


村長だ


- 出ていけ 今すぐだ


声が震えていた


- うちに もう一匹の怪物はいらん


彼は言い返したかった

俺が助けたのに


でも言葉が出なかった


彼は背を向けて歩き出した


背中を丸め

黙ったまま


後ろに残るのは囁きだけ

まるで 彼が汚れたものでもあるかのように


時が過ぎた


彼は別の村に着いた


受け入れられはした

だが住まわせたのは外れだった


子どもから遠く

中心から遠く


噂は 彼より速かった


一週間も経たないうちに


また襲撃

また炎


彼はまた力を使った

今度は さっきより抑えて


だが終わった後

向けられる視線は同じだった


- お前のせいで 奴らが来たんだ


村長は傷を負い

憎しみを込めて見た


- 屋根を貸してやったのに

- お前は呪いを持ち込んだ


名もない彼は答える


- 俺は警告した

- 奴らを見たんだ


村長の声は震える


- 俺たちが聞くのは英雄の言葉だ

- 放浪者の言葉じゃない

- 消えろ


それは何度も繰り返された


新しい村

新しい襲撃

新しい責め


やがて 彼は長居をやめた


そして ついには

人に近づくことさえ やめた

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