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エピソード16 扉の向こうには何がある

地上では まだ街が眠っていた

だからこそ もっと怖い


暗い路地で 誰かが子どもの名を呼んだ

言葉の半分で 声が消える

口から単語を盗まれたみたいに


店のそばで 男が一歩

倒れたのは殴られたからじゃない

次の一歩が その男から消えたからだ


妻が助けようと身をかがめ

固まる

腕が どうやって身体を支えるのか 思い出せなくなった


全部が偶然に見える

夜みたいに

疲れみたいに

でも 街は払っていた


倉庫の下で 唸りがさらに明確になる

ただの騒音じゃない

方向だった


広間の右の壁

亀裂の横の石が 線で黒くなりはじめる

ひび割れるんじゃない

浮き出る

長い間 隠されていた形が 石の下にあるみたいに


ランゼは中心寄り

盾を胸の前

半歩ずれて セイガを身体で覆う位置へ


セイガは左の床の線のそば

掌の光は いま薄い

節約するみたいに

歯の間から息を吐く

余計に払わないために


ミロスは入口近くの影

糸がまだ手首を追って掴んでいる

暴れない

糸が弱い場所を 学んでいる


リオルは壁際

ランゼの肩の傷に指を置く

治療は途切れ途切れ

上で誰かが 許したり 禁じたりしているみたいに


ケルトはショーンゴの後ろ

フードがずれて 鋭い目が見える

浮き出る線を見つめ 瞬きもしない


- 壁じゃない

ケルトが言う

- 遮断だ

ずっとここにあった

ただ誰にも 見る権利がなかった


ヴェルクは亀裂と新しい線の間に立つ

肩は血に濡れ

額の印は燃える

だがもう均一じゃない

封印が自分の縁を食ったみたいに


ヴェルクはショーンゴを見て

初めて数字じゃなく 事実を言う


- 俺を殴ったんじゃない

- 結び目を殴った

- 結び目は 自分の道筋を切られるのが嫌いだ


ショーンゴは身体で感じた

胸の空間が чужくなる

肋が一瞬 別の位置に置き換えられたみたいに

右手の指が重くなる

刃の代価が 短く 無言で来た


壁の石が小さくカチリと鳴る

仕掛けの音じゃない

許可の音だ


線が四角に組まれる

取っ手のない扉

錠のない扉

存在できるものと

存在してはいけないものの境界としての扉


ヴェルクは逃げない

ただ横へ退く

他人の手で通路を示すみたいに


- 言っただろ

- ただの扉だ

- 俺は一番奪う奴じゃない

音を立てずに払わせる奴だ


セイガが掠れ声で言う


- 向こうにいるのは誰だ


ヴェルクは一秒 沈黙する

その沈黙は 答えより重い


- 規則にさえ報告させる者だ

ようやく言い

視線はショーンゴじゃなく

その輪に落ちる

借金として書き落とせる鎖を見るみたいに


ショーンゴは息を整える

ショーンゴはここでの規則に合わせて動くのをやめた


仲間を見る


- ランゼは中心を押さえる

- セイガ 光を槍みたいに投げるな

糸みたいにだけ使え

- リオル 壁から離れるな

お前が俺たちを生かしてる

- ミロス 糸を力で引きちぎるな

糸が自分から折れたがる場所を探せ

- ケルト

お前は俺の後ろだ

ここを知ってる


ケルトは乾いたまま頷く

初めて彼の中に 何かが生まれる

力への敬意じゃない

決断への敬意


ショーンゴは扉へ近づく

その瞬間感じる

頭の中で 自分の名が小さくなる

声にする権利を奪われたみたいに


彼は石に触れない

手じゃなく

視線で

圧で


扉が勝手に応えた


開かない

ただ 壁であることをやめる


向こうは廊下だった

光が無い暗さじゃない

別の法が在る暗さ


空気はもっと濃い

足音は署名みたいに響く

そして遠く

近くじゃない

ずっと深く

誰かがもう知っていた

彼らが敷居に立ったことを


ショーンゴは中へ最初の一歩

背後の石が小さく息を吐く

街がまた払ったみたいに

この扉が開く権利のために

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