表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/17

原点

かなり短いですけど、楽しんでくれたら幸いです


「すっげえ!!音が聞こえるぜこれ!!」


 路地裏で日課のゴミ漁りをしていて、ふと目に止まった名前がわからない物(蓄音機)。花みたいに開いていた金属、それの根元にある木の箱。

 どれも路地裏(ここ)じゃあ、お目にかかれない代物ばかりだ。


 色々いじっていると、木の箱の上についていた黒い円盤が急に回り始めた。

 急に動き始めて俺はビビったが、それよりも俺にはこれが、()()()()()()()()

 

 そう思って、目が離せない。


 俺は恐る恐る手を伸ばして、木の箱から飛び出ている、先端が針のようになっている部品を、ちょんと下に押した。


 聞き慣れない音が鳴った後、静かに“音”が流れ始める。


 最初は弱々しく、吹けば飛ぶような歌声。

 それが負けじと、段々と強くなっていく。

 強くなって、音が一番盛り上がる瞬間……


 ガチャ


 と無慈悲にも、そこから先は聞くことも、または音が流れる事も無かった。


 俺は木の箱から出続ける異音を、食い入るように聞いていた。俺の腐った世界をぶち壊しに来てくれた、“天使”のようだった。


 断言出来る。俺はあの時間、あの瞬間だけ確かに路地裏(こんな所)を飛び出していた。


 時間にして三十秒。あるかないか、そんな時間しか経過していないはずなのに、俺には何十時間にも感じられた。

 一つの劇を俺はずっと、魅せられていた。


「すごかったなぁ……」


 しばらくして、やっとこさ出てきた俺の声は、俺が思う以上に頼りなく、震えた声だった。

 多分、生まれて初めての感動だった。


「よっと」


 ズシリと両手から重さが伝わる。両手で抱えた“音を出す機械”を俺は瓦礫の山から丁寧に運び出して行く。


 この機械に使われている金属部分を売ってしまえば、多少の金にはなるだろう、いつもならそうしてる。


 でも、不思議と俺はそうしようとは思えなかった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ