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プロローグ
「はぁっはあっ、おえっっ……」
入り乱れる森の中、口に血と土の味がするそんな中、今一人で地面を這って一人で逃げている。
右足が千切れ、左の足の付け根が抉られており、立てたとしても歩く事すら出来ない。
脇腹は半分近く抉られ、臓物がはみ出ている。
出る血も全部出し、すっからかんである
あぁ、何もない体って……こんなに軽いんだ。
「何でっ」
潰れた喉で必死に声を荒げる。
出来るなら戻りたい、元の世界に。
なぜ、なぜ俺なんだ、あの日から全てが終わった。
異世界に召喚された日から。
「ふぐっ!」
今はそんな事を考える時間が無い、体が動かなくなる、どんどん動かなくなっていく。
「何でだ?」
潰れた喉で出す声は酷い、でもこうでもしないと、ころっと死んでしまいそうだ。
いやもうだめだ、体から熱が消えてく。
此処で俺が終わる? 何もしてない何にも成れない そんな中途半端な人生で?
「終わってたまるかっ」
血と胃液をこれでもかとぶち撒け、絶望の表情をしたままその場で倒れてしまう。そして小さな声で、彼は呟き続けた、その命が消えるまで……
・・・・・・
『殺してやる』と……