表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

第一話 バージョンアップ

 ここは お城から二番目に近い村「レイベの村。」


森の近くにあるその村は、農業が盛んでおだやかな村である。




 まだ昼も来ていないころ、村の中心の鐘の周りには人だかりがあった。


 「こんにちはー! 今日からここの入り口担当のセイエです! よろしくお願いします!」


 少年が大きく挨拶をする、村人は拍手で温かく迎えていた。


 「ほっほっほ。 今日のバージョンアップで追加された入口で村名を言う少年だ。 みんなよろしく頼むぞぉ」


 白いひげのいかにもな村長が村人に言った。


今日はこの村がある世界のバージョンアップ。 最終調整の最中に行われ、この後セイエはデビューすることになる。




 「いやぁ他はいるのにここだけ居ないのはおかしいと思ってたんだよ、言ってよかったよなぁほんとに」


 屈強な男がうなずきながら呟いた。


 「なんでレーベの村には今までいなかったんでしょうか、不思議でしたよね」


 それに眼鏡をかけた学者風の男性も同意する。


 「さぁのぅ…かれこれこの世界が生まれてから600年もたっているからのぅ…」


 村長がわからないという表情をする。


 「600年!?」


 そしてセイエが思わずツッコミをいれる。


 「あぁ、この世界の設定的に600年でこのゲームは1年ってことじゃの」


 「急なメタ発言やめろ! しかも1年もいなかったのかよ! ここはレイベの村ですって言うやつ!」


 コホンと咳払いをして村長は続けた。


 「とにもかくにもな、ここは最初の村を経て少し自信がついてきた勇者一行が訪れる場所じゃ。


案外重要な村ともいえるのじゃ。 セイエよ出迎えをしっかりと頼むぞい」


 「はいっ」


 村長の言葉に身が引き締まる。 これからセイエの仕事が始まるのだった。




 バージョンアップ30分前


 「今まで来た勇者一行はこの村でどうしてたんですか?」


 セイエは近くの村人に尋ねた。


 「ん-特に何もない村だと思って木の剣と回復薬だけ買って次の洞窟に向かうことが多かったな」


 「結構軽い…! だいぶ舐められてる…」


 村人はははっと笑いながら


 「そしてその洞窟のボスがなかなか難しくて次の村が暇らしい。」


 「いやそれバランス崩壊じゃねぇか! そりゃそうだよもっといい装備買えよ! レベル上げしろよ!」


 セイエのツッコミが響く。


 「それもそうだよな、その装備やレベル辺のセリフ言う担当いないから」


 「僕の役目それにするべきだった!」


 すでにセイエの担当が定着しつつあった。






 バージョンアップを終えて、ついに一組の勇者一行がこの村にやってきた。


 「ようこそ、ここはレイベの村だよ」


 5日前から練習したセリフをセイエは勇者一行に伝えた。


 「…」


 そのまま勇者一行は一列になってスルーし、武器屋へ直行した。


 「ほんとにそのまま武器屋行きましたね」


 セイエは呆気にとられながら言う。


 「見とけよ、魔法使い以外の3人の右手に持ってる棍棒が木の剣になって出てくるから」


 そばの民家の住人がセイエに耳打ちする。


 「そのあとすぐ武器屋から勇者一行が出てきたが、確かに木の剣3本を持って次の洞窟へとすぐ向かっていった。


 その後すぐ勇者一行が武器屋から出てきた。


 「ほんとだ…木の剣3人分だ…」


 「だろ? ここは木の盾も売ってるけどここに来るまでのモンスターから1ダメージしか食らわないから誰も買わないんだよな」


 「えっ!? 盾売ってるの!? 買えよ!」


 この村までの道中で完全に舐められていた。


そのあとすぐさま洞窟に入った勇者一行はこの村で蘇生し3度ほど洞窟に挑戦をしていたが、ついに洞窟を越えることはなく、そしてこの村に戻ってくることもなかった。




 「積まれてんじゃねぇーか!」


 セイエの初日はここで終わった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ