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コミュ障ダンジョン探索者、人助けしまくってたことがバレて感謝されすぎる ~やめて! もう感謝しないで!~  作者: マノイ
間章:真実

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7. [配信回] 実は区切りの配信でした

「くあー! なんでや!」

「友3さん、怪しいエセ関西弁になってるよ?」

「だってどう考えてもおかしいやろ!」

「イカサマしようとするから悪いんだよ」


 普通にやっていれば運で勝てるかもしれないのにね。


 そんなボクらが今やっているのはポーカーだ。

 友3さんが親をやっているのだけれど、ボクにだけ山札の下から配ろうとしたりとイカサマを仕掛けてくるから高速すり替えで軽く向かえ撃った。


 "マジで救様の動きが見えないんだけど"

 "目を凝らして見てるのに不審な動きが一切見えない。なおワイ探索者"

 "しかも友3の偽イカサマすら見破ってるし"

 "あれはあれで全く気付かなかった"

 "友3って技術力があるだけじゃなくてカジノディーラーも出来るのかいw"


 探索者として鍛えた力を使うなんて大人げないと思われるかもしれないけれど、ボクを辱めようとしてくるから悪いんだよ。


 ちなみにポーカーの前に神経衰弱や7並べで戦ったけれど、そっちも完勝だった。


「は~もうやめやめ。トランプでは勝てないわ」

「ようやく諦めたんだね」


 友3さん以外はもう諦めてたけれど、友3さんだけは自信があったのか食い下がって来たんだ。


「救様を倒すには京香さんを呼ばなきゃダメかな」


 友1さんが恐ろしい事を言っている。

 確かに今の京香さんなら負けることもありえるかも。


 "京香様とスピード対決見たい"

 "超高速で一瞬で終わりそうw"

 "よ~い、スター……終わり!"

 "そして一瞬遅れて爆風が発生するんだろ"

 "見てないのに容易に想像出来るwww"


「私は救様とパートナーになって遊びたい!」

「友2ちゃんずるい!」

「それを言ったら戦争になるから誰も言い出さなかったのにな」

「ぐへへ、絶対まけなーい」


 あはは、でもボクも誰かと一緒になって遊ぶのは興味あるかも。


「今回はチーム戦のゲームを用意してないからまた今度ね」


 また今度、か。

 いつになるか分からないけれど出来ると良いな。


「さぁ次のゲームだよ。これで救様を倒すんだから」

「どんなゲーム?」


 友1さんはトランプをしまうと、大きな箱を取り出した。


 "人生ゲーム!"

 "運ゲーで勝負か"

 "救様って運は無さそうだからいけるかも"

 "でも運が無ければダンジョンで生き延びられなくね?"

 "実力だろ"

 "想定外に隠しボスが出て来てぷぎゃらされてるし、運は悪いんじゃね?"

 "たし蟹"


 人生ゲームか。

 ボクがまだダンジョンに入る前に家族で一緒に遊んだことがある。


 あの頃は皆が言う通りに運が悪くて、借金だらけで負け続けたっけ。

 でも今やったらきっと違う結果になるはずだ。


「これも特別製なんだよ」

「またボクの変な顔が書いてあるんじゃないよね」

「……無いよ!」

「友1さん!」


 彼女がチラっと見た先にはもう一つ大きな箱が置いてあった。

 そっちも人生ゲームって書いてあるけれど、多分そっちはボクの絵が沢山かいてあるに違いない。トランプの時にボクが嫌がったから、違う方を持って来たんだ。


「え~あっちやろうよ。救様と結婚したい~」

「ぷぎゃっ!? どんなゲームなのさ!」


 友2さんがとんでもないことを言い放った。

 まさかあっちは結婚相手にボクがいるの!?


 そんな恥ずかしいゲームなんか出来る訳がないじゃないか。


「お、興味ある? じゃああっちを……」

「ダメ!」


 危ない危ない。

 あの危険なゲームが世の中に出る前にどうにかして抹消しないと。


「ボクが勝ったらあのゲームは絶対に外に出しちゃダメだからね!」

「え~」

「というかボクが勝たなくても」

「よ~しやろう!」


 最後まで言わせてもらえなかった。

 まぁ良いや、負けないもん。


 人生ゲームの内容はルーレットを回してマス目を進んで行くすごろく形式で、ボクが知っているものと同じだった。


「あ、ルーレットは使わないからね。救様だと狙った数字を出せそうだから」

「気付かれちゃったか」


 最初に一回まわしてみてルーレットの固さを確認すれば、そこからは狙った場所に止める自信があったのに。


 "救様の本気モードやばす"

 "確かにルーレットは俺らでも狙おうと思えばある程度狙えるもんな"

 "でも普通は狙っても少しずれるし、狙わないのがマナーだろw"

 "友達が罰ゲーム的なの仕掛けて来てるからしゃーない"

 "大人げない救様もかわゆす"


 ルーレットの代わりに使うのはサイコロだ。

 それを小さなボウルみたいな容れ物に投げ入れることになった。


「それじゃあ私からやるね」


 友1さんがサイコロを振ったら五が出た。


「いち、に、さん、よん、ご」


 止まったマスには何が書かれてるのかな。


『車に轢かれそうになって怪我をする。一回休み』


 うわぁ、怖いマスだ。


「あちゃ~最初の方で止まっちゃったか~」

「最初の方で?」

「保険に入ってれば一回休みだけどお金が貰えるんだよ」

「なるほど」


 ということは、この手の怪我とかのマスが結構あるってことなんだね。

 一回休みは痛いけれどお金が貰えるならありなのかな。


「でもお金のためにこのマス狙ったら悪いことしてる気分になるね」


 "はい良い子"

 "ゲームですよ救様"

 "悪者プレイとか出来ないんだね"

 "G〇Aとかやらせてみたい"

 "勝つためなら何でもするタイプのワイ、低見の見物"

 "何でもしなくても勝てるからかもw"


 よ~し、それじゃあ次はボクの番だ。

 サイコロを振ろう。


「あ、友1さんと同じだ」


 五が出たので同じマスに止まることになっちゃった。


「一回休みか、残念」

「ちょっと待って」

「え?」


 友3さんがボクらの駒をマスの外に一旦出して、強くマスを押し込んだ。

 するとマスがくるりと回転して、表と裏が逆になった。


「救様はこっちね」

「どういうこと!?」


 同じマスでもボクだけ内容が違うだなんて、どうしてさ。

 釈然としないけれど、とりあえずひっくり返ったマスの内容を読んでみる。


『車に轢かれそうになった子を助けて感謝される 一回休み』


 "あ~これは救様バージョンですわ"

 "怪我じゃなくて感謝で休みなの草"

 "車に轢かれるよりダメージ大きいから……"

 "保険金の代わりにお礼金とか貰えるようになるのかなw"


「救様……助けてくれてありがとう!」

「ぷぎゃっ!? これってそういう意味なの!?」


 車に轢かれそうになった友1さんをボクが助けたって意味になるんだ。

 単にボクだけ内容を変えるんじゃなくて視点を変えてるんだね。上手だなぁって感心しちゃったから文句言い辛いや……


「私も救様に助けてもらいたい!」

「ぐへへ、私は救様を助けたい」

「そういうマスを探さなくて良いから!」


 全くもう。

 でも変な狙いに拘るなら自滅してくれるかも。


 その後ゲームを進めると、職業選択のゾーンがやってきた。


「ボクはやっぱり探索者かな」

「探索者はギャンブル性が高い職業だよ。魔物と戦って怪我して休むマスとか多いからあまりオススメ出来ないかな」

「せっかくだから現実とは違ってなってみたい職業を選んでみたらどうだろうか」


 現実とは違うなってみたい職業か。

 何があるかな。


 ボクはコミュ障だから……ううん、それは今は関係ないか。

 ゲームなんだから自分の得意不得意とか関係なく自分がやってみたいことを選んで良いはずなんだ。


 会社員、スポーツ選手、教師、医者、芸能人、漫画家、政治家、色々な職業が並んでいる。


 もしもボクが探索者でなかったなら。

 探索者以外でやってみたい職業。




「やっぱり探索者が良いや」




 皆を心配させるかもしれないけれど、ボクは探索者が良い。

 現実では大切な人を守れるようになりたいからって探索者を選んだけれど、それとは関係なくボクは探索者が好きなんだ。


「救様ったら」

「でもそれでこそ救様って感じです!」

「やはりそうだったか」

「救様は探索している時が一番良い顔してる」


 "確かに救様はダンジョン探索の配信時が一番キラキラしてるよね"

 "危険だから止めて欲しいって思ってたけれど、過保護すぎたのかな"

 "傷つくのを恐れなさ過ぎたのが問題だから、自覚して貰えたなら解禁しても良いのでは?"

 "自覚したのかなぁ"

 "正直なところ、救様が楽しく探索している姿を見たい"

 "でもボロボロになる姿はもう見たくない"

 "救様が危険に対する常識を学んでくれれば送り出せるってだけの話だと思う"

 "まなびましたか"


 そりゃあ学んだよ。

 痛いくらいに学んだよ。


 だって皆が沢山感謝して来るんだもん。

 ボクのことを大切だって涙ながらに訴えて来るんだもん。

 傷つく姿を見たくないって何度も何度も言われるんだもん。


 流石にボクだって自分を大切にしなくちゃって気付いてるよ。

 だからどうしてもやらなきゃならないとき以外はなるべく傷つかないように気を付けるべきだってちゃんと分かってるよ。


 それはこれからの配信とかで行動で示して行こうと思う。


「あはは、ボクだけじゃないじゃん」


 気付けば皆も職業についていた。


 友2さんと友4さんは探索者。

 友3さんはエンジニア。


 ボクと同じで今の自分の職業と同じものを選んでいた。


 でも友1さんだけはゲーム的な選択をしていた。


「お医者さん?」

「ゲームで儲けるためだよ。実際は違うって。私そんなに頭良くないもん」

「なりたい職業って何かないの?」

「う~ん、それが思い浮かばないんだよね」


 友1さんは大学に進学することになっている。

 ボクらの中で唯一探索者とは関わりが無い未来を選んだ。


「将来は決まって無いけれど、何かあったら絶対に救様の助けになるから頼ってね!」

「うん、ありがとう」


 明るくそう言ってくれる友1さんだけれど、その顔にほんの少しだけ影が差している。

 そしてそれは友1さんだけじゃない。


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 楽しい楽しいゲームの最中だと言うのに、ボクらは黙ってしまった。


「あはは、暗くなっちゃったね。楽しくやろうって決めてたのに」

「そうそう、楽しくやりましょう!」

「ああ、そうだな」

「ひっぐ、ひっぐ、寂しいよ~」

「「「「友4さん!」」」」


 なんでボクらが将来の話をするだけでこんなに暗くなってしまったのか。

 何故友4さんが泣いてしまっているのか。




 ボクらはもうすぐ、高校を卒業するからだ。




 今日は高校最後に皆で遊ぼうというコンセプトの集まり。

 ボク達だけで遊ぶと湿っぽくなっちゃうかもしれないから配信して最後まで楽しくやろうって話をしてたんだけれど、ダメだったね。


 友1さんだけは遠く離れた大学に通うことになっているから、これまでのように気軽に会うことは難しくなってしまう。


 ボクが高校に本体で通うようになってから、一番積極的に話しかけてくれたのは友1さんだ。

 おかげで今ではクラスの皆と普通に話が出来るほどになったし、友達も増えた。


 本当に感謝してるし、最高の友達だ。


 友2さんと友3さんは高校で友1さんと出会った友達で、友4さんは中学の頃からの友達なんだって。ボクよりも長い付き合いでとても仲が良いのだから、別れが悲しいに決まっている。


 "(´;ω;`)ウッ…"

 "(´;ω;`)ウッ…"

 "(´;ω;`)ウッ…"

 "やっぱりこうなるよね……"

 "ここまでよくがんばった"

 "高校の時のこと思い出してつらい"


「うわああああん! ゆうちゃ~ん!」


 友4さんがついに決壊して友1さんに抱き着いた。


 その姿をボク達は見守……ぷぎゃっ!?


「みんなああああああああ!」


 友1さんが抱き着いた友4さんごとボクらの方にダイブしてきてもみくちゃになっちゃった。


「お別れなんて寂しいよー!」

「もっと皆と一緒が良かった!」

「ああ……ああ……!」

「うわああああん!」

「ボクも……寂しいや」


 それからのことをお話しするのは無粋というものだろう。






 



「はい、ゴール。大富豪だ」

「救様強すぎ!」

「実はサイコロも狙って目を出せるんだよね」

「「「「ずるい!」」」」


 なんてオチで終わったこの配信の数日後、ボクらは高校を卒業した。


 そしてボクはついに最難関ダンジョンに再び潜るようになり、ラストダンジョン攻略に向けて着々と準備を進めることになる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 卒業おめでとう、と言ってよいのかな。 救もついに就職、社会人なんですね。就社でなく本当の意味での就職。他の三人も、かな。 そしていよいよ最終第三部ですね。もう今までのような形で友が出てくる…
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