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118 一緒なら
凄く短いです
夢を見ていた。
幸せな夢だ。
自分は大切な者と一緒だった。
この幸せを守ろうと思った。
守れると思った。
だけど・・・。
相手は強大で。
戦う前から負けるとわかっていた。
だから・・・。
『諦めるの?』
と誰かが言った。
仕方ないよ。
だって、絶対無理だから。
『どうして?』
と続けて聞かれた。
そんなの見たらわかるよ。
魔力の差が歴然。
『そうかな?』
そうだよ。
『そんなのわからないよ。』
わかるよ。
『どうして?』
だって、
『どうして?』
だって・・・。
『どうして?』
・・・負けるのが怖いから。
『うん。』
負けたら全部失うから。
『うん。』
・・・
『でも、ここで蹲っていても、何も変わらない。』
『一緒なら。』
『うん、一緒なら。』
『抗ってみない?』
それはどちらか一方の思考ではなく、お互い別々に思った事でありながら、同じ軌跡を辿って掴んだ答え。
二人が伸ばした腕は、確かにお互いを繋いだ。