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短編

オッπ女子の幻覚につきまとわれて困っています♡

「ハァ~……。なんか変わったこと起きないかなぁ……」


 仕事の帰り道。辺りはすっかり暗い。北国の日が落ちるのは早い。


「毎日、毎日、仕事するだけの人生。何かいいことはないですか〜?」


 俺の名前は一之瀬いちのせ楓太ふうた、30歳。苗字と名前の頭を取って『イップ』と呼ばれている。


 今日もいつもと何も変わらない。忙しい仕事を済ませるともうこんな時間だ。スポーツマンの俺の足なら徒歩15分の距離なので、いつも歩いて帰る。


 ふと見ると、灯りに照らされた電柱の陰に、女の子が立っていた。顔はよく見えないが、清楚な感じのストレートロングヘアーで、20歳代半ばぐらいの可愛い子のようだ。意味ありげな笑顔で俺のほうを見つめている。


 俺は背が高くない。顔も人並みだ。しかし俺にはジムで鍛えた筋肉がある。もしかして筋肉フェチ? 俺のカッコいい筋肉に見惚れてるのかな? そう思うとムフフな気持ちになってしまう。


 彼女はミルクコーヒー色のカジュアルなワンピース姿で、細身なのに胸はボタンが吹っ飛びそうなほどに立派だった。90センチEカップぐらいありそうだ。俺の目に間違いはない。俺は一目でバストサイズを見抜ける特技を身につけている。詰め物とかしていてもすぐにわかる。


 彼女は俺の筋肉が好き、俺は彼女のオッπが好き。


 おお! これ、利害の一致ってやつじゃね?


「お嬢さん、今晩は!」

 俺は考えるよりも早く、張り切って声をかけていた。

「よかったらクリスマスにケンタッキーフライドチキンでも一緒に食べませんか? 今はまだ5月だから、半年ちょっと後に。それまでに関係を築きませんか?」


「ふふっ」と、彼女は笑った。


 俺が近寄るにつれて、その顔がはっきり見えて来る。


 おお……、可愛い! ぜひ、付き合いたい!


 そう思った時、彼女の姿が俺の前から突然、消えた。


「あれっ……?」


 きょろきょろ辺りを見回したが、誰もいない。


 俺、夢でも見てた……?


 仕事で疲れてるのかなあ……。しかも欲求が不満だから、楽しい幻覚を見てしまったか。


 がっかりすると、俺はスーパーで豚肉とキャベツを買い、家に帰った。




 部屋で一人お好み焼きを作っていると、隣に彼女がまた現れた。


「あれぇ〜? 俺、よっぽど疲れてるのかな?」


 そう呟きながら、ワンピースのボタンを今にも飛ばしそうな彼女のオッπをしげしげと見た。


「そうよ。あなたは疲れてるの」


「疲れてる時にはオッπに顔を埋めるに限るよな〜」


 俺がそう言うと、彼女はまた消えた。いかん、いかん。欲求を素直に口にしすぎた。




 風呂に入ると、彼女が先に浴槽に浸かっていた。


「やあ、湯加減どうだい?」


「お見事な湯加減だわ」


 そう言ってにっこり笑ってくれる。頭の上で留めた髪と、汗ばんだ額がセクシーだ。何より腕で隠しているその胸が、まるで餅みたいに弾力たっぷりに膨れ上がっている。


「僕も入りまーす!」


 浴槽へ頭からダイビングした。


 ピンク色の彼女の裸体と黒いワカメが揺れているのが確かに見えた。しかし水面から俺が顔を出すと、彼女はまたもや消えていた。


 まぁ、幻覚だからな。


 でもいいものを見た。幸せだった。




「今日は楽しかったなぁ」


 布団に入って俺が呟くと、添い寝しながら彼女が現れた。


「ふぅん? 何がどう楽しかったの?」


「もちろん君と会えたからさ」


 俺はキメ顔を作って彼女のほうを向くと、微笑んで見せた。


 彼女が嬉しそうに微笑み返す。彼女のしなやかな指が伸びて来た。俺の胸に触れると、撫で回して来る。ふふ、やっぱり筋肉が好きな子なんだな。


「僕も……触っていいかい?」


 彼女の顔がすぐ側にある。白くて細い首がその下にある。その下には全裸の胸があった。


「ふふ……。触る? 何を?」


「君のオッπを……」


「すけべ」


「そうだよ」


「そんなこと言わずに強引にしてくれればいいのに」


 彼女の唇が妖しく笑う。


 よし、行ける。


 俺は横を向くと、彼女の細い身体を左腕で抱き締めた。右腕を、彼女の、前に、伸ばし……


 オッπに触れようとしたところで、彼女が消えてしまった。


「フッ……」

 俺は、優しく笑った。

「幻覚だもんな」


 でも幻覚っていいもんだ。後腐れがないし、修羅場になることもない。付き合い続けて倦怠期を迎えてしまうこともない。いわば永遠の愛ともいえるものだ。


 俺は彼女の頬にあったわずかな吹き出物の質感を思い出しながら、肩の細さを思い出しながら、何よりもチラリと布団の中に見えた可愛い乳首を思い出しながら、眠りについた。


 幸せだ。こんな幸せな気持ち、いつ振りだろう。


 お休み、名前も知らない、オッπの素敵な、僕の幻の恋人……。






 次の日、職場へ行くと、同僚の森村もりむら日向子ひなこちゃんが珍しく話しかけて来た。


 日向子ちゃんは栗色おさげ髪にべっ甲の大きな眼鏡をかけた、地味な女の子だ。歳は25歳、オッπは80センチのCカップで間違いない。てのひらにすっぽり収まるサイズだ。


「あっ……、あのっ……。イップさん……」


 どうしたのかな? いつも大人しい彼女が必死な表情で目を潤ませ、何か俺に言おうとしている。仕事の話かな? そうでないなら嬉しいな。


「ん? どうしたの?」


 彼女が話しやすいように、にっこりと笑顔で顔を覗き込んであげると、日向子ちゃんはもじもじしながら告白して来た。


「あ……、あたしっ……。昨日からなんですけど……、いきなり超能力が使えるようになっちゃったんです!」


 何の話だろう。


「詳しく?」

 俺は真面目な顔をして、聞いてあげた。


「幻覚を飛ばせるようになったんです」


「幻覚……?」


「はい……。自分とはまったく違った、綺麗で、オッπの大きな女の人の幻覚を作り出して、人に見せることが……」


 俺は思わず日向子ちゃんの両手を掴み、握っていた。


「あれは君だったのか……!」


「すっ……、すみません!」


 ぺこりとすまなさそうに頭を下げる日向子ちゃんに顔を上げさせると、俺はとても嬉しそうな笑顔を見せてあげた。


「嬉しい……! 俺、前々から日向子ちゃんのこと、いいなって思ってたんだ」


「本当ですか!?」

 日向子ちゃんが飛び上がるように言った。可愛い笑顔が見れちゃった。

「だってあたし……オッπ小さいのに……」


「もちろん大きなオッπも素敵さ」

 俺はほんとうに思っていることを口にした。

「でもCカップにはCカップの良さがあるんだ。君のCカップはほんとうにちょうど良くて、いいなって思ってたんだ」


「嬉しい!」

 俺の胸に飛び込んで来た日向子ちゃんの頭を俺はぎゅっと抱き締め、逞しい胸に埋めてあげた。

「あたしもイップさんの胸筋、ずっと好きだったんです! 大好き!」






 それから楽しい毎日が始まった。


 俺は日向子ちゃんに毎日胸筋や上腕二頭筋を触らせてあげ、俺も彼女のオッπを毎日触らせてもらった。思った通り、てのひらにすっぽり収まるサイズのそれは柔らかさもマシュマロみたいで、夢のようだった。


 たまにリクエストして幻覚のEカップちゃんも出してもらった。日向子ちゃんの作り出す幻覚は本物みたいで、触ることだって出来る。日向子ちゃんが幻覚を纏ってボン・キュッ・ボンに変身することも出来る。なんて天使みたいな恋人が出来てしまったんだ!


 でもやっぱり幻覚は本物の日向子ちゃんじゃない。いくら美人でも幻覚は幻覚に過ぎないのだ。


「やっぱり女の子もオッπも本物のほうがいいや」

 俺はそう言って、素の日向子ちゃんを抱き締めた。

「ちゅきだよ、ちゅきちゅき。日向子ちゃん」


「あたしもイップさんが好きです」

 彼女も俺を抱き締め返し、胸に頬を埋めて来る。

「この胸筋が好きなんです」



 なんだ。


 この世は天国だったんじゃないか♡



この物語はフィクションであり、登場する人物は実在の人物とも実在のなろう作家さんとも一切関係ありません。

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― 新着の感想 ―
言葉にするのはよくできんが、とにかくすごい話だ。
2024/10/20 18:59 退会済み
管理
[良い点] えっろ! ( *´艸`)
[良い点] ものっ凄いデジャブを感じました! おっきいオッπはいい! でも、手の平サイズのオッπもいい! もちろん、小ぶりなのもいい! とりあえず明日から、80のCカップな同僚を探してみます! 一…
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