本物の愛 それぞれに思う本物の愛とは?
エヌ氏は一代で財を成した男。『金で買えないものはないし、本物は大金を出さねば手に入らない』これが彼の信条だ。
一方、エヌ氏が金持ちになる前からの友人であるアール氏は、『愛は金で買うことができない』という信条の持ち主。エヌ氏に婚約者を紹介されたときも、「確かに美人だが金目当てではないか?」と忠告したくらいだ。
しかしエヌ氏はアール氏の忠告を無視し婚約者と結婚してしまう。
そしてエヌ氏が破産すると、彼女は彼を捨てて出て行ってしまった。
「ほら見たことか」
アール氏は自分の考えが正しかったことが得意なのと同時に、エヌ氏に哀れみの感情も抱く。
だが、当のエヌ氏はさっぱりとしたもので、なにが見たことなのかわからないといった風に言った。
「やはり本物の愛は高いな。維持費が払えないとなるとすぐに消えてしまう」