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2.初対面でもやっぱり一目見ればマッマだってわかるもんだよ。

二話です。よろしくお願いします。

「なぁんか静かっすねぇ~」


めちゃくちゃ大きい木に寄り掛かりながら、俺はそうぼやく。


革新的方法で謎の閉鎖空間から脱出を果たした俺が目にしたのは、辺り一面に広がる緑....。そこらかしこからなんか神聖な雰囲気っていうのかな。そういうのを感じてあまりふざける気にはなれず、大人しく当たりを散策することにしたのだが。


視線を横に動かし、俺の真横に鎮座する物体を見やる。それは幾重にも絡まった木の枝が集まってできた半円状の形をしていて...。

はい、みなさんお気づきの通り、これ、最初のアレです。俺が生まれ落ちたところです。

というのも、どれだけ歩き回っても、この場所に返ってきてしまうのだ。迷いの森かな?

何回か直進だけしてみたり、別の方角に向かって進んでいても、絶対にこの場所に返ってきてしまう。謎解きとかなんかあるんかな、と思ってみても、あたりには一切変わらない木が連立しているだけ。動物の声もしないし、別の種類の木とかも見かけない。...正確にいうと、今俺が寄り掛かってるこの木だけはなんか他より大きいんだが、特に違う点とかも見受けられないし、正直よくわからん。


「はぁー、開けゴマ!」


もはや動く気力がわいてこないので、座ったまま両手を突き出し、投げやりにいってみる。


「....やっぱないよな。俺もうここから出たいんですけど....腹は減ってないけど死んじゃうから誰か助けてー」

『...いつまで遊んでるんじゃ』

「ふぁっ!?」


唐突に自分以外の声がして、驚き前に転がってしまう。慌てて声の主を探すが、視界に人の影は映らず、さらに謎が深まる。はえー、これが天の声ってやつなんすかね。


『ここ。ここ。わし、お前の寄り掛かってた木。理解できるかのぅ?』


へぇー。木....なんすか....。まじでいってる?口とかどこにもないのに、どうやって喋ってんの?

とりあえず木に近づいて、ぺちぺちと木をたたいてみる。


『...楽しい?』

「楽しくないです....ごめんなさい....」


悪いことしたらしっかり謝ろうね!


さて、ところでこの木....。さっき普通に俺の木を叩くという行為に反応して話しかけてきたよな....。正直木が喋っているより、誰かが遠くで俺のことを見張っているって考えるほうが現実的か...?まぁそもそも、TSで異世界転生(と思われる)とか現状が既に現実的じゃないけどな。つーか、俺って死んだの?


「あー...えっと聞きたいんだけど、いい?」

『構わんぞ。というか、わしそのためにいるわけじゃし』


は?説明のためにいるとかお前正気か?聖人が....ありがとうございます、よく分からないけど木のおじさん!


「じゃあさっそく....俺って誰だかわかる?」

『すまん質問の意味がわからん』

「あえっと、そうだよな。ん~なんといえばいいか....。俺のことって見覚えある?というか、知り合いだったりする?正直今起きる前までの記憶ないんだけど」

『いや、これが初めての邂逅じゃ。まぁ、わしはお前のことは知っていたけどな。じゃないと、説明とか頼まれてないわけないじゃろ』

「そっかぁ....。....エッ何俺のこと知ってるん!?まじで!?」

『まじで....だけど、それ教えちゃダメって言われてるんで、まぁ他の質問で頼む』

「まじ....?」


はー、なんやこいつ。つかえねー。腐れ木人が。お前主人公のキャラ紹介しないとゲーム始まらねェだろォ!?チッ雑魚が....。


『一応言っておくと、わしお前の心の声読めるんじゃよね』

「ふぁ、まじか....腐れ木人とかいってすいませんでした」

『ェ、ブラフかけただけなのにホントに思ってたのお前....というか腐れ木人ってなにそれひどくない?わし傷ついちゃったんじゃけど』

「ままええやろ。謝ったし仲直りだな。じゃあ気を取り直して...ぶっちゃけここから出る方法なんかない?」

『えー、最近の若者ってみんなこうなの?そんなすぐ開き直るとか、おじいちゃん怖い。....出る方法って言われても、直進すれば出れるじゃろ』

「はー、やっぱ使えねぇな...。さっき試してダメだったから聞いてんだろ」

『その声でその口調なの変だから直して。おじいちゃんからのお願い。あとさっき、お前直進とかしてなくて、馬鹿みたいにずっとこの木の周りウロチョロしてただけじゃったよ』


はー。なんなんすかね、コイツ。とうとう目も悪くなっちゃったんですかね。まぁ、お前目とかついてないしな。正直口とかもないし未だにどうやって喋ってんのか見当もつかないわ。

さて、正直おじいちゃんは使い物にならんので、自分でなんとかするすべを考えよっか。


...というかさ、正直俺が出れないのってなんとなくこのあたりから漂う神聖パワーのせいだと思うんだよね。なんだろ、実際に感じたことないから分からんけど、例えるなら神の気配?あたり中からここは神の住処だよーみたいなオーラがぷんぷんしてるわけ。文字通りの神域、聖域みたいな。

だから、てっきり神とか、ここの支配者的な人に会えれば何かわかるかと思ったけど....会えたのはこのボケ老木人だけなんだよなぁ。しかもコイツさっき『教えちゃダメって言われてる』とか言ってたし、コイツより偉いやつは100%いるわけでしょ?多分、そいつがここから出してくれる神に違いないと思うんだけど。


つーか、そもそも疑問。なんで俺はここにいるわけ?


道中、軽く木の枝とか折ったりして見たが、今の俺の力は前世より遥かに強いということが判明した。半径10cmとかのちょっと太い木の枝、全く力入れなくてもポキッていったもん。

そんな俺でも、この木の枝ドームには本気で力を込めてもぴくりともしなかった。外見上、そんな太い木の枝は使ってないように見えるんだけどな。


んで、あの中のずっと寝ていたくなる雰囲気も加味して考えると、俺のことを封印、もしくは保護していたんじゃないか?んで、封印だとしたらこんな自由にうろつける時点でちょっとあり得ないと思うんで、まぁ可能性的には、保護が妥当か?


となると、誰かがここに俺を連れてきて、俺の眼が覚めるまで、もしくは時が来るまで守ろうとしていたんじゃないか?んで、この神聖空間でそんなことができるのは....ここの主くらいなんじゃねーの?


うん、冷静になって考えてもよくわかんねーな。なんとなく、俺の立ち位置がおそらくここの神の同胞だか親族だかお気に入りっぽいことは分かったんだけど、結局だから?なんだよなぁ。関係を明らかにしたところで、出れなかったら何の意味もない。


つーかいい加減俺も自分のハイパーかわいい姿をじっくりと視k....見てみたいわけですよ。まじでいつまで焦らしp.....いつまでこんなもどっかしい気持ちでいればいいんだ。背中が痒いのに手が届かないっていうのと同じくらい俺は今むずむずしてるぜ...!


「あらあら、おはようございます。」


ふわっと、俺の鼻に花...駄洒落じゃないが、花の香りが飛び込んできた。それと同時に、背中からぎゅっと抱きしめられる。

まるで春の陽だまりのように....蒸し暑くない、涼しい暑さ。あったかさを感じる。それに、後ろから抱き着かれていて、その....でっかいのが俺の背中に押し付けられてるのを感じる!!


「お、おはようございます....?」


煩悩を隠しながら、とりあえず返答しておく。正直すっごいバブみを感じてる、なんか声がすべてを許してくれるような優しさに溢れてて、なんというか包容力がすごい。こんなに人に煩悩を振りまく神様なんていていいと思ってんの?最高です。反省して下さい。


優しく、からだの向きを変えさせられ、そして正面からもう一度きつく抱きしめられる。


「ああ、よかった。何の問題もなく、生まれてきてくれて、ありがとうございます」


神だ。このけしからんおっp....こんな神聖な体してるのは間違いなく神だ!あー、ありがとうございますうぇへへへ。

というかなんだ!?生まれてきてありがとうって、お前俺のマッマかよォ!ありがとうございます!


「ふふ....まだ、混乱しているんですかね。大丈夫ですよ、私はあなたのお母さんです。気軽に『ママ』って呼んでくださいね?私の可愛い可愛い娘....」


☆本当にマッマでしたありがとうございます―――!!!!!

ストック切れました。実は10話くらいまで書いてたんですけど、途中で構想変わったので再走です。

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