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桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
魁蟾妖、異世界に坐すの巻
90/156

魁蟾妖と亡命の民

最近自分の脳裏にこびりついて離れない「うちの小説、文字数少なすぎね?」問題

 ミアズマント。かつて、身も心も深い火傷を負った俺の側に居てくれた少女の種族であり、今俺が追いかけている一族の名前だ。


 

 俺たちの第一回目の遭遇は、向こうさんの逃走で終わった。そりゃそうだ、あっちにして見りゃ俺はタダの不気味モンスターだ。こっちも人と話す手段は無い

 .......事もないが、向こうが受け入れてる前提だしなぁ。


 俺はミアズマント達を追いかけた。多分、俺は人にまだ希望を持っているんだろう。もう随分と蛙の体に慣れてしまったが、やっぱり人間と仲良くしたい。俺は元々人なのだから



 .....()()


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 精霊野郎との冒険からもう数ヶ月以上経つが、いまだに噴火は治る気配がない。流石に炎やマグマがガンガン噴き出ることはもうないが、それでも噴煙や火山弾なんかは治る気配がない。元々グィ南方山脈は白い見える山脈だったのだが、今や雪が溶けて茶色い地面が剥き出しになっている。

 おまけに噴煙が空を覆い、太陽は不気味な夕焼けとしてしか見えなくなっていた。この世の終わりのような光景だった。


 だからか、港は大騒ぎだった。多分大陸中の人間がこの大陸から逃げ出そうとしているのだ。港はここ以外にも無数にあるだろうけど、大都会のようなこの港街は人で溢れかえっていた。いや物理的に。街の外に野宿してる人の大集団が出来ちゃってるし。


 ミアズマント達は初めこの街を訪れたのだが、門前払いされた。役人の態度はメチャメチャ腹立たしいもんだったが、考えてもみれば当然のことだ。


 ミアズマント達は体から瘴気...毒の煙を出しているのだ。これが森の中なら強力な魔物除けとして役立つが、街中だと公害でしかない。後から思い返してみれば、話をしてくれただけ役人はマシなのかもしれない。


 ミアズマント達もそれは分かっていたのか、彼らのその後の行動は早かった。港街に尋ねに行ったのは数人だけで、残りは部族全員で狩りや採取を行っていた。


 海水から魔法で塩を作り(こっそり舐めた。しょっぱさにすら鈍くなってる俺の味覚に涙が出てきた)、果物を魔法で凍らせ、動物を狩り、肉を塩漬けにし、毛皮を鞣していたのだ。(多分)脂肪すらも丹念にこそぎ落として壺に集めるその執念には驚いたよ。


 更に港街グループが戻ってきてからは、部族の半分で船を作り出したのだ。丸太船をマシにしたようなもんだろうが、見事な手際だった。

 



 この間、俺は離れた場所でじっとその様子を見ていた.....目、ないんだけどな。HAHAHAHAHAHAHAHAHA


 

 俺の【魔力視界】と【魔力感知】の合わせ技は優秀で、遠く離れた場所でも部族の全員を見渡すことができた。またこの妖霊(ファントム)と言う種族も便利だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【魔性肉体】

 全身が魔力によって構成されている。この身は意識すれば透過することが出来る。透過すると目には見えず魔力でも感知しづらくなるが、代わりに相互に物理干渉が行えなくなる。また、透過状態でも魔法干渉は有効。

 全身を構成する魔力は自身が持ち出している物である為、失い過ぎれば消滅の危機を迎える。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 要は幽霊になれるスキルだった。まぁ俺死んでるしな。それも2回も。



 俺は学んだ。人間は根本的に俺たち(モンスター)を受け入れるつもりがない。だから姿を見せるのは辞めにした。

 でもそれは俺が諦める理由にはならない。今まで酷い目に遭わされたが、それでも俺は人と触れ合いたいのだ。それもガキと同じ部族ともなれば。


 だから遠くから手伝うことにした。遠くからモンスターを追い立てたり、ミアズマント以外の人間が近寄らないように脅したり。ああそうそう、【引斥結界】で火山灰や火山弾を弾いたりもしたな。




 やがて部落の全員が移動できるだけの筏が出来ると、彼らは直ちに出発した。俺は当然それを追いかけた。


 その際、俺は何か生き物に取り憑けないかと考えた。どうせなら【憑依】のスキルを試したいし、それに透過って意外と疲れる。全身を意識し続けなければならないからな、休まる暇がない。




 ミアズマント達は海図を持っていた。門前払いした役人と長々と交渉して買い付けた物だ。(後港街周りの避難民村からも色々買い付けていた。)

 それを見ながら、おっかなびっくり航海を続けていた。


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