泥淵蛙の旅立ち
お待たせ致しました。本日より第三章を始めます。
俺はハジメ(仮称)、異世界に誘拐された蛙だ。今は人生...いや蛙生を彷徨ってる真っ最中だ。燃やされ死にかけたトラウマから入ったネガモードから未だに抜け出せずにいる。
「5p4ji[wr$。%YH、`q30g[fgpr@k?」
コイツはガキ(仮称)、俺を誘拐した奴らの施設で働いてた.....人間だ。今、俺は地味にコイツの性別を知らない事に気がついた。いやだってあの小屋、トイレも風呂もなかったし.....。多分施設で入ってたんだろうけど。
そして、今俺たちは歩いている。....正確にはガキが歩いている。俺は頭に乗る形だ。行き先は俺には分からない。多分......ガキにも分かっていない。
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俺はここ数日を無気力に暮らしていた。火傷の痛みと左目が捉える暗闇は、消して俺に安らぎを与えない。あのトラウマが、俺から気力を奪い取る。ただ、だからと言って本当に何もしていないわけではない。トラウマから目を逸らすように、ガキの話(人語はまだ分からない)を聞いたり、観察したりしている。そして、ガキの生活が奇妙極まる事に気付いた。
そもそも住んでる場所が変だ。ガキの働いていた施設はまるで現代日本のような科学技術を思わせるのに、ガキはその施設から遠く離れた林の中に住んでいる。しかも住んでる古屋はまるで、馬小屋か何かのような作りだ。
ガキの暮らしぶりもおかしい。わざわざこんな場所から通ってるのを抜きにしても、だ。まず何故藁で寝てるんだ。服も何故一着しか着ない?それに、それに、それに......
それに何故、独りなんだ?
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ガキは、帰って来てやることはほとんど寝ることだけだ。埃を払い、靴や帽子を脱いで、ズボンを吊り下げる肩紐を外す。そのまま腰で留め、上は下着だけだ。裸足で藁の上に乗り、俺に何か話しながらやがて寝落ちする。
でも偶に、何やら作業する時がある。机を弄ると地図を取り出し、なんかコンパスみたいなので距離を測りながら物々と.....多分暗算してる。その時には片手に食料を持っていて、ちょくちょく見比べている。まぁ、食料とは言っても見かけは錠剤みたいなサイズの木の実だ。これが俺たちの食料であり、俺も何回か食べている。サイズの割にエラく腹に貯まるが、全く味気ない。
他にもエラくものを買い込んで帰ってくる時がある。でもそういうものは小屋の奥に仕舞い込んでしまう。
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そしてある日、ガキは帰ってくると、奥から荷物を引き出して選別を始めた。見てみれば出るわ出るわ、ボロ小屋の何処にあったんだと言わんばかりの量だ。それを種類別に分けていく。
「ge....t[3]_。@q.....g^013potj]:5?go42@31:rk-g?」
選別しながら、ガキは問いかけてくる。やっぱり言葉は分からん。だが、ガキが何処か遠くへ行こうとしている事だけは分かった。
俺は....俺はどうしよう。ここに居ても良いかもしれない....でもガキが出て行ってしまえば飯が手に入らなくなる.....そしたらまた戦わなくてはいけなくなる......正直もう戦闘するのは怖い......もう燃やされたくない......
結局、俺は飯に釣られるようにガキに同行した。トラウマの余り、人としての尊厳すら失ったらしい.....蛙だけど。
Q.何でガキの性別隠すの?
A.作者の性癖。




