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桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
壺蛙、異世界を観るの巻
43/156

泥淵蛙と窮地

ゲームで拠点のハウジングしたい

 〜とある雇われ冒険者〜

 その男にとって、今回の仕事はちょっとした小遣い稼ぎだった。そのつもりだった。


 モンスターを捕らえた場合、特にソレが何らかの人の手によるアクセサリーを着けている・その場の誰も知らないモンスターである場合、生け捕りにする事が法律によって定められている。前者の理由は言わずもがな、問題なのは後者だ。


 この世界、高い知能を持つ生物は人間だけではない。文化と歴史を持つ種族と言う意味では間違いなく1番なのだが、個体個体の知能ならば批准・比類するモンスターはいくつも存在している。ソレらのモンスターは人目につかない場所に大半が生息しており、人里に姿を表すのは決まって斥候役のモンスターなのだ。また単純に迷い込んだ同胞の仇ということでモンスターに襲われた事件もある。極々稀に、死後に強力な「呪い」をまき散らすモンスターも現れる。それらを管理・絶滅し尽くせるほどの力は人類には()()ない。


 人類が安定した地位を得た現代では、無闇にモンスターを狩るのは自身の首を締める行いに過ぎない。だからこそ、こうしたモンスター拘留施設が存在するのだ。そしてそこでの警備の仕事は、冒険者にとってちょっとした小遣い稼ぎとなる。報酬は決して高くはないが、閑散とした深夜バイトのようなもので楽なのだ。


 だというのに....男は軽くため息を吐いた。ここの施設は脱走が滅多にないことで有名だ。休養ついでに金を稼ごうとした男にはちょっとした不幸だ。まぁいい。脱走したのはどうやらDランクの地蔵カエルらしい。連れてこられてから飲み食いすらせずにじっとしてるのでそう呼ばれている。そいつなら楽に倒せるだろう。男はそう考えた。


 しかし奴はなかなかどうしてすばしっこい。今までの地蔵っぷりはなんだったのかってくらいに跳ね回る。だが所詮はDランク、というか断食続きの奴だ。やがて疲れ果て、追い込まれた。さぁ、とっとと眠らせて......



なんだ!?何故突然電気が消える!?この施設は()()()()()により、窓が極端に少ない。だから電気が消えると真っ暗闇だ。チッ、目が慣れるまで何も見えやしねぇ。


 しばらくして目が慣れてきた。だが、そこに奴はもういなかった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


  よっしゃ!!思ってたより真っ暗になった!今のうちだ!!


 ガス毒やセンサーなんてある世界なのだ。モンスターだらけのこの施設なんてトラップ屋敷に決まってる。そんなところを俺だけで抜けられるなんて、もともと考えちゃいない。


 そこで脳味噌必死にこねくり回して考えたのが、「停電させれば仕掛け全部止まるんじゃね?」ってことだ。コソコソ君に探させていたのは配電盤がある部屋なのだ。幸い昨日がなんか点検日だったらしく、業者っぽいのが出入りしている部屋で見つけた。


 追い詰められた時点で俺はコソコソ君を動かし、配電盤のカバーを叩き壊させた。そこにコソコソ君....言い換えて()()()を突っ込んで、機械をショートさせたのだ。


 人間どもはなんかうろたえてるが、俺には【暗視】ってスキルがある。地味過ぎて忘れていたが、ここにきて真価を発揮した。今のうちに脱出だぁ!!

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