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桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
壺蛙、異世界を観るの巻
41/156

泥淵蛙と出鼻

何故野生動物たるハジメを拘留所っぽいところに閉じ込めたかと言うと、この為

 遂にこの時が来た。コソコソ君を目的の部屋に配置し、待機モードに移行する。待機モードは俺の修行の成果で、コソコソ君が停止してしまう代わりに俺本体が自由に動ける。まぁ意識の何割かがコソコソ君維持に持ってかれてるから決して全力は出せんが。


 新たに泥を出し、俺そっくりに仕立て上げる。ここでバレたら元も子もないので、水溜りに俺自身を映し出して丹念に仕上げていく。

 出来上がった偽の俺に多めに魔力を付与する。願掛けだ。偽俺の魔力が隠れ潜む本物の俺の気配を誤魔化してくれるように願う。


 そして俺は餌山の中に隠れ潜む。ただひたすらじっとだ。......そういやここ最近寝てないな。ガキが来るまで仮眠するか。本気で寝ちゃってコソコソ君が崩れないようにしないと......。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 !!来たっ!!


 俺は足音に重い目を開ける。コソコソ君は.....よし、なんとかまだ残ってる。このままガキが入ってきたら......ん?足音多くね?

 俺は慎重に顔を覗かせる。するとガキを見つけた。しかし今日は営業スマイルだ。どうした?


 その理由は後ろだ。なんか白衣を着た.....おっさん?が偉そうな態度で来る。その周りにも何人も白衣の連中がいる。皆何かしらの道具を持っていて、不穏な気配だ。これ拙くね?


 おっさん....学者はガキにいくつか質問を飛ばす。ガキは受け答えしているが、明らかに困ってるな。ガキと学者はまっすぐ俺の檻にやってくる。


 俺は体を引っ込める。出来るだけ息を潜め、ついでにコソコソ君操作ラインも出来るだけ目立たないような形と場所に動かす。ガキが扉を開けた時に網に触れて消えちゃったこととかあったからな、何回か動かしたことがある。


 そのまま檻の中に入ってくるかと思われたが、以外にもすぐには入ってこなかった。檻の周りを歩く足音がする。

反応がないのは不自然かと思い、偽物の俺の視線を足音の方に向けさせる。本体にもコソコソ君にも幾らかの集中力を割いておかないと行けない現状では、偽の俺に割く集中力はほとんどない。


 学者たちは結構長い時間歩き回ってた。さすがに集中力がやばいのではと感じ、偽の俺に周りにダンマリを決め込む動きを取らせる。普段からあまり動いてなかったおかげか、誰も疑わなかったみたいだ。そのまま偽俺から意識を話す。床に置いてて、かつ安定した形なら意識を完全に離しても崩れる事はない。


 やがて学者たちは檻の中に入ってくる。偽俺の周りに集まり、幾つかの機械を設置していく。ガキは......檻の外から俺を見ている。白衣の連中は.....何人か檻の外にいる。まだだ。



 ここだ!!!俺は意を決して餌山から飛び出す。丁度白衣全員が檻に入り、ガキがソッポを向いたタイミングだ。突然餌山が崩れて、学者たちは何事かと振り向く。中には俺を目で追いかける奴もいたが、俺は脇目も降らずに大広間の外めがけて突っ走る。


 ガキはしばらく呆けていたが、即座に手元のスイッチを押す。すると部屋全体が壁側から照らし出された。影踏んで足止めするつもりだな?そうはいかん!!


 即座に俺は泥をガキ目掛けて飛ばす。そのまま泥で拘束しようとしたが、ガキはすぐさま振り解いた。だいぶ集中力が落ちているらしい。しかしガキが怯んだ隙になんとか大広間から飛び出した。しかしガキが手元で何か操作する。すると直後あちこちからアラームが鳴り響き、ガキの声が響き渡る。


 本当はバレるにしてももっと後のつもりだったんだがなあ。早すぎない?

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