表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
壺蛙、異世界を観るの巻
40/156

泥淵蛙と施設

 天国のばあちゃん元気ですか?俺は今心が折れそうです。


 いやキツい....。コソコソ君の操作回線の固定は普通に意識できるようになったが、逆に言うと意識しないと出来ない。このラインが途切れるとコソコソ君は崩れるし、そしたら回収が出来ない。補充できない泥水を失ってしまう。


 まぁ要するに、眠る事が許されないってことだ。俺には【不眠適性】があるがこれだって限界がある。それに3つのスキルを同時に発動させ続けてるのだ。しかも結構無理がある形で。昨日か今日か、そのあたりから軽い頭痛がしてきた。


 まぁその甲斐あって得られた情報もそこそこある。ガキはこの建物ではかなり地位が低いらしく、いろんな奴の使いっ走りをしていた。それて建物のあちこちに出入りしていたので、それを尾けていたコソコソ君も建物の構造を知れたわけだ。


 それによると、俺の脱出に必要な情報は以下の通りだ。この大広間は建物のほぼど真ん中にあるらしい。大広間から(天窓からの光から判断して)北向きの廊下は、かなり広い部屋に繋がる。この部屋は大きなドアや受付っぽいのがあるので、ここを「エントランス」と呼ぶことにした。俺が目指すのはこのエントランス.....ではない。エントランスの脇に小部屋があり、そこのドアから出るのだ。ここは従業員用出入り口らしく、人の出入りが少なく荷物チェックみたいなのもほぼない。そこに紛れ込む。


 で、肝心の「檻からどうやって出るのか」だが...これにも作戦はある。今、俺の檻の中にはお菓子っぽいのが山のように積まれている。いわゆる餌のようなものらしく、檻のモンスターは皆コイツを食っている。俺は気色悪くて口着けてないがな。


 この餌の山の中に隠れ潜み、ガキが掃除しに檻を開けたところで飛び出すのだ。この時泥で俺そっくりな人形を作っておく。いわゆる囮だ。幸い、ここ何日も俺はじっとしていて、人間達からも「そう言うモンスターなんだ」と思われてる。それに俺の体は泥色だ。漬け込むならここしかねぇ。


 行き当たりばったり?仕方ねぇだろ俺バカなんだし。まぁこれ以外にもう1つするべきことがある。そのためにはある部屋を見つけなければいけない。見つかるまでは大人しく獄中生活だな。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 「+『>`P&)?{P >*+P')’&%&$*@=*」


 『君は全く動かないね?生きてるよね?』


 まぁこれぐらいの意味か?ガキは掃除の時、よく俺たちに話しかける。俺にしてみれば集中力が削がれるのでいい迷惑だ。だが蹲ってる蛙が凄い集中しているなど、ガキには想像もつかないらしい。そりゃそうか。


 モンスターへのガキへの印象は様々だ。ソッポ向く一本足の鶴もいれば、首を振る鰭付きイタチもいる。ガキは鰭付きイタチをいい話し相手みたいな雰囲気出してるが、そいつ多分モップの柄先を目で追ってるだけだ。後そこの襟巻きブサ猫、「掃除婦如きが口を利くな」みたいな態度すんな、癪に障る。あ”な”んだオイテメェ?尻尾打ち鳴らして?さっきからテメェ何様のつもりだよコラ?


 「?』`*#$’)(!*`?&?*」


 っち、ここまでにしてやんよ。ガキが俺たちを諫める。しかしよくもまぁ睨み合いに割って入ったもんだ。側からみりゃ猫と蛙がお互いに「ゴロゴロ」鳴ってる絵面だぞ?しかも猫なんか冷蔵庫見てえにデケェし。


 コソコソ君尾けさせて分かったことなのだが、ガキはこの施設だと友人っぽいのがまるでいない。施設で働く人間はそこそこ居るのに、皆ガキに距離のある態度を取ってる。手短に指示を出すだけだ。言葉が分からなくても、それぐらい分かる。

 だからなのか、その分ガキは俺たち檻のモンスターとよく話す。表情も、俺たちと居るときの方が柔らかい。何と言うか、溌剌としている。それに、偶にモンスターが出ていくときは、笑っちゃ居るが凄い辛そうだ。その後はまるで何事もないように見えるのも何かと気に掛かる。


  多分ここを出ても、ガキのことはずっと覚えてるだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ