表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
壺蛙、異世界を観るの巻
31/156

泥淵蛙、彫泥家になる

 ウマ公を倒した後、俺は泥のように眠り込んだ。剥き出しで眠っちまったからかなり危なかったわ。ウマ公の経験値泥スライムどもに横取りされちまったし。と言うかモーニングコールが奴らによる着火だったし。頭にもきたが、正直精神的にめちゃめちゃ疲れてそれどころじゃなかった。パパッと泥スライム共を始末しモガーっと腹にかっ込むと、俺はとっとと小屋に戻り思う存分眠りこけた。


 正直もう戦いは当分いいわ。いや逃げるわけじゃないけど、しばらくは小屋で穏やかに暮らしたい。時刻は昼、曇っててジメジメとしていて、蛙にとって最高の天気だ。そうだな、彫刻家になろう。いや素体は泥だから、彫泥家か?


 【水貯蔵】と【土貯蔵】、【泥生成】を腹の中で並列起動、口からゲロゲロと泥を出し、思うがままの形にしていく。絵面が汚いが、馬公と戦ったときはこれを身に纏ったのだ。死にかけの中での無我夢中とは言え、そう考えると特に嫌悪感もなく触れる。


 泥を押し固めて積んで、出来上がったのは顔ほどもある泥団子。蛙の手は人間ほど器用では無いので、ある程度大きいほうが作りやすい。人間時代の小さい頃、俺が持っていた玩具はこれだけだった。無性に懐かしく感じる。


 さて.....元々泥を捏ね出したのは、「泥の像に【眷属支配】を使ったらどうなるのか」とふと考えついたからだ。早速試してみる。


 おぉ!....おぉぉ?なんか繋がりが出来た気配はするが....。取り敢えず動かしてみる。すると、泥団子はコロコロと転がり出した。すげぇ!ただの泥なのに動いてる!!いや前にも泥像作ってやったことはあるが、こんなスムーズには動かなかったから....。


 その後色々動かして幾つかのことが分かったが、こいつは転がす以外のことは出来ない。球体だからなのか、跳ねたり何かを持ったり、と言うことも出来ない。しかも泥だから脆い。俺の筋力と体格じゃ豪速球は投げられないし、囮にもならんな。


 ダメかぁ〜.....馬公見たく攻撃させられれば便利なんだがなぁ.....。ん?待てよ、別にウマ公の【鬼火】は火で炙ってきただけじゃないよな?確か【鬼火】にオーラを纏わさせてたよな......?もしや.....?


 !?泥団子から水が染み出てきた!?しかも【水貯蔵】の残量が減ってやがる!?もしかして繋がってるのか!?衝撃のままに他のスキルも試してみる。すると泥団子は俺のあらゆるスキルを発動できた。


 いやおかしいだろ!?これ便利すぎねぇ!?なんでただの泥団子から水やら泥やら出てくるんだよ!?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【マッド・ゴーレム・ボール】

 ハジメ(仮)によって生み出されたモンスター。しっかりと押し固められているため同体格の【マッド・ゴーレム】より頑丈。しかし丸く作られている為、転がることしか出来ない。ハジメの魔力がしっかり込められている為、ハジメのスキルの発動媒体となる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これゴーレムかよぉぉ!!!





 その後、取り敢えず「どんなものがゴーレムに出来るのか」と言うことを調べた。結果がこれだ。

泥:最初っから使っている。【水流支配】と【泥操作】の2つで操作できる為、一番細かく動かせる。あとついでに試してみたが【土貯蔵】に仕舞うと崩れてしまう。流石に保存は効かないらしい。

土:ある程度以上水気があると【マッド・ゴーレム】となる為、脱水しないといけない。その分硬くなるが、今度は動かせなくなる。骨格とかパーツとか意識すると動かせるようになりそうだが、生憎俺にそんな知識はない。

水:一応【アクア・ゴーレム】と言うモンスターにはなった。だが水なので物を持ち上げることすら出来ない。ほぼ「這いずる水溜り」のようなもんだ。

空気・魔力:なんとゴーレムに出来た。だが「出来た」だけ。その場に薄ーく固まるだけで、【鑑定】する間もなく散ってしまう。ないものとして考えよう。

死体:今日の夕ご飯の【ジャッカロープ】の頭。気まぐれに使って見た処、なんとアンデットとして蘇ったのだ。【斬首刑の被告体(ディコレイティア)菌角穴兎ジャッカロープ】と言う特殊なアンデットだ。

 

 そして死体の眷属は凄い扱いやすい。死体眷属を自転車に例えれば、泥眷属は空気が抜けた自転車のように感じられる。多分、俺の種族(ヌボー・ティアス)が元々死体眷属を使って戦う種族なんだろう。自然とそう思えた。


 ただなぁ.....いくらモンスターとは言え、死体蹴りするような真似は流石に憚られる。それに俺は死体はなるべく経験値に変えたい。それに運搬どうすんだよ。死体抱えてちゃ地下水脈伝った移動も出来ないぞ。

 それ考えると【マッド・ゴーレム】は便利だ。保存は効かないが、貯蔵から引き出してすぐ使える。それに土なんざそこら中にあるからな。直ぐに組み立てられるように訓練しておけば良いだけの話だし。


 と言うわけで、俺はせっせと泥の像を組み立てる。どうせなら日アサの○隊物みたいな巨大像作れないかな?それも合体する奴。後そうだな、ウマ公の【鬼火】みたいに空飛ばせらんねぇかな.........

【眷属支配】:条件を満たした生物・発動者の創造物を配下として従えるスキル。副次効果として発動者のスキルを貸し与えられる。

 破格のスキルのように思えるが、生物の配下の場合スキルによっては相性が悪く貸せない場合もある。例えばハジメの泥団子の場合、【水中適性】は貸し与えられないし、【貯蔵】系は吐き出す一方となる。また無機被造物(ゴーレム)系モンスターの場合、製作者がこのスキルを持ってないと見た目通りの動きしかさせられない。いわゆる人権スキル。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ