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桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
壺蛙、異世界を観るの巻
23/156

壺蛙と泥炭球

 よっしゃ到着!!井戸から感知できた丁度良い強さのモンスター、確かこの辺りにいる筈だ。【魔力感知】で周囲を探る。お?この辺りは程々に強いモンスターが居るな。俺より強そうな奴もちらほら居るが、それ以上に俺並みのモンスターが多い。しかもここは湿地で、水脈も地表のすぐ下まできている。戦うにもよし、逃げるにもよしだ。


 俺は手近のモンスターの下へ向かう。居た、あいつか。なんかスッゲェ油臭いな。見た目は.....スライムってやつかな?でも瑞々しさは無いし、何よりひび割れてる。殴り壊せそうだが....【鑑定】!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:なし

種族:ピートボー

Lv.11/15 HP:340/340 MP:300/300

満腹値:78/100

攻撃力:19 防御力:17

魔法力:40 素早さ:39

種族スキル:【発火】【魔力放出】【熱感知】【泥弾】

個有スキル:【魔力感知】【吸収】【振動感知】

耐性スキル:【乾燥脆弱】 【地中適性】

称号:なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【ピートボー】

 Dランク粘菌型モンスター。発火性の泥炭で体が構築されており、魔力を使って発火する。その性質上過剰な湿気を嫌う為、打撃攻撃が有効な程乾燥している。地方によっては火種などとして人間種に利用されている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 よしよし、あいつなら良いサンドバックになりそうだ。いやマッドバックか。【発火】とか【泥弾】とか気になるスキルがある。注意しなければ。


 俺は全身を【身体強化】し、ピートボーの後ろから殴りかかる。手応えアリ!ちょっと軟っこいが、問題なく体を削れる。このまま殴り....熱ッ!?!?手が燃えた!?あだだ消火消火!!足元の泥に手を擦り付けて消火する。


 畜生にゃろう【発火】したのか?モロに炎殴りつけちまったぜ。だが奴は全身発火は出来ないらしい。燃えてるのは奴の一部だけだ。ならやれる!今回は【身体強化】だけでやるって決めてんだよ!!


 俺はそのまま奴に殴りかかる。と同時に【魔力感知】をピートボーに集中させ、魔力の動きを読む。お、左っ側に魔力集まってんな。【発火】させる気か?お見通しなんだよ!


 【発火】を避け、俺はピートボーをタコ殴りにする。うん?なんか魔力の動きが変だ。俺は念の為、魔力の淀む場所から離れる。


 ビュン!!うおおお!?今なんか飛んでったぞ!?コレアレか!?【泥弾】か?怖っ!?俺の「なんちゃって水鉄砲」より全然威力あるぞ!?


 ビュン!!ビュン!!その後も何回か【泥弾】は飛んでいく。【泥弾】は自身のカケラを飛ばすスキルらしく、奴さんはどんどん削れていく。だが俺としては気が気でない。当たれば腹に穴が開きそうだからな。


 その上奴も成長していく。なんと【発火】させた部位を大きく削って飛ばし出したのだ。殺意高すぎだろおお!?

弾1発がデカいから避けるの結構ギリギリじゃん!?というか掠っただけでダメージ入ってるんだけどぉ!?





 しかし、俺が有利なのは変わらない。俺の殴りと【泥弾】のダブルパンチで体が削れていき、程なくして奴は動かなくなった。


 ふーっ。あーキツかった。側から見たら楽勝だったろうけど、俺としては手に汗握る戦いだった。【鑑定】の事前情報と、【魔力感知】による観察がなかったら俺は負けてたかもしれない。

 訓練始めてよかった。もしこいつがもっと強いm痛ァっ!?!?!?!?!?!?


 突然物凄く鋭い衝撃が横腹を襲い、俺はすっ飛ばされた。な、何だいきなり!?周りを見れば、そこら中にピートボーが集まっていた。何で!?あ、あんな所に火が!?もしかして【発火】させた【泥弾】か!?アレ仲間を呼んでたのか!?畜生狼煙かよっ!?


 俺は5匹のピートボーに囲まれることとなった。【魔力感知】を今倒した奴に集中させてたから全然気づけなかったわ。周りを注意する訓練も必要だな。と言うかこんなに油臭いんだから気付けよ俺!!

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