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桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
蝌蚪、異世界に立つ?の巻
2/156

蝌蚪、生存を決意する

前回言い忘れてましたが、ハジメは兄弟含め、現実にいるおたまじゃくしのサイズです。

俺は生前、人外に転生する主人公の話を読んだことがある。だから自分が今、その主人公になってしまっているのは容易に想像できた。正直、少し憧れていた部分もあった。だからっておたまじゃくしはねーだろ!!!そこはもっとホラ、ドラゴンとかスライムみたいなthe・ファンタジーって生き物にしろよ!!!何だよオタマって!?あ、「蛙に生まれ変わったからオタマから初めてね」ってことか。なるほど〜。ふざけんなああああああ!!!!!百歩譲って成体からにしろよ!!!!律儀にオタマスタートさせるなよコンチキショウがああああああああ!!


ハァ...ハァ.....。落ち着いた。というか疲れた。全力疾走...遊泳?した後だからな。しかも多分生まれてすぐに。ていうかそうじゃん。俺、生まれたてじゃん。どうしよ?このままだと多分のたれ死ぬぞ。お袋さーん!どっかお袋さんいませんかー?あなたのお子さん迷子ですよ!!保護してくださーい!...まあ俺喋れないんだけどな。オタマだから。ああもーどうしよ。と言うか、お腹すいた。生まれてから飲まず食わずだったしな。そういやおたまじゃくしって何食うんだよ。知らねーぞ俺。もういっそこのまま野垂れ死のうかな....。


実は俺、この手の話にしては珍しく、前世を覚えてる。名前は佐々木那一/ささきだ はじめ。だが俺はあまりこの名前が好きじゃない。理由はあの糞両親どもだ。親父はパチンカスのアルカスのパワハラ畜生。三大人類屑要因(個人の感想)をコンプリートした最低の野郎だ。お袋はお袋で毎晩別の男を抱いてた下衆の極みで、正直親父と縁を切らなかったのが不思議なくらいだ。まあ思いつかなかったんだろ。アホでバカだったし。

ただ、じゃあ俺が不幸だったのかと言われると、実はそうでもない。俺は小さい頃、隣の婆ちゃんに育てられてた。夜泣きにブチ切れた親父に投げ出されたところを早起き婆ちゃんに拾われた。何年かした後思い出したようにお袋が取り返しにきたが、ロクに面倒を見ないので結局抜け出して婆ちゃん家に行ってた。婆ちゃんは呆けが入ってたから俺がいろいろと世話をしていたから生活力が身についたし、婆ちゃんに優しさを教えてもらった。小中に通うお金まで出してもらった。婆ちゃんには感謝しても仕切れない。

 結局いろいろあって婆ちゃんが死んだので高校には通わず、いくつものアルバイトを掛け持ちしたバイト漬け人生を送ってきた。糞親どもに給料掠め取られたこともあったが、搾取されることに我慢ならずにやり返した。決して楽な人生ではなかったが、バイト先では人に恵まれていたのでそれなりには幸せだった。最後はバイトのしすぎで過労死した....んだと思う。急に力が入らなくなって目の前が真っ暗になったし。


 まあつまり、俺の人生はあそこで終わったのだ。今更生きあがこうなんて思ってない。腹が減ってるのはいつものことだ。慣れてる。それに一度死んだのだ。また死ぬことなど恐ろしくは.....?

 何だ?今スゲー音したぞ?岩から顔を出し、音のした方を覗いてみると....地獄が広がっていた。あの化け物オタマどもが巨大な虫に喰われていたのだ。兄弟一匹一匹に巨大虫が張り付き、生きたまま肉を噛みちぎり、腹を抉っていたのだ。それがそこら中で行われている。もしオタマが喋ることが出来ていたのなら、今頃耳をつんざく悲鳴を上げていただろう。

 ぎ...ギィヤアあああああああああああ!!!!!!!い、生きたまま喰われてやがる!?ぅ...。今腹に何かあったら確実に戻してるぞ!?これか!?これがバイトの先輩が行ってたSANチェックってやつか!?今理解できたっ!「言葉」でなく、「心」で理解できた!!ってふざけてる場合かああああ!!!さっき「死ぬことなど恐ろしくはない」とか言ったけど、流石に食い殺されるのは論外だあああああ!!!!!に、逃げるぞ!!死ぬか生きるかは後で決める。今はとにかく逃げるんだあああああああああ!!


 飢えて疲れた幼体に鞭を打ち、俺はガムシャラに、虫のいない方へと泳ぎ出す。途中ちらりと後ろを見れば、化け物オタマが虫ごと、恐ろしくデカい嘴のようなものに喰われたのが見えた。ようなっつーか、確実に嘴だろうな。

 逃げながら、俺は決心する。死ぬのは恐ろしくはないが、喰われるのは怖い。何者にも喰われない力を必ず身につけてやるっ!!死ぬのはその後だっ!!!

ハジメは、自分を不幸な経験と幸福な経験で釣り合いが取れてるタイプの一般人だと思ってます。

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