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桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
壺蛙、異世界を観るの巻
17/156

壺蛙、干からびる

 ハジメは山脈を越えたと思い込んでますが、人間目線だと越えたのはむしろ山脈の切れ目です。

と言うか主人公が生まれた湖が、小さなカルデラの中にあります。いわゆる火口湖です。

 俺は陸に上がってからの全ての行動について、過去の俺に問い詰めていた。妖精軍の報復はAランクも滅ぼすっつってんだろ。何故Eランクのまま無鉄砲に飛び出した....何故「山があるから」ってだけで無策で突っ込んだ....何故見るからにやばそうな大河に飛び込んだ....何故...何故....何故....


 俺は今や、フライパンの上の目玉焼きのような状態になっていた。差し詰め干からびた今の俺は固焼きってか?畜生俺は半熟派なんだよ。作り直しを要求する。


 あーダメだ暑さで変な事考え出してる。でも「フライパンの上」ってのは的を射てるな。俺が今いる荒野を表す一言は「西部」だ。アメリカのな。地面は岩のように硬く、掘る事ができない。その上にっくき太陽の熱を跳ね返している。ああ畜生...夜にならねぇかな.......


 俺が蛙になってからざっと数ヶ月強。月を見れば大体の時期は分かる。今は一回満月を過ぎて、半月から三日月になろうとしている時期だ。

 その期間は特にいう事はなかった。妖精らしきものは見なかった。俺はクソでかいイタチやら狸っぽいのを避けて旅をし、周囲の土地を把握するために山を登った。食べ物は虫とか、あるならデカい動物の死骸だな。だってあれメッチャ経験値あるんだもん。後蛙の味覚はこれらを何なく受け入れてくれた。まずいっちゃまずいんだがな。吐き出すほどじゃあない。


 山脈越えは恐ろしく時間がかかった。と言うか湖から上がっての時間の大半をそこに掛けた。湖から上がってすぐの頃から目指してたから、山脈には思ってたより早く着いたんだがな。....蛙の身には山はデカすぎました。まあ植物いっぱい、虫はブンブン、水は渾々と沸いてたから時間はかかっても苦しくはなかった。


 だが荒野に入ってからは最悪だった。水もロクにない、飯もロクにない。【飢餓耐性】と【体力貯蓄】がなかったらとっくに俺はくたばってたよ。でもそれも時間の問題だ。何せここ2、3週間何も喰えてないからな。【貯蔵】系スキルは残量が何となく分かるが、【体力】【水】は殆ど空っぽだ。【魔力】も半分切ってる。【呼気】はほぼ満杯だな。お陰で今まで殆ど呼吸はしていない。

 

 そこから俺は何日も彷徨った。体は、生まれてすぐ彷徨った時のように痩せ細っていた。何度も前世を夢見た。もしかしたら走馬灯ってやつなのかな。


 だがチャンスはついに訪れた。!?これは水の匂い!?乾いた空気の中に微かに湿気を感じ取った。ど、どこだ?どこからしやがる?こっちか!?


 俺は無我夢中で湿気を嗅ぎ取り、出どころを辿る。あ、ああああああああ!!!!!あれ池じゃね!?俺は無我夢中で駆け出す。


 泉は小さく、俺の数倍位の大きさしかなかった。【水貯蔵】2割分とも言う。だがここ数週間待ち望んだ水だ。うおおおお!!!!あの水は俺のもんダァァァァァァァア!!!!


 【乾燥脆弱】のせいで肌がヒリヒリだ。思いっきり水浴びするぞー!今だ飛び込m.......!?【魔力感知】に何か引っかかってる!何か来る!


 俺はル○ンダイブを直前で辞め、急ブレーキを掛ける。その瞬間、俺が飛び込んだであろう位置に何かが飛び出してくる。畜生邪魔しやがって!!こんのクソが!!

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