魁蟾妖と我が家
『お瘴気の民の住む山は、ここから真っ直ぐ西にお向かい下さい。私はここに残ります。』
『あれ?お前来ないの?』
『お奇妙な事を。流石にこれだけの人数をただ放り込むだけの無責任は出来ませぬ。最低限の面倒は見て帰ります。貴方はお先に戻りなさい。港の人間方にも御礼をせねばなりませぬしね。』
『まぁ、それもそうか。それなら、じゃあまたな。』
『お優しき蛙よ。またいつか逢いましょう。』
やけにあっさりとした別れだったな。まぁ別にそこまで仲良くなったわけでは無い。...絶対忘れることはないだろうけど。
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俺は船の上、まだ港から遠い場所で別れた。精霊は大体人、と言うか2腕2足をしていて、俺みたいな蛙型はほっとんど居ないらしい。BBAは港にしばらく滞在していくそうだから、人間をビビらせない為にも、俺が早く帰る為にも、海の上で帰ってしまうのが良いらしい。
『全く....騒がしいBBAだったぜ。男に飢えすぎじゃねアイツ?』
結構真面目な奴だったけど、あのガッツきだけは受け付けねぇ。だから男寄り付かねぇんだろ。
『.....貝は、こんぐらいあれば良いか。』
お土産は貝にした。BBAに作って貰った氷の瓶に、綺麗な貝殻を沢山入れている。海の中とかで拾い集めた奴だ。持って帰った後の処理考えるとこれが一番良いらしい。魚は寄生虫が怖いし、塩も作れないしな。
小脇に瓶を大切に抱え、山々の上を飛んでいく。気持ち的にはのんびりしていたが、だいぶ早く着いた。焦れてたのか?
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『GTRAfak!jfapgro!』
ようやく懐かしき霧の谷に辿り着き、そこに降り立つ。ひっさしぶりに見たが、確かに結構ヤベェな。
『AG!!』
『grab!g3591G$3-1!!!』
『mfi#q0gv-!』
懐かしき、何言ってるかも分からん声が響く。だが、今はそれが非常に懐かしい。
『KIKI!KIKKILUKKI!』『UKKIUKKI!』『ULU?』
あぁ猿もいたのか。お前らですら懐かしいよ。あぁ、俺の為に泣いてくれるのか?嬉しいなぁ。
『great#b04r852kb?』
あぁ、これはお土産だ。蓋をとって、子供達にあげる。子供達は見たこともない綺麗な石に、目をキラキラさせていた。鷹揚にうなずてみせれば、瓶を持った子達は弾けるように走り出す。元気が良いなぁ。
『あぁ、童達が駆け出したかと思えば、お前だったのか。』
また懐かしい声がやってくる。人型の良くわからん格好をした、爽やかな風を纏っている奴だ。
『あぁそうだ、こう言うべきだな。”おかえり”。』
『あぁ、”ただいま”。』
胸が熱くなった。大きな安心感を覚えた。
”我が家”に帰ってきた。
と言うわけで第六章、これにて閉幕です
思ってたより平凡になってしまいましたね。次はいよいよ最終章となる予定ですので、そこで一気にヒートアップさせていく予定です。
さて次回ですか...かなり飛び、9月23日辺りを想定しています。実は来週〜9月にかけて予定が色々詰まっており、ちょっと手が出せない状態です。よろしければお待ち下さい。
では、これで暫く失礼させて頂きます。