蝌蚪、進化する
一応区別
【ゴブリン】と言う場合は鑑定文の内容を指し、
ゴブリンと言う場合はハジメが実際に目で見た個体を指します
進化。それは俺にとって3つの意味を持つ。1つ、地上に揚り肺呼吸が可能となる。慣れてはきたが、実は【鰓呼吸】って違和感がある。と言うより人間の記憶が違和感を訴える。2つ、強くなり、熟睡できる。少なくとも今よりは眠れる時間が増える筈だ。3つ、月の光をもっと浴びれるようになる。何時の間にか俺にとって欠かせない要素になりつつある月に僅かでも近づけるようになる。
よっしゃ。進化やったるわ!!
【進化の意思を確認しました種族を選んでください】
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「妖精種」
【ハーウィ・ニグニス】【デュー・シフレ】
「魔物種」
【ヴァズ・ラネ】【トゥルパ・ラネ】
「亜人種」
【レッサー・トーディアン】【ゴブリン】
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思ったよりいっぱい出てきた。種族ごとに選択肢あるんだな。どう違うんだ?
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「妖精種」
妖精母神に連なる存在。生きる事それ自体が自然界の運行に欠かせない要素となっている。全種族が妖精母神の庇護下にあり、過剰に狩り過ぎると自然界からの報復がある。報復によって滅んだ国家やAランクモンスターは数多く存在している。
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論外。妖精母神の配下って時点でもうOUT。誰が妖精なんてなるかボケ。絶対俺は妖精にならねぇぞ。
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「魔物種」
魔素によってその身を変質させた生物。絶対的な「個」の力を目指し、世界にその存在を焼き付ける存在。その身は死して尚、己を世界に轟かせようとする。この特性を生かし、人間種からは素材として狙われる事も多い。
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可もなく不可もなくって感じかな。特にやばい要素はなさそう。人間に狙われるってのはヤバそうだけど、それ言えば元々他のモンスターに狙われてんだ。今更人間に狙われたぐらい何とも思わんさ。
え?人間に対してリアクション薄すぎ?いやだって前々から存在は薄々匂ってたし。それに生きるのに必死だったから、【鑑定】文に出てくるだけの存在なんて逐一気にしねぇよ。実際に目で見たらまた違うだろうけど。
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「亜人種」
魔物が人間種の持つ「数」の力を持った姿。学会や国、地域や大陸で扱いは変わるが、大抵は奴隷として扱われる。そもそも人らしい知性を持ってない種族もいる。進化を重ねると強力な「人間種」になれるが、進化できる者は滅多に居ない。
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うーん....無し、かなー.....。「強力な人間種」ってのは興味あるが、見つかると奴隷にされるってのは怖いな。喰われるのも嫌だけど奴隷はもっと嫌だ。いや人間に出会すかは分からんが。【ヴァズ・ラネ】と【トゥルパ・ラネ】がよっぽど地雷だったらこっちにしようかな。
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【ヴァズ・ラネ】
Eランクモンスター。貯蓄能力を持った蛙であり、見た目からは考えられぬ程の水や栄養、魔力を貯蓄する事が出来る。攻撃手段に特筆すべきモノはないが、貯蓄により異様にタフ。ある大陸では旅立つ者に【ヴァズ・ラネ】の意匠が彫られたペンダントを贈る。これは「何処に行っても飢えないように」と言う意味が込められたお守りである。
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【トゥルパ・ラネ】
Eランクモンスター。痺れ毒を持つことで有名な蛙。有名なだけあって強力であり、金属にも効果を示す。ただし如何せん体表を覆うだけしか生産できないので、大型モンスターには捕食される事も多い。ダメージを負ってでも満腹値を回復させようとしているのだ。
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うーん....どうにもショボい。いや手も足もないオタマがFランクだったからそのワンランク上でもこんな感じなのか?
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【レッサー・トーディアン】
Dランク亜人種。蛙型だが二足歩行であり、手足は水掻きを持ちながらも人間種のそれに近い。己達を最上の種族と考えており、その他の全種族を見下している。しかし哀れなほど蒙昧としており、言語を扱う以外はおよそ文明人らしい行動をとる事が出来ない。進化すると【トーディアン】と呼ばれる種族となり、一族を導く立場となる。”最も繁殖力の高い亜人種”と呼ばれている。
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【ゴブリン】
Eランク亜人種。緑色の浅黒い小鬼族。愚かさの象徴とされているが、それでも【レッサー・トーディアン】よりはマシである。生息圏を求めて狂騒を起こす事こそあれど、同族の報復のために狂騒を起こすことはない。一匹一匹は弱いが、群れで暮らすことで大きな力を発揮する。己の得意分野を伸ばす進化を起こすが、進化してもあまり強くならない。恐ろしく不潔な環境でも生きていける。
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うん、【レッサー・トーディアン】は本格的に無しだ。こいつって要するにあれだろ?「自分たちが絶対的に正しいと思い込んでる割に恐ろしく馬鹿な連中」だろ?俺が最も嫌いな人種だ。と言うかクソ親父がもろそんな感じだったわ。嫌だよそんな奴らの仲間入りとか。
【ゴブリン】は今のところ無しでは無いかな。と言うか【レッサー・トーディアン】が酷すぎたせいで良く見えてくる。もし今までにゴブリンを見かけていたら【ゴブリン】でも良かったかもな。同族の下で暮らせるならそれも良さそうだ。
うーん....。よし決めた。最初の進化は【ヴァズ・ラネ】だ。【ゴブリン】も良さげだが、奴隷の危険を覆す程の魅力は感じないし、何より今までゴブリンを見た事がない。群れがあるなら選択肢に入ったんだがな。
決め手は【貯蓄尾鰭】だ。本来はこれ、食い縛りと進化後レベルブーストが起こるってだけのスキルだ。だが「エネルギーを溜め込む」と言う特性を悪用する事で俺は生き延びれた。思い入れの深いスキルだ。だからコレの特性を受け継いでそうな【ヴァズ・ラネ】を選ぶ。別に【トゥルパ・ラネ】でも良いんだが、どうせなら俺に縁深いものにしよう。
俺は周囲をよく見渡す。このあたりは岩がゴツゴツしていて、水草も沢山生えてる。身を隠す場所には困らなさそうだ。水面も近い。俺は適当な岩陰に隠れると、「【ヴァズ・ラネ】に進化!!」と念じる。途端に意識が暗転した。隠れたのは正解だった。
【『ヴァズ・ラネ』に進化します】
【各種ステータスが上昇しました】
【各種耐性が上昇しました】
【『不眠適性』を獲得しました】
【『水中適性』を獲得しました】
【『貯蓄尾鰭』が失われました。貯蓄が少ない為、進化後のレベル上昇は起きません】
【『鰓呼吸』が失われました】
【特性スキルを新規で獲得しました。新しいスキルは以下の通りです】
【『魔力貯蔵』『体力貯蔵』『呼気貯蔵』『水貯蔵』『悪食』『暗視』『乾燥脆弱』】
【『飢餓耐性』の熟練度が高すぎる為、『過食適性』が弾かれました】
篝火見習い→火耀精霊、炉虫竜、冥土灯篭
涙鹿蛙→ 水耀精霊、 河原怪童
劣化蛙人→ 磔蛙人→ 月昂磔蛙




