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桂花乱れるティル・ルナ・ローグ  ~蛙、異世界に立つ〜  作者: ふぐりり
蝌蚪、異世界に立つ?の巻
12/156

蝌蚪、地上を目指す

 全く俺は何をしていたんだ?あんなところでボーッとして居たら喰われちまうぞ?確かにやたらと気になる月ではあったが、あんなに見入る事はない。ないはずなんだ。俺は両頬を叩く。頬ってかほとんど腕の付け根だがな。よし!陸地はこっちだった。慎重かつ大胆に攻めて行くぞ!!


 俺は陸を目指して泳ぎ出す。だが真っ直ぐではない。強そうな奴がいる場所は避けなくてはならない。塵の少ないような場所もな。俺はもう喰われ死も飢え死もしない。あのクソアマを引っ叩くと決めたのだから。


 それからおよそ....10日ぐらいかかったか?俺は陸地へと旅した。俺の【飢餓耐性】は結構優秀で、俺は塵や虫をあまり喰わなかった。満腹値がほとんど減らなかったからな。確か熟練度を溜めるほど性能が上がるんだっけか?だとしたら俺の【飢餓耐性】は相当熟練してそうだ。


 だが旅が順調だったかと言われれば、そうでもない。一度だいぶ浅くなったところで、恐ろしくデカいけむくじゃらの獣足を見た。イタチかなんかか?そいつがメダカを喰っていたのだ。俺は踵を返し、その日は目立たない所でじっとして居た。恐らく、浅くなってきたから地上の生き物が狩りにするような場所に入り始めたのだ。俺は輪をかけて慎重に進むようにした。


 そして夜は微睡みながら過ごした。【魔力感知】発動しっぱなしで寝たから、熟睡出来なかった。地上のモンスターが怖かったって言うのもある。実際何回か夜中にモンスターが出てきた事あったし、おちおち寝てられない。


 時には夜身を潜める岩が見つからない時もある。そんな時は地面に穴を掘って隠れたが、息もあるので完全に埋もれきる事は出来なかった。何も出来ないのでこんな事しか出来ないが、むしろ悪手なように感じる。何時何が来るか全くわからず、心休まることがない。疲れてクタクタだと言うのに熟睡も出来ず、地面に半端に埋れて過ごすのは、思ってたより堪えた。


 そんな時は月を眺めて過ごした。月には何か、心惹かれるモノを感じる。それに湖底から水面に揺らぐ月をボーッと眺めてると、心が安らぐ。寝不足で荒んだ俺の心の、唯一の安らぎだ。疲れがとれる訳では無い。それでも、月の柔らかな光を浴びると不思議と力が湧いた。


 俺は何時しか「地上なら安心して眠れる」「地上ならもっと月の光を浴びれる」と思うようになった。根拠なんてない、ただの思い込みだ。でも、この思い込みが俺の足と尾鰭を動かした。地上を目指そうと思えた。




 今、俺の目の前には水面がひろがっている。遂に岸辺?湖畔?とにかく地上目前まで来たのだ!


 やったぞ!ここまで長かった!後は進化だ!進化さえすれば、こんな水中なんぞおさらばだ!やっと眠れる!もっと月の光を浴びれる!


 だがしかし。地上にはまだ上がれない。今俺はLv.3/4、進化までまだレベルが足りない。出掛けに食い溜めしたからな。旅の間殆ど戦闘してない。偶に塵をボソボソ食ってるだけだ。と言うかあのペースでよくもまぁレベルが上がったもんだ。


 だがレベル不足はあまり問題ではない。今俺の目の前にはお誂え向きに、タガメが1匹だけでいるからだ。ふっふっふ。テメェを夢の地上生活の踏み台にしてやらぁ!!!

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