蝌蚪、異世界に立つ
初投稿の見切り発車作品です。よろしければ生暖かい目で見守ってください。ちなみにサブタイトルの蝌蚪とはおたまじゃくしの事。作中で何回か出します。
「事実は小説よりも奇なり」:イギリスの詩人バイロンの作品「ドン・ジュアン」中の一節。文字通り、小説では思いもよらぬことが現実では起こるという意味のことわざだ。小学生の頃、大好きだった先生が教えてくれたからよく覚えてる。
では何故今こんなこと考えているかというと......目の前にクソデカいおたまじゃくしが大量にいるからじゃボケエエエエエエエエ!!!!!!キッッッッッッッッッモ!!!何なんだよこいつら!!!!しかも空泳いでるし!!!オタマが空飛ぶってどんなファンタジーだよ!?聞いたことないわ!!!それもクソデカいんだぞ!!「気持ち悪い」の一言に尽きるわボケ!!ああゾワゾワする!!こんなとことっとと逃げ出すぞ!!
思うが早いか、俺は踵を返し一目散にかけ出す。俺の体は思ったより速く、巨大オタマどもはどんどん後方へ過ぎ去っていく。というかなんかおかしくないか?なんつーか地面を蹴ってる感覚がないし、それに俺こんなに高くジャンプできたか?
い、いや、考えるのはあとだ。今は1秒でも早く、あの化物どもから離れるんだ。痛っ!頭打った!
走って走って走り続けて、疲れ果てた俺は岩の影に身を隠した。よ、よし、ここまで来れば大丈夫だろ。デカブツはすっとろくて馬鹿だと相場が決まってんだ。あのオタマどもが俺を見つける可能性はまずないだろ。ないと思いたい。あんなのもう二度と会いたくない。
深呼吸して気持ちを落ち着けた俺は、先ほどの違和感を思い返した。さっき俺やたら高くジャンプしてたよな?あれ明らかに俺の身長超えてたぞ?しかもジャンプした時に足に力を込めた覚えがない。そう言えばよくよく見れば、足跡がない。さっき頭打ったときすっ転んだはずだし、その後も何回か転びかけたはずだ。地面にその跡が残ってる筈なのに、来た方を見てみれば足跡の1つもない。そう言えばさっきから頭を抱えているつもりなのだが、腕に感覚がない。というか腕そのものがない感じだぞ?
....嫌な予感がしてきた。そう言えばあのオタマども、俺と同じぐらいの大きさだったよな.....。それにあんなに走ったのに息が上がってない。というかそもそも口から息を出してる自覚がない...。これはひょっとしてあれか?い、いやいや!そんなわけないだろ。俺は人間だ。人間がオタマになるなんてそんなわけないだろ。ほーら、この通り下を向けば足が.....ヒレだな。どう見ても。それも真っ黒だし。これは...認めるしかないのか?
俺はどうやらおたまじゃくしになったらしい。
書き忘れましたが主人公には徹頭徹尾モンスターとして生きてもらいます。人類社会で伸び伸び生活など、神たる私が許しません。神はその手のものに食傷なされてるのです。(人化能力事態は獲得するかも?)