いちえちゃん 〜小さな女の子〜
初めて小説を書きました。
読んでもらえたら嬉しいです。
俺、かずおは疲れていた。
それで気分転換に一人で旅に出た。
いろいろ眺めがいい所を見ているのだけど、あまり楽しい気分にはなれなかった。
旅を続けていたら、大きな木を見つけた。
その近くに食べ物屋さんがある。
お腹が空いていたので、そのお店に入った。
中は厨房におばさんがいただけで俺以外に客はいなかった。
時計を見たら2時過ぎていたからね。
「いらっしゃいませ。カウンターへどうぞ」
客が誰もいないのならテーブルでもいいんじゃないの?とも思ったけど言われるままカウンターに座った。
目の前に立てかけてあったメニューを取り出し眺めていたら、おばさんが水の入ったコップとおしぼりを持ってきてくれた。
日替わり定食でいいかな。
「日替わりください」
「はーい」
おばさんは厨房に戻り料理を作り始める。
店の中をしばらくぼーっと見ていたら、料理が出てきた。
「お待たせしました。日替わりです」
「どうも」
「私は奥の部屋にいますので、ゆっくりどうぞ」
「…はい」
おばさんは厨房から奥の部屋へ行ったのだった。
私はおしぼりで手を拭き、料理を食べる。
いただきます。
ん…まぁ美味しいかな。
「どう?美味しい?」
ん?さっきの店のおばさんとは違う声。
「ねぇ、どうなの?美味しい?」
えっ!…立てかけてあったメニューの裏から、掌サイズの小人のような女の子が顔をのぞかせて話しかけていたのだった。
「…美味しいよ…」
「そうでしょう?ここの料理は美味しいからね。だったら暗い顔しないでもっと嬉しそうにしなさいよ」
「そんなこと言われても…」
なんなんだ。この小人のような女の子は…まるでファンタジーじゃないか。
それに説教してくるし…
「私は『いちえ』って言うの。あなたは?」
「俺は『かずお』だけど」
「かずおさん、ご飯は暗い顔して食べちゃダメなの。ご飯が食べられることに感謝しなきゃ」
「…」
「何かつらいことがあったしても、ご飯を食べて笑顔になればまた元気になれるんだからね」
まぁ、確かにそうだけど…
「そしたら笑って笑って!」
そんなこと言われたら苦笑いしてしまった。
「なんか苦笑いねぇ。でもさっきの暗い顔よりましだわ。料理美味しいでしょ?さぁ笑顔で食べなさい」
この子、無茶苦茶言っているなぁ。
でもなんだか面白い子だ。
俺は手を動かして料理を食べる。
口の中のものを飲み込んだ後、その子に向かって笑って見せる。
「いいわよ。その笑顔。ご飯も楽しくなるでしょ?」
確かに笑い顔を作ったら、なんだか楽しくなるかな。
ちょっとバカみたいだけど。
しかし、目の前にいる小人のような女の子はなんなんだろう。
「あの…質問していいかな?」
「いいわよ、なぁに?」
「いちえちゃんはこの店の子なのかな?」
「違うよ。このお店のおばさんの料理が好きだからよくここに来るんだよ」
確かにここの料理は美味しい。
だからもっと嬉しそうに食べろってことか。
いちえちゃんは楽しそうに私を見ている。
やっぱりこの子、いろいろ気になるけど質問はやめて食べることにした。
もちろん笑顔で。
そして料理を綺麗に食べ上げた。
「いい笑顔…美味しかったよね?」
「あぁ、美味しかったよ。そしていちえちゃんと話もしたから楽しかったよ」
「へへへ…ありがとう。ここおばさん『いちこ』って言うの。私と名前似ているでしょう?いちこさんにも美味しかったって言うんだよ」
「そうだね。後で言うよ」
そしてコップの水を飲み干したら、目の前にいたはずのいちえちゃんがいない。
あれ?消えた。
周りをくまなく探しても見つけられなかった。
しかしない。帰るか。
「すみません。会計お願いします!」
そう大きな声を出すと、奥の部屋から「はーい」と返事がしておばさんが出てきた。
「ご馳走さまでした。いちこさん美味しかったです」
そう言ってお金を渡すと、おばさんはちょっとビックリしてお金を受け取った。
そしてお釣りをもらう時おばさんは話かけてきた。
「お客さんは初めてうちの店に来たと思うだけど、よく私の名前を知っていたね」
「はい」
「もしかして、小さな女の子と会ったのかな?」
「はい。いちえちゃんに」
「そう」
それでお互い笑顔になった。
「今まであの子に会ったことがあるお客さんの話によると、ちょっと落ち込んでいたお客さんが店の中で一人だけの時に出てくるみたい。笑顔で食べなきゃダメーって」
ははは…二人して笑った。
「あれ?もしかして、いちこさんはいちえちゃんと会ったことないんですか?」
「そうなんだよ。会ったことないんですよ。名前似ているのにね。ふふふ…」
「へぇ…意外です」
「それに、いちえちゃんに会ったことがあるお客さんがまた会おうとして、店の中で一人になっても誰も会えなかったって事だし」
そうなんだ。またこの店に来た時に会ってみたかったけど残念だな。
そしておばさんは続けて言った。
「これは『一期一会』じゃなくて『いちこいちえ』…なんてね」
ははは。
「ご馳走様でした。また食べに来ますね」
「いちえちゃんには会えないとは思うけど、お店としてはお客さんが来るのは大歓迎ですよ」
俺は店を出て、店のすぐそばにある大きな木を眺めた。
「ひょっとして、いちえちゃんはこの大きな木の妖精だったりして」
俺がぽつり呟くと、大きな木は枝を揺らしたのだった。
『小説家になろう』に初投稿しました。
感想や誤字脱字情報とか頂いても、上手く対応できるか不安です(汗)
とりあえず、最後の後書きまで読んでくれたら嬉しいです。
ありがとうございました。