透明少女
ワタシは、いつも一人。いや、独りというべきか。
この教室という狭い箱の中に押し込められてどうしようもない日々を送っている。
二年前に大病を患ったせいでマトモに出席出来ず今もまだ高校二年のままだ。
おかげで友達はみんな卒業して行ってしまった。
まぁ、それもあってずっと独りなのだ。
周囲からは白い目で見られ、しかも事情を知る幾人かの生徒は関わり合いたくないようで、一切ワタシに近づこうとしない。
腫れ物を扱うように、邪魔者を見る目で、毎日、毎日毎日、毎日毎日毎日、毎日毎日毎日毎日、毎日毎日毎日毎日毎日、ワタシのことを見つめてくる。しかしそれでいて話しかけて来ないからとても腹立たしい。
え? 自分から話しかけに行けば良いって?
んー、それは無理だね。彼らはいつもワタシを見るだけ。近付くと、スーッと避けていく。その様子はまさしく海を割るモーセの如し。
しかも授業が一通り終わると今までワタシに向けられていた視線が嘘のように無くなる。
まるでワタシが見えていないように。
全くもって馬鹿げてる。
ワタシはここにいて、ちゃんと生きている。脈もしっかりある。
だのに、彼らは授業を終えるとワタシのことが見えなくなる。
はぁ……死人は一体どっちだって話だよね。
ーーキーンコーンカーンコーン
っと、終業のチャイムだね。
外はすっかり茜色だよ。
でもキミさぁ……ふふっ。
え? 何がおかしいのかって?
キミ、自分の足元、見てごらん?
ワタシに有ってキミに無いもの、分かる?
……もう分かったよね?
そう、キミには影が無いんだよ。