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第8話 度を超えてはいけません

 夜が明け、アステールはグロリアとライト、レフトを連れて4人でリモの村へと向かう。朝早くだからか、まだ街は静かで空気は澄んでいる。そんな澄んだ空気を吸うと、アステールは目を細めて朝日を見るのだった。


 日が登りだした頃、3人はリモの村の周りを囲う森の前に到着した。レフトにジョセフィーヌを任せ、3人は森を進んで行く。


「王族が山奥の村に何の用ですかね。」


 突如聞こえた声に一同が立ち止まる。


「この声は…。」


 前方の木の陰からは鋭い目つきをした男が一人静かに現れた。そして、先導していたグロリアの背後を歩いていたアステールを見るや否や表情が一変。そしてゆっくりと一同へ歩み寄る。


「やっぱり…。兄貴、その…。」

「あぁぁぁグロリアァァァ!!!!良かった、急に居なくなるから!!僕はもう夜も眠れず!!!」


 アステールに飛び付き思い切り抱きしめて泣き噦る男に、伸ばしかけていたグロリアの手が力無く落ちる。あぁそうだ、今自分はグロリアではないんだと、静かに唇を噛んだ。どこか期待していたのかもしれない。長年側にいた家族なら、外見は変われど直ぐに気が付いてくれるかもしれないと。そう甘くはないかと、頭を掻く。


「く、苦し…お、おい、離れてくれ…。」

「ゴホン、取り込み中恐れ入ります。貴殿は?」


 ライトが静かにその男を引き剥がし落ち着かせる。


「うっぐすっ…!申し訳、ない。僕はアスト。この子の…グロリアの家族なんです。妹の身に何かあれば、僕は首を吊っている所でした。本当に、何と言ったら良いか…!」

「…その事で少し、お話があるのです。」


 アストはゆっくり話が出来るようにと一同を村へ案内してくれるのだと言う。道中アストはグロリアが無事で良かったと泣くばかりだった。一方のグロリアは、一切口を開かなかった。


「…で?お兄さんの言うゆっくり話せる場所っつーのは?こんな物騒な物持ったみんなの中心な訳ねぇよな?」


 村の広場に出た所で、アステールの背後を少し離れて歩いていたグロリアが口を開いた。広場の周りには村人達が斧や剣を持ち、息を呑んでこちらを見ていた。


「この村にはこんな物騒な事する人はいねぇ筈だけど?誰が扇動者なわけ?」

「…これはグロリアの為なんだ。国の主が、大事な大事な妹を、僕たちの希望の光を奪った。これが僕達の答え………反逆だ。」


 目の前のアストは、グロリアが今まで見たことの無い表情をしている。これがあのアストなのかと、恐怖を感じた。そのアストの周りには、次々と人が集まる。


「アステール様、ここは一旦…!」


 ライトが腰の剣に手をかけた瞬間、今までピクリとも動かなかったアステールが静かにそれを制止した。


「彼女の人望はこれでよく分かった。」


 そう呟くとアステールは一歩前へ出る。そして集まった人々を見渡し深く、深く頭を下げた。その姿にグロリアはギョッとしてアステールに駆け寄る。


「皆心配をかけたようですまない。私はこの通り無事だ。だからお願いだ、武器を収めてくれ。話がしたい。」


 そんな真剣なアステールの言葉に、グロリアも隣で深いお辞儀をする。沈黙が流れる。目を瞑ったグロリアは冷や汗をかいていた。


「…そこまでにしとけよバカアスト。」


 沈黙を破ったのは一人の男の声。一斉に視線が集まる。アステールの側へ歩み寄る男は、グロリアを見ると、小さく会釈した。


「…兄貴……。」

「可哀想に、怖かったろうグロリア。…兄貴、なんの騒ぎだコレは?俺がグロリアを探しに行っている間に何をした?」

「…ダイヤ、違うんだコレは…!誘拐犯であるこの男が…!これは、グロリアを守る為で…!!!」

「だから落ち着けってのバカ兄貴。これじゃ俺らみんな、兄貴が大事にしてる叔母さんやあのガキども含めたみんな処刑案件だぞ。話があるっつってんだ、まずはそれからだろうが。爺ちゃん婆ちゃんも、妹はこの通り元気だから、俺の顔に免じてどうか武器を収めてくれねぇか?」


 次男であるダイヤの言葉にアストはその場に崩れ落ちた。村人達も力無く座り込む者、涙を流す者様々だ。


「うちの兄貴が申し訳無かった。シスコンも度を越すと人を殺しかねないな。俺はダイヤ。そこのアストの弟で、グロリアの兄貴だ。家へ案内する。こんな事の後だ、信用しちゃもらえないかもしれないが…。」

「信じる!疑うわけないだろ!兄…!あ、貴方は彼女の大切な家族だ!」


 アステールが口を開くよりも早く、グロリアがそう叫んだ。どこか泣きそうな、そんな表情で。それを見たダイヤは嬉しそうに笑う。


「…ありがとう…ございます…。付いて来て下さい。」


 一同はそう言った彼の後を追うのだった。

度を超えたシスコンの兄貴でしたね。笑何事も適度が一番という事で、次回もお楽しみに!

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