表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

第7話 村人AはAではない

お家時間を皆様はどのようにお過ごしですか?私は放置してしまっていた小説を完結に向け再始動しております。お待たせしてしまって申し訳ないです。本当に。こんなご時世ですがほっこり、ふっと笑って頂ければと思います。

「ではローレル、グロリア様をお願いね。」


ルルリラの言葉にローレルは深く頭を下げる。先に上がったグロリアは丁寧に髪を乾かしてもらった後で、ライトに淹れてもらったハーブティを飲んでいた。ルルリラは明日一日のスケジュールの打ち合わせに出る為、この場をローレルに任せたのだ。


「…では、グロリア様、私が。」


淡々とそう告げ、アステールをバスルームへと招き入れた。そしてアステールの服を脱がしながら口を開く。


「…御召し物は決まったようですね。このような服着た事はおありですか?」


アステールの顔も見ずに淡々と続ける。


「あのようなみすぼらしい格好でしたものね…。お可哀想に。暫しの幸せを噛み締めて下さいまし。」


鏡の前に座らせたアステールの後ろから鏡越しに冷たい笑顔を向けるローレル。そんなローレルの言葉を、アステールは何も言わず聞いていた。

ローレルは2年前カミュイの村へ向かう途中にアステールと出会った。街道の脇で血だらけで横たわる女性へ叫びかけるローレルへ、アステールが声をかけたのがきっかけだった。勿論ライトは止めたのだが。なんでも、カミュイの村からアステールの住む王都オストハウプトへ向かう途中盗賊に襲われたらしいのだ。放って置けなかったアステールは城へ連れ帰り、自身の専属メイドとして雇う事にしたのだ。後にその女性が親である事を聞いた時は流石のアステールも言葉を失った。その頃から何事にも冷めているような様子だったが最近はアステールやルルリラに笑顔を向けるようになっていた。

しかしこの様子はあの頃のようだな、と体を洗うローレルを鏡越しに見つめた。



「お帰りなさいませ、アステール様。」


ローレルが出て行ってすぐ、ルルリラと選んだドレスを着たアステールへ向けてライトがいつものように声をかける。


「なっ…んだその服!そんな…!女っぽい…!」


スカートさえ履いたことのないグロリアは勢いよく立ち上がる。


「何を驚くことがある!折角この美貌なのだ、服は自身を引き立たせてくれるものを選ぶべきだぞ?俺が認めた美貌、似合わない訳がない!否!!似合ってしまうのだ!!はっはっはっ!!」


ポーズを決めるアステールへため息をついたグロリア。


「…お前と話していると疲れる。」

「はっは!そうかそうか!このような愉快な時間を過ごせて満足か!!」

「アステール様、その辺で。お話しすべきことがあるのでしょう?」


ライトに宥められ、アステールはグロリアの正面のソファに腰を掛けた。目の前に座るアステールを見て、グロリアは自身をこうも変わると最早別人だな、と1人冷静に観察していた。


「グロリア、城で雇うという話だがな、取り消させてもらいたい。」

「…は?」


予想だにしなかった発言に、顔をしかめるグロリア。


「事は深刻なのでな。代わりに君を僕の婚約者として側に置く事にする。」

「…お前は馬鹿か?」

「なんだと!!」

「村人Aと一国の主が婚約なんて私でも聞いた事ないぞ!通用するか!!」

「貴様自分の身体をよく知れこれがAのサイズなわけ」

「ざけんなヘンタイ胸の話なんてしてねぇ!!」

「親にも打たれた事ないのにっ!!」


胸を触ろうとするアステールを一発殴ると、グロリアは自身を殴った事にしまったと声を出した。ライトが咳き込み、場に静けさが戻る。殴られた勢いで椅子から転がり落ちたアステールは、頬を抑えながら座り直す。


「いてて…まぁ落ち着いてくれ。ふざけているわけではなくてだな。側に置いておかないといつ戻るかも分からない状況だ、何かあってからでは遅い。僕は僕の身の危険の心配もせねばならん。僕が惚れたと貫けば、君の顔も立つ。悪い話では無いはずだ。勿論先の話の通り賃金も払おう。」

「…一応聞いておこう。拒否権は?」

「ないな。」


迷いのないアステールの言葉に、グロリアは大きく息を吐いた。


「村人Aが一国の王子と入れ替わり婚約者、ね。お伽話みたいだな。分かった。あんたが死んで戻れないとか勘弁だしな。」

「物騒な事を言うな。これから大変だぞ。」

「言われなくても。」


差し出されたその手を掴むグロリア。


「いったたたた!!おい離せ!」

「人の胸触ろうとした罰だ!」


固い握手を交わす筈の2人。こんな調子でやっていけるのか、と頭を抱えるライト。だが、いつも明るく振舞っているアステールがこんなに楽しそうにしているのは嬉しかった。二人のやり取りを見ると、静かに微笑んだ。見られているとはつゆ知らず、涙目のアステールが爪を立てられた自身の手をさする。


「真面目な話、君には教養が無さすぎる!言葉遣いから徹底してもらうからな!」


そんなアステールの言葉にギョッとするグロリアであった。

いよいよここからという感じになってきましたね。アステールの残念イケメン、グロリアの漢気美人さんのドタバタな日々がはじまります。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ