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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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スレ98 ドラゴンに会ってみた

皆さん、お待たせしました!



 学園都市の北西に位置する山岳地帯。

 その山の一つに、特殊な鉱石が採掘できる坑道があるのだが……ある日突然、そこにドラゴンが住み着いたらしい。


「そこで俺がその問題を解決し、再び採掘可能な状態にするわけだが……それなら、もっと先に上位の序列者に頼めよな」


 学園都市には俺を除き九人の強者が居り、彼らを総称して序列者と呼んでいる。

 俺は新参者、第十位の序列者なのだが……何だかイジメが多くてな。


 最近、第二位でありクラスメイトでもある先輩とは仲良くできるようになったのだが、それでも揉めるきっかけとなった第九位と友好的な五位以外には面倒な仕事を押し付けられている気がする。


「まあ、この問題はその友好的なはずの五位から回ってきた依頼(クエスト)でもあるんだけどさ」


 まあ、学生全員に解決を求めた依頼ではあるが、その難易度が半端ないので天才共も受注を止められて放置されていたとのこと。


 だがしかし、それなら志願者を募って集団で戦えばいいのにな。


「まずは探そうか──“魔力探査(サーチ)”」


 相手を探す基本の無属性の魔法だ。

 ただ、これは自分の魔力を外に放ってその中に居る魔力を持つ存在を見つけるだけ……要するに、相対的に自分の居場所を相手に曝け出してしまう。


「しかもそれがだいぶわざとらしく、特定の存在に向けられていると気づけるような存在ならば──」


『グギャァアアアアアアアアアアアアア!』


「あっ、本当に出てきた」


 イメージ的に真っ赤なヤツか茶色なヤツだと思っていたのだが、そのドラゴンはやや透明っぽい白色のドラゴンだった。


 まあ、魔力に反応して来るまでの時間がだいぶ早かったので、優秀な方だと思う。


「ただ、こんな色初めて見るな……参考資料にも無かったし、さしずめクリアドラゴンとかそういう感じかな?」


『グオゥ──』


「ああ、少し静かにしてくれ。ちょっと撮影もしておこうか。はい、チーズっと」


『グギュゥ──ッ!?』


 包み込むように“魔力壁(ウォール)”を複数構築し、身動きが完全に取れないようにしておく。


 そしてカメラを構え、その姿をチャットアプリ内に晒す……ドラゴンだし、人権云々で訴えられないよな?


「さて、回答が出るまで待っていてくれよ。あれ、魔力を吸っているのか……じゃあ、それなら増加っと」


『ギュオゥ──ッ!』


 魔力量には定評があるので、注げるだけ注いで限界量まで食わせてみる。


 初めの内は少し増やしても余裕だと言わんばかりに吸っていたが、だんだんとその速度は低下していき……やがて止まってしまう。


 透明だった鱗は魔力を吸えば吸うほど光り輝いていたのだが……今ではその光も口内へ集中していく。


 そしてパックリ開いた口から──勢いよく息吹(ブレス)を吐きだした。


「それ、“虚無庫(ストレージ)”っと」


『グヒャァ!?』


「えっ、なに今の声……?」


 まあ、作戦は成功。

 無事に息吹を中へ誘導し、そのまま保存することができた。


 これってうまく利用すれば、犯罪を他者に擦り付けられるんだよな……気を付けよう。

 そんなことを考えていると、ピコンと通知音がスマホから鳴る。


 先ほど調べてもらったドラゴンに関する情報を、誰かが教えてくれた合図だ。


「えっと、何々……[現状だとただの無属性なドラゴン]? いや、『現状』ってフラグが妙に怪しいんだけど」


 チャットを区切るヤツだったので、そのあとが続かない……焦らされるな。


『ギャロォオオオオオオ!』


「[属性魔力を吸えば吸うほど、その属性に対する適性を得ることができる最強に成りうるドラゴン]……いや、不味いな」


『ギャォオオオ……』


 またここで区切られているが、その先がもうなんとなく分かった気がする。

 それと、なぜかドラゴンが寂しそうな声を発しているような……。


「[そのため、近しいものから魔力を貰い属性を予め手に入れるのが普通。そのドラゴンは何らかの事情で竜固有の魔法以外を使うことができない。属性を得られるのは一度目の最大供給まで。以降はいっさい不可能]」


『……キュウ』


「なんか……ごめんな」


『…………キャゥ』


 一度目、つまり幼少期に属性魔力を与えられて適性を得ておくのが常なのだろう。


 貰っていた資料によると、ある程度成長したドラゴンは親離れをするのでそうでないのは卵の状態で親から離れた場合なんだとか。


「とりあえず、会話をしよう……たしか、これを使えばいいんだったっけ?」


 資料と共に用意されていたアップデートプログラムにより、翻訳機能は人族の言語だけでなくドラゴンにも対応するように。


 なお、謎技術によって一瞬で翻訳され、本人の声をほぼ100%再現するんだとか。


「──よし、初めまして」


[初めまして……って、え゛?]


「俺はアサマサ、ただの人族だ。今回来たのは他でもない、君がここに住んでいることについて話したい」


[……コイツが普通? ありえない、これが普通なら勇者とかって……化け物じゃん!]


 声が子供っぽかったので、とりあえず二人称は『君』にしておく。


 そんなドラゴンキッズは、ずいぶんと人族に恐怖しているようだ……まあ、いずれはそうなるかもしれない──とりあえず、交渉を始めようか。



それでは、また一月後に!

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