スレ09 虚無の無は無限の無
何があったかをおさらいだ──
草刈り鎌を創った
素振りをした
壁が消滅した……どういうことだ」
誰も見ていない所で安心だ……なんて言ってる場合じゃない!
とりあえずこの状況は写真に撮ってあるから、あとでみんなに相談することもできる。
それより今は、この壁をどうにかしないとヤバい!
「ああもう、魔力があれば……って、もう回復してる? さっきまでゼロだった気がするけど……考えている暇はない!」
何かしら、そういう回復の魔法を誰かが施してくれたのかもしれないが。
誰だか知らないけど、ありがとうございます! ……って、考えている暇があったらどうにか壁を誤魔化さないと!
──そうだ、壁を魔法で壊したなら、魔法で壁を直せばいいじゃない!
錯乱しながらも、無属性のイメージで壁をどうにかできないかを考えてみる。
「無、無……無し、チャラ、リセット……そうだ! ──“原点回帰”!!」
何かに引っ張られるように頭に浮かんだその名を唱えると、再び体から何かが減った感覚に襲われる。
うん、二回目だからかはっきり分かる……これが魔力なのか。
きっと他の召喚者たちは、こんな気持ち悪さを味わわなくても理解できるんだろうな。
俺の魔力をごっそり使った魔法は、発動してくれたみたいだ。
目の前から消え失せた壁の辺りが光を放ちだし、それが治まる頃には……鎌を振る前に存在していた壁が在った。
ん? 前よりも新しくなっている気がするのだが……まあ、それは別に問題ないか。
「とりあえず──これならどれだけ失敗しても、たぶん大丈夫そうだな!」
ただでさえ平均以下なんだ、少しでも体に動きを染み込ませないとな。
◆ □ 自 室 □ ◆
「いやー、いろいろとできたな。途中から頭痛も感じなくなったし、何か良い称号特典でもゲットできたのかな?」
それなら嬉しいんだが、本当に綺麗に感じなくなったからな……原因が気になる。
「まあ、とりあえず確認しておこうかな──[ステータス]!」
可視化された俺の強さ、そこには──
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ステータス
名前:アサマサ・ワタリ(男)
種族:【異世界人Lv3】
職業:【■■使いLv1】
HP:100/100
MP:100/100
ATK:10
DEF:10
AGI:10
DEX:10
MIN:10
LUC:0
通常スキル
(言語理解)(鑑定)(無魔法)
固有スキル
【■■使い】
祝福
(地球神の加護)
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あれ、何も変化が……ない?
おかしいな、たしかに何かを掴めた気がしたんだけれど……俺、本当に変われないな。
「でもまあ、いちおう疲れなくなったんだよな。どれだけ魔力を使っても」
この場で“虚無鎌”を出したり消したりしているのだが、虚脱感や頭痛に苛まれることはなかった。
魔法ではないが魔力を体外に放出するようなイメージを行うが、魔力の数値が少しずつ減っていくだけで──体調も変わらない。
「……あとでハルカかナツキにでも訊いてみようかな? 簡単に教えてくれそうな魔法の上手いヤツって、アイツらとかを除くとあの二人だしな」
頭の中で高笑いしているアイツらにツッコミを入れるイメージをしてから、今日はもう寝ることにした。
……いや、もう遅いし、夜更かしは女性の敵だってお袋も言ってたしな。
こんな時間に連絡をしてももう寝てるか。
だから前のときもアキに連絡したんだし。
「それじゃあお休み~」
自身のステータスが偽装されたことなど露知らずな朝政は、明日のことを思いながら夢の世界へと旅立った。
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参加者:アサマサ以外
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・
・
ハルカ:……色々と、ヤバいです
フユツグ:おい、何かあったのか!?
ナツキ:す、すぐに召喚魔法陣を!
アキ:おいおい、落ち着けって
本当にヤバいことが起きてたなら、もう賢者様がどうにかしているだろ
……そういえば、侍と暗殺者は?
ハルカ:二人は予習復習に励んでいますのでお休みです
それより、今は朝政さんのステータスについてですよ!
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ステータス
名前:アサマサ・ワタリ(男)
種族:【異世界人Lv3】
職業:【■■使いLv1】
状態異常:【絶対不変】・【魔素同調】
HP:100/100
MP:∞
ATK:10
DEF:10
AGI:10
DEX:10
MIN:10
LUC:0
通常スキル
(言語理解)(鑑定)(虚無魔法)(器用貧乏)
(愚者)(魔素同調)(意思喪失)(存在希薄)
(虚無適性・極)(虚無耐性・極)(限界突破)
魔法リスト
(虚無魔法)
L“虚無◯”:鎌
L“原点回帰”
固有スキル
【神器使い】【絶対不変】
祝福
(地球神の加護)
(異世界勇者の慈愛)(覇道魔王の慈愛)
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アキ:魔力が無限って……おいおい
それに魔素同調って、たしかなった奴が必ず死ぬっていう外法だよな
ナツキ:ええ、大量の魔素を体に取り込もうとした人が、逆に魔素に取り込まれてなる現象のはずだけど
フユツグ:怖ッ! 魔法使いってそんな死と隣り合わせのことをやってたのかよ
ハルカ:朝政さんはそれを、魔素枯渇状態から一気に補填することで、魔力が少量の状態でも可能としてしまいました
本来そのようなことは不可能ですが、こちらの人間はMPが枯渇しても動けてしまいますのでできてしまいます
そして魔素同調という症状
称号の方を確認しましたが、それの実態は意識と存在を忘却してしまうことによる自我の喪失にありました
普通の人ならそこで暴走や消滅で終わるんですが……朝政さんには:絶対不変:がありますので、(魔素同調)を称号のスキルとして入手して完全に適合しました
フユツグ:おお、遂に朝政にチートが来た!
ナツキ:……もともと(虚無魔法)なんて魔力100で収まるような代物じゃ無いじゃない
それを発動するため、強引に体外から魔素を用意した……そんなところね
アキ:魔法もいろいろあるしな
なんだよこの“原点回帰”って……聞いたことないな
ハルカ:あっ、それは朝政さんのオリジナルの魔法ですね
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この後は、朝政の創りだした魔法で盛り上がっていった。
──オリジナルの魔法は創造者のイメージで名前が付く。
つまりは……そういう意味での盛り上がりであった。