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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【始まる】面倒事対処 その01【準備】

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スレ08 魔法を使用



 新しい朝が来た!


 このフレーズから始まる曲の意味を、俺は初めて知ったかもしれないな。

 ……喜びに広げられるだけの胸は無いが、希望の(いせかい)に広がる青空(むまほう)になら広げられるかもと思える。


「さあ、俺の異世界ライフが始まるぜ!」


 誰からも期待されていない俺の異世界生活が始まったのだと、俺は思ったのだった。


  ◆   □  訓練場  □   ◆


「──引き続き、今日も魔法の訓練を行うからな。全員魔法を習得できただろう、今回からは得意な属性をより高めるために宮廷魔道士に協力してもらう。全員、今日から一週間は魔法の威力を高めるために訓練をするぞ」


 朝食などを終えて訓練場へ集まった召喚者たちに、お偉いさんはそう言ってくる。

 彼の周りには、分かりやすくローブを別々の色で着た美男美女が立っていた。


「火属性担当のメーラだ。もっとも攻撃力を求めるなら、火属性が一番だぞ」


「水属性担当のヒャードです。水は世界の中でもっとも多く存在しています。それを扱う力を身に付けてみませんか?」


「風属性担当のエーアよ。風に形は無い、だからこそ、もっとも自由にイメージを変えられるわ。発想力が強い人は、ぜひとも習ってみてね」


「土属性担当のストーン。俺達は大地を踏みしめて生きている。だからこそ、人は地面と密接な関係を持つ。四属性の中でもっとも身近にある属性だ……やってみないか?」


 俺たちの前で、四人の方々がそう挨拶して勧誘している……誰も彼もが「もっとも」という単語を言っているのだが、結局何がベストか分かっていない今の俺たちには、適性でしか測れないのではないか?


 他にも数人立っているのだが、挨拶をする様子は無いな……着ているローブの色からして、恐らくは光や闇、回復などの希少な属性の担当なのだろう。


「……では各自、自分の持っている属性魔法の種類と数を考えて、今日一日、誰に教わるかを選んでほしい。……これから呼ばれた者だけは、すまないが少し残ってくれ」


 そう言ってお偉いさんは、数人の人物の名前を呼んでいく。


「ユウト様、アヤ様、セツナ様、レン様、コウダ様…………」


 そして、最後の方で──


「……エレナ様…………そしてアサマサ。以上は残ってくれ」


 うん、シンプルに『様』が無い差別。

 これまでの扱いでよく分かっていたことだが、ステータスにバグが表示されるヤツをこの国の奴らは必要としていないようだ。


 だが、放置せずにわざわざ残すのか……それはなぜなのか?


  ◆   □ 結果 発表 □   ◆


 結論から言おう。

 俺は担当無しで魔法を練習することになった……in隅っこ。


 呼ばれたのは特別な魔法を習得できた者たちで、紹介されなかった魔道士たちが彼らにその魔法を教えるためだそうだ。


『──すまないが、無属性だけを専門に扱う宮廷魔道士はいないのだ。アサマサ、お前は一人で魔法を練習してくれ。ああ、場所が余りないからな。お前は……向こうの方で周りに迷惑を掛けずにやっていてほしい』


 そんなことを言われ、俺はボッチ練習となりました……普通の奴ならば、メンタルがズタボロになっていただろう。


 俺の場合は既に何度か経験済みだから気にしないが、こういう優しいんだか苛めなんだか分からない微妙なヤツが──正直、一番クるんだよな。


「……よし、魔法練習だ」


 魔法の発動方法は、何となく分かるとここの人たちは言っていた。

 ……全然分からなかったんだけどな。


 なので、ちゃんとアキに訊いておいた。


===============================


 ・

 ・

 ・


アキ:魔法は体で魔力を練って発動させるんだ


アサマサ:先生! 何を言っているのかもう分かりません!


アキ:ここら辺は感覚の問題だからな

まあ、念の能力みたいなもんだ

適当に血液の中に特別なものが流れていることをイメージするんだ


アサマサ:……なるほど


アキ:ここで、普通の奴は属性のイメージをしたりしないといけないが、無属性は別だから省くか

あとはその練った魔力をどういう風に発動させたいかをイメージするんだ


アサマサ:ありがとう、参考になったわ


===============================


 魔力に関しては未だ掴めていないので、血液に異物があると考え、それを心臓に集めていくイメージをする。


 そして今度は、発動させたい魔法のイメージを行う。


「えっと……無属性、無いもの、刈り取る、鎌──“虚無鎌(ホロウサイズ)”」


 その名を唱えた途端、体の中から何かが一気に減った感覚に苛まれた。

 頭をハンマーで叩かれるような頭痛に襲われ、視界も揺れ動いている。


「……フラフラする。さっき減ったのが魔力なのか。……うん、感覚は掴めた。だけど、やけに体が重いな」


 魔力(MP)がどれだけあるのかを確かめるため、自身に鑑定スキルを発動すると──そこには『MP:0/100』と表記されていた。

 また、さらに魔力を使ったためか、さらに激しい頭痛に苦しめられる。


「ああ……魔力が切れたからか。道理で眠気までしてくるのか。アイツらの言っている意味ってこういうことだったんだな」


 この世界の人たちは、魔力が切れるとその瞬間に気絶するらしいが……異世界人は本来(・・)魔力がほとんどない世界──地球に居るためか、魔力が切れても気絶することなく、意識だけ(・・・・)は保てるのだ。


「……頭ガンガン、吐き気がする……肝試しの時のあれって、魔法の影響だったのか?」


 昔、友達たちと行った肝試し。

 そのとき、幽霊に憑りつかれたらしいのだが……意識を取り戻した後、今のような症状が俺を襲ったのだ。


 てっきり、誰かが俺に酒を呑ませたのかと思ったんだが……どうやら違ったみたい。

 ──疑って悪かったな、みんな。



 閑話休題(かなりしんぱいされた)



「さて、せっかく創ったんだし……一度試してみますか!」


 俺の創った鎌は、死神が持っていそうな大鎌ではなく──草刈りに使いそうな小鎌だ。

 ……刈り取るのイメージが、魂では無くて草だったからな。


「よいっしょ…………へっ?」


 鎌の届く範囲を調べるため、何も無い宙で素振りをしてみたのだが。


 空振りをしたはずそれは、スパンッと効果音が出るほど切れ味よく、ナニカを切ったのだと感覚的に察してしまう。




 鎌を振った先──壁が在ったはずの場所には……何も存在していなかった。



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