↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【強者の権利】面倒事対処 その05【最下の義務】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/142

スレ79 地球人は想像力豊か

皆さん、お待たせしました!



『錬金? 要するにだよ、アレはレシピ本を見ながら料理を作るようなもんだよ。だいたいネットを見ればあるレシピと画像から、そのイメージ通りに作るわけ』


『もちろん、それが悪いってわけじゃないけどさ。ただ、こっちのやり方を知っていると非効率だって思えるんだよね』


『まあ、それでもこっちができない人は錬金術に頼らざるを得ないんだけど……。そんな彼らのような状況に陥ったとき、どういう風にやればいいのか……座学なんだけど教えておこうかな? なんと言っても暇だし』


 かつて、俺に錬金術を教えてくれたアイツのことを思いだした。

 錬金術を専攻しているヤツでもないし、俺もそこまで深く教わったわけじゃない。


 だが、それでも知識として理解した。


「ハァ……だからできるわけでもないけど」


[残念無念]


「サーシャ様もそうなったか。まあ、いきなりできる方がおかしいだろ」


 爆発こそしなかったものの、魔力量に問題があったのかポーションはできなかった。

 上手く薬草が融けだしておらず、若干固形としての形を留めてしまっている。


[どうする?]


「ここは成功者に訊くべきだろ。フェル、よければやり方をサーシャ様に教えてあげてくれないか?」


「ええ、構わないわよ。アサマサもいっしょに見てなさい」


 綺麗な緑色の液体の前で、ファルは胸を張りつつそう言った……うん、無心だ無心。

 そんな彼女は魔法陣の上に改めて必要な素材を再セットし、魔力を流し始める。


「大切なのは、何がどうなれば完成品のような物になるのか。それをイメージすること。ポーションなら、薬草が融けきって綺麗な緑色の液体になることをイメージするのよ」


 魔力量を調節し、陣の輝きを適度に変えては容器の様子を窺う。

 こういった繊細な操作が、きっと彼女の成功の秘密なのかもしれない。


「──こんな風に、あとはイメージ通りに流してみるだけ。光は魔力の量なんだけど、やりすぎるとあの馬鹿みたいになるわ。けど、それはイメージを反映する力が強く働きすぎちゃったからなの。そこを調整するの」


「具体的には?」


「私の独自の考えかもしれないけど、あの光はイメージを受け取る強さなのよ。だから、一流の錬金術師は錬金陣を使う分の魔力さえあれば、少量でも確かなイメージで品質のいいポーションが作れる」


「その逆もあるのか……凄い考えだな」


 本当に独自で見つけたのなら、フェルには学者としての才能があるかもしれない。

 某直観任せの厨二病に、同じことを言ってあげてやりたいよ。


「なかなか思い切った考え方をしますね」


「せ、先生……」


「となれば、光を明滅させていた先生はあまりよろしくないと……生徒に教わるとは、未熟さを感じ得ません」


「そ、そんなこと……!」


 あっ、こっそり笑ってる。

 魔力の操作は完璧に行えていたし、次からはファルの仮説通りにやろうとすればすぐにできるだろうに。


「いつか論文を出してみては? おそらく、いえ間違いなく承認されますよ」


「本当ですか?」


「ええ。あまり詳しくはありませんが、たしか似た論説があったと思います。いずれ教室に持ってきましょう」


「お、お願いします!」


 学者を目指すかもしれないなー。

 やる気に満ち溢れ、眼から光が出ている気がするファルを見ながらそう思った。


「さて、それじゃあサーシャ様も」


[アサマサは?]


「知り合いから習った方法をちょっと……俺たちにしか、できない方法かもしれないが」


[り]


 サーシャはさっそく錬金を始める。

 俺もまた、少し離れた場所で習った方法を試してみることに。


「必要なのは要領の良さ。あとは普通の錬金と代わりはしない」


 師、曰く──錬金とは行程の省略を突き詰めた生産活動なんだとか。


 魔力を籠めるだけでポーションができる、手を着くだけで地面を操れる、不老不死になるためのアイテムを生みだすなど……本来であれば膨大な時間を費やす作業を大幅カットしているのが錬金術である。


『要するに、以下省略(ショートカット)さ』というのはアイツがよく言っていた(気がする)言葉だ……それからプログラムが云々とも言っていたが、さすがにそちらは詳しくないのでな。


「器に注ぐ魔力、それは水を意味する。注ぐ術式は水に溶け、効果を示す。少なすぎては効果は薄れ、多すぎては漏れ出てしまう」


 もちろん、簡単なアイテムの錬金であれば少なくても作りだせる。


 さっきの話はその確証を上げてくれた……アイツの話は結局、天才の自論という感じが強かったからな。


「器から溢れるギリギリの手前まで魔力を籠め、そこから追加で術式と俺のイメージを注ぎ込む……」


 溢れる光、それはブラストが起こした光のように危うい輝きでもある。

 なので少し魔力を減らし、なんとなく大丈夫だと思える明るさに調整しておく。


「科学的なアプローチなんて要らない。それこそゲームみたいに、あっさりと完成することを信じる……あっ、本当にできた」


 一瞬でできることを信じられないから、錬金術にはやり方を理解した上でそれを省く努力をする。


 だが、現代の若者たる俺にとって、錬金術は魔法のように一瞬で錬金ができるものと信じ切れていた。


 ──それこそが、ある意味異世界から来た者たちの特権かもしれない。



ではまた、次回は一月後!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。