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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【強者の権利】面倒事対処 その05【最下の義務】

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スレ71 有名人には二つ名を

一月ぶりです



 学園において、『魔法戦士』という単語が少し流行り始めた今日この頃。


「ようやく半月か……」


 これまでに過ごしてきた日々を想い、少しばかり物思いに耽ってしまう。


 未だに固定ファンが付かず、ブーイングとバッシングしかされない自分の有り様に少々ばかり泣きたくなる気持ちもあるが、それ以上に進まない計画にため息を吐く。


「結局、毎日やるんだからな」


 学園が休みな日は別だが、そうあるのは特別な日を除いて週二日だ……ここはアキの影響だと思われる。


 レイン曰く、計画は一月を終えて一度謁見する時がイイとのこと。


 どうして『謁見』という単語を使い、その日がいいのかという理由を隠したのか……まあ、だいたい検討は付くけどさ。


「ハァ……もう疲れたな」


「う、うぐっ……」


「ほら、さっさと退場しろよっと」


「うごふっ!」


 戦槌で殴り飛ばして舞台から叩き落とす。

 どうしてだろうか、その行動をしただけで物凄い侮蔑の視線を浴びてしまう。


 近頃は俺を序列十位と認める者も増えてきたのだが、何をどう解釈したのか二つ名らしきもので俺を呼ぶのだ。


「この、『悪逆従者』め……」


「はいはい、どうせ従者ですよ……文句がある方は、さぁぜひ舞台までどうぞ?」


「ぐっ、この従者が!」


 ちなみにここで、脳筋などと揶揄することはできない……俺、学術面でもそれなりの成績を出すようにしたから。


 こういうとき、完璧超人みたいな奴をどういった方法でイジメるのか少し気になったというのが、サブの理由だ。


 ──メインは簡単、調子に乗った奴を上の序列持ちが叩き潰す展開を求めているから。


 少なくとも三人はそんな感じで呼べるだろうし、そうでなくとも序列持ちはいずれ全員会っておく必要があるしな。


 まあ、そんなこんなで従者と言ってそれを悪口にする貴族や俺を妬む者たち……けど、どうして他の従者は俺の行動に感銘を受けてくれないんだろうな。


 それで虐められるならともかく、イジメを受けているのは俺だけなんだし。



「さぁさぁ、お立合い! 貴族様は私めに勝てておりません。ここで勝利すれば、きっと貴方が次代の序列持ち! お貴族様は上位の地位を持つ方々に鼻を鳴らし、平民の皆様はそんなお貴族様全員を下に見下ろせるビッグチャンス! 挑もうと思う人は、さぁさぁいないのかねぇ!」



 もちろん、こんな挑発に乗ってくれるのは最初の週ぐらいだった。


 どれだけ挑んでも、俺が八百長をするわけがないし……これまでの闘いを確実に勝利しているからか、視線を向けられた奴はなぜかビクリとしてしまっている。


 うーん、本当にどうしようか。

 最近は言葉のレパートリーもだいぶ減ってきたし、エンターテーメント性に欠け始めている気がする。


「ほらほらどうした! 所詮従者だと悪態を吐くそこの貴方!」


「えっ、ええ!?」


「そして君と君と君! 舞台に降りて君の本音をぶつけよう! それとも君たちは、言葉で闘う言霊使いなのかな?」


「何言ってんだよ、気持ち悪い! んなことできるわけねぇだろ!」


 詠唱で魔法のイメージを固め、放っている君たちはある意味言霊使いだけどね。

 いちおう補足しておけば、俺は本当に言霊使いが居ることを知っているぞ。


 指を示した場所に居る者たちへ、魔力で生成された糸を結びつけてあった。

 途中から可視化させたそれだが、一定以上の距離まで延びない仕様となっている。


「と、取れないよー、だ、誰か取って!」


「待ってろ、今剣で──き、斬れねぇ!」


「ハーハッハ! 俺を侮辱した奴を、一人一人糸で拘束してやろう! 風紀委員や生徒会にも止められない、なぜならお前たちが俺の悪態を吐いたことが原因なんだからな!」


「じゅ、従者を従者と言って何が悪い!」


 もちろん、何も問題は無いさ。

 ただそこに悪意を籠めて言うのは……また別問題じゃないか?


「えー? ウワサによれば、俺は悪逆非道の従者様なんじゃないか? なら、こういうことをしても何もおかしくないじゃないか!」


 演出として闇属性の魔力を糸に流し込み、より禍々しさをアピールする。


 しかしまあ、まだ従者従者と言っているんだが……悪口だとしても、それは俺以外に向けた場合だよな。


「キャッ! な、なに……?」


「さぁ、勇者よ立ち上がれ! 悪逆の徒が掛けた呪い、それは俺の悪態を吐いたリア充にのみ掛かるモノ! 俺が汗水流して闘うのをオカズに、イチャイチャしやがるカップル共への制裁だ!」


『オォー……』


 あれ? なんだか初めて共感された気がするんだが……まあ、続けよう。


「男よ、女よ、貴様の恋人を愛する気持ちはその程度か! ここで動かずして、何が恋人であるか! 所詮貴様らは、恋する自分に恋しただけではないか!」


『オォー!』


「愛すると言うのであれば、恋ではなく愛であると語らえ! 力を振るえ、立ちはだかる障害を打ち砕け! ……その呪いは、貴様らの想いを試す試練であるぞ!」


『オォーーー!!』


 うん、間違いなく応援されてるや。

 モテない奴の僻みを暴露したら、色んな所から共感の声が上がってくる。


 嬉しいような悲しいような……どの世界でもはみ出し者っているんだな。


 ちなみに、挑んだ奴は全員迎撃。

 拵えた呪いによって、この日学園内のカップルの数が大幅に減ることになった。



では、また一月後に

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話の進み方、テンポ等が良かったです。 途中から主人公の無双感が出てて続きをワクワクしながら読めました。 [気になる点] 学園入ってから、チャットがあまり出てないかなー、って思いました。 …
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