スレ69 同じ種類はAtoZで
一日遅れてしまいましたが、更新です
いい天気だった。
程良く雲が太陽を覆い、薄らと光が暖かな環境を生みだしてくれていた。
……そう、すべては過去形。
現在は荒れ狂う暴風が舞台を滅茶苦茶にしているのだから、泣きたくなる。
嗚呼、なぜこうなってしまったのだろう。
俺以外への不可視化を施した端末をこっそりと起動して、過去の映像を確認する。
◆ □ ◆ □ ◆
そう、何度も言うがいい天気だったのだ。
風紀委員を倒した俺は、なんだか向けられる視線が変わったことに気づいた。
これまではただ卑怯者だという侮蔑の視線だったのだが、今は……卑劣だの卑陋だのというもっと別の──根源的に俺を否定したい輩が増えていた。
ここで受け止められ方がプラスにならないのは、これまでの人生が物語っていたのであまり気にはならないけどな。
さて、ここからが問題だ。
あからさまに挑発するような魔力が放たれたかと思いきや、そのまま狙撃するように魔法が俺の下に向かってきた。
せっかくなのでわざとそれをくらい、舞台から落ちかけてみれば大歓声が上がる。
その歓声が向けられた先を視てみれば──彼らが居たわけだ。
◆ □ ◆ □ ◆
映像を思い返すように視てみたが、やはりなぜそうなったのかが分からないな。
うん、このあとはそのまま決闘に持ち込まれたわけだし……さっぱりだ。
「貴様、大人しく吹き飛ばされろ!」
「ハッ、不意打ちでもなければ攻撃が当たらないなんて……生徒会ってのは、風紀委員より劣った奴らだったんだな」
「貴様、風紀委員共と比べたな? アイツらなどより、俺たちの方が優れている! 貴様が一撃受けたのが、何よりの証拠だ!」
叫ぶ男の髪色は緑ではない。
風属性は定番の緑色認定なのだが、彼の色は金髪……瞳も同じ色なので、普通に親から受け継いだ色なのだろう。
腰にぶら提げた派手な装飾品が付いた剣は抜かず、同じく派手な短杖を振り回して俺に攻撃を仕掛けてくる。
「■■■■■──“風刃”!」
生みだされた風の刃。
彼のイメージが具現化されたそれは、突風のように凄まじい勢いで俺に向かってくる。
「“魔力壁”」
「む、無属性だと!?」
「何を驚いているんだよ。お前程度、闇魔法じゃなくても充分に戦える」
「貴様ぁああああぁっ!」
熱くなる生徒会役員。
名前を覚える気もないので、とりあえずは生徒会役員Aと覚えておこう。
……そう、まだ居るからな。
「落ち着けよ、アルマ。もう少し冷静に」
「──るせぇな! テメェが喰いとめてねぇからこうなってんだろ!」
「ちょ、ちょっと二人共、なんで揉めだすのよ! 決闘に集中しなさいよ!」
「…………」
風紀委員同様、決闘に四人で参加という微妙なやり方で俺と戦っていた。
まあ別に、序列持ちと蔑まれてもなっている相手だから構わないとは思うけどさ。
何よりコイツら……というよりA君は、決闘じゃなくて断罪だと堂々と言ってきたし。
あっ、最後のは無言キャラの……えっと、D君だな。
「“魔力弾”」
面倒になってきたので、一気に放つ。
だが腐っても生徒会なので、この攻撃はすべて躱したり防がれたりだ。
「おい、卑怯者! よくもまあ、人様が話している最中に攻撃できるな!」
「人様が決闘している最中に、不意打ちしてきた奴は卑怯者じゃないのか」
「黙れ! 平民の従者の分際で、人権があると思うのが烏滸がましい!」
うわー、果てしない従者差別だよ。
さすがに生徒会役員共もそうは思っていないらしく、再び討論が始まる……いや、本当に帰っていいかな?
「“魔力糸”」
細く薄く、極限まで隠密性を高めた糸をスルスルと伸ばしていく。
生みだす速度だけは隠さずとも問題ないため、数秒もしないうちに全員の首元に輪を描くよう、糸がスタンバイする。
「!」
「おっと、一人気づいたかっと!」
『~~~!』
D君だけは俺の糸に気づき、火属性の魔力でそれを燃やすことで生き残る。
だが他の三人はそうもいかず、そのまま糸によって首が絞められ……気絶した。
「…………」
「やるな。ギリギリまで隠していたはずなんだけど、どうやって気づいた?」
「…………」
「教えてもらえないか……残念。なら、体に教わるとしよう」
魔力を固めて生成した大剣。
いかにも魔法使いには似合わない武器を装備し、勢いよくD君の下へ向かう。
「…………“雷槍”」
珍しい雷属性の魔法が放たれる。
基本属性が派生した、才ある者にしか発現しない属性……俺からすれば、基本属性すら才能の一つだと思うけどな。
音速を超えた、文字通り光の速さで飛んできた雷の槍。
俺はそれを──大剣で受け流し、そのまま首に突き付ける。
「……どうやった」
「ああ、貴方なら答えましょう。魔力であれば、魔力に干渉できます。ただ足りないのは魔力の量とイメージだけ。信じればできる、その結果がこうです」
「……凄いな」
「よければ教えますよ。貴方が魔法だけでなく、武器も使う魔法戦士となるのなら」
しばらくしてD君は降参し、ブーイングの嵐を聴きながら去っていった。
さてさて、生徒会も倒したわけで……そろそろ動くことにしよう。
では、また一月後にお会いしましょう




