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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【始まる】面倒事対処 その01【準備】
4/129

スレ04 勇者とチャット



===============================


参加者:アサマサ/アキ


アキ:良いか? つまりお前の居る世界には大量の魔王が――Gのように湧き出るんだ

魔王倒してくださいとか言われても、それは害虫をすべて駆除しろっていう面倒臭い仕事の押しつけだから、断った方が良いぞ


アサマサ:まだ訓練をしろとしか言われてないからよく分からん

勉強中、やけに魔王が悪だのなんだのと言ってきたから、呼んだ理由も魔王討伐かな? とか思っていたけど……G扱いはさすがに酷くないか!?


アキ:魔王にもたくさんの種類がいてな、やれ引き継ぎだの突然変異だの転移者だの転生者だの……無駄に多いんだよ!!

俺が最初の世界で、いったいどれだけ苦労したと思うか?


アサマサ:そ、そりゃあまあ、大変だったらしいけれども

お気持ちをお察しすることはできないが、あの時の憔悴から考えると……本当に、苦労してたんだな


アキ:あのときのことは忘れられない

お前と初めて会った日のことだしな


アサマサ:……そ、そういえばアキ

スキルってどれくらいで習得できるんだ?


アキ:…………


アサマサ:あれ? 異世界人は習得が早いって聞いていたんだが……違うのか?

というか、わざわざそれを入力してまで沈黙したいことかよ


アキ:それは間違っていない

たしかに召喚された奴らはすぐにスキルを習得できる……だけどな……ちょっと待ってろ


アサマサ:ん? 用事みたいだな、分かった



===============================


参加者:ハルカ/ナツキ/アキ/フユツグ/リホ/ユキ



 ・

 ・

 ・


アキ:おいおいどうする? 朝政、スキルの習得について訊いたきたんだけど


フユツグ:そりゃあヤバいな

習得したら、次は派生の説明をしなきゃいけないのにな


ハルカ:朝政さん、成長はできませんしね


ユキ:どういうことだ?

技術の先が無いことは知っているが


ナツキ:侍、マサはね、変わることが許されないの

こっちの世界では、たとえどんな技能を学んでも……マサは、自分の才能以上のことができなかった


人間は魂の容量に必ず余りがあるわ

生きている間にそれは増えたり減ったりしてるけど、何もしなければ増えていく一方ね


その余った部分を自分の才能の強化に充て、新しくできることを増やす――それが成長だとして……それが何もない人はどうやって成長すればいいのかしら


その答えが今までのマサなの


マサは【絶対不変】に今ある容量を全部取られているうえ、普通の人なら増えるはずの容量がまったく無いの

だから、マサは才能を強化させることができない


侍がどれだけ鍛えても、マサの限界以上は成長できないわ

私たちと関わって、少しだけバッテリーみたいに容量を増やせていたけど……その分も特典を貰う分で尽きてしまったみたいだし、成長に関しては……まったく見込めないわね


リホ:長い、見辛い、もっと短く


ハルカ:簡単に纏めますと……『朝政さんは大変』、これで充分ですね


アキ:朝政報われね~


フユツグ:せめて三行にしてやれよ


 変われないアサマサは成長できない

 理由は【絶対不変】にあり

 スキルを取れてもレベルアップせず


 ──こんな感じじゃないか?


ユキ:分かりやすいな

……殿と打ち合うのはやはり無理なのか


リホ:たぶん、死んじゃう 本気でやったら

耐えるのはできるけど、勝つのは無理


アキ:話を戻すぞ

俺は、朝政にどう答えてやればいいんだ?


ナツキ:そうね……とりあえずマサも自分に人並み以上の才能がないことは自覚してるんだし、もし聞かれたら、ここは正直に派生は才能依存だと言っておいた方が良いわ


あとで有象無象にマサの心が傷付けられるよりはマシだと思うわ


ハルカ:そこは聖女様に同感ですね

無いとは思いますが、朝政さんがスキルを習得したとしても、いつまでも派生が出ないことに悩むなんてことは……避けたいですし


あっ、でも、ちゃんと成長しないのはスキルだけだと伝えてあげてくださいよ

朝政さん、そこだけ聞くと一生そのままだと思い込んでしまいますし


フユツグ:アイツ、割り切りはちゃんとしているしな


ユキ:刀は殿の行った世界にあるのだろうか


リホ:勇者殺す


アキ:よし、分かった。ちゃんと伝えるわ!

あと最後の二人、刀は存在するし、勇者は殺さなくて良い


===============================


アキ:──と言うわけだ

悪いが異世界でもお前はたぶん成長しない


アサマサ:あっ、やっぱり?


アキ:おい!

こっちはそれを言いだすためにどれだけ悩んだと思ってるんだよ!!


アサマサ:いやな~、昔親父に言われていたのを思い出してな

『お前、絶対に変われないからな

父さんと母さんであの手この手を打ったからとりあえず楽しく生きていられると思うけど……まあ、気楽にイけや』ってな

完全に最後の『いく』の意味が違っていた気がするけど、とりあえずそう言われてたし


アキ:そ、そうなのか

まあ、お前がそういう風に割り切ってくれて助かったよ

これで説明の続きができるな


アサマサ:たしか……スキルの前は魔王の話とかをしていたんだっけ?


アキ:そうだ

朝政たちが召喚されたのは魔王を退治するためなんだろう?


アサマサ:ああ、そうらしいけど……その話の流れ的に、違うってことだよな?


アキ:正解

さっすが魔王が友達にいる朝政君だな


アサマサ:……アイツ、全然俺のこと友達って思ってない気がするけどな


アキ:安心しろ、アイツの方はちゃんとお前のことを見ていたから


アサマサ:ん? そうか、なら良いんだがな

よし、気を取り直してもう少し情報を教えてくれ


アキ:分かった、何でも訊いてくれ


===============================


 この後も朝政はアキに世界や魔物など、自分が疑問に思ったことを訊き続ける。


 国が教えなかったこと、教えずに隠していたこと……それを知った結果、彼にどのような影響があるのか──アキはまだ知る由も無かった。



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