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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【募集中】面倒事対処 その03【仲間】

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スレ30 死体と書いてアンデッド



 今さらだが、死体はアンデッドと呼ぼう。

 生きていないうえに体が無い種類の魔物もいるし、とりあえず生きていないという意味だけで理解できる『アンデッド』の方が説明しやすい。


「“虚無限弾(ゼロバレッド)・(・)追尾(チェイス)”──レッツゴー」


 腐臭のするアンデッドたちには近付きたくないので、指先から大量の魔弾を放って殲滅していく。


 ナツキ辺りなら、この周辺すべてを一気に浄化するなんてこともできる、とか言いそうだが……無魔法しか使えない俺には、それはできないからなー。


 地道に倒していくしかないんだよ。


「“虚像偶像(アバター)”……回収を頼む」


 これは旅の途中、人手が欲しくて生みだした魔法である。

 魔法の仕様からか実像が無く、ノイズが体中に走っているのだが……俺の頼みたいことはできるので気にしていない。


 発動した“虚像偶像”──以降人形──は俺の倒したアンデッドの下へ向かい、そこに散らばった小さな石を拾い集めていく。


「しかしまあ、これもある意味異世界召喚のチート特典だよな」


 魔石。

 魔物を倒した際に極稀に現れるというのが一般の常識なのだが、異世界人が倒した場合はほぼ確実に出現する。


 落とした魔物によって色が付いていたりいなかったり、大きかったり小さかったりするのだが──今回は色なしの小さなヤツ。


 つまり、一番価値が低い種類の魔石だ。


「これだけで儲けることもできる。そこまで金が欲しいわけじゃないけど」


 だが、それは一部の者にとっては異なる見解である──


 たとえば錬金術師。

 魔石を束ねて大きくさせることのできる彼らには、どれだけ小さい魔石であろうともそれは宝の山と観ることができる。


 たとえば魔物使い。

 魔物は魔力を有する物を好んで食べる。

 魔石の中には魔物が蓄積していったこの濃度の魔力が含まれており、それを食すことで成長を促すのだ。


 ……その魔力の持ち主によってさらに特殊な反応を起こす場合もあるらしいが、今は置いておこう。


 そんな魔物を育てるため、魔物使いには魔石が必要なのだ。


「俺には錬金術に関するスキルは取れなかったし、魔物を飼うようなこともしていない。けど……使いようはある」


 そうして、複数の窪みが空いた杖のような物を取り出す。


「魔道具って便利だよなー。自分にできないこともできるようになる」


 人形が集めてきてくれた魔石をその窪みに嵌めこみ、少量の魔力の流す。

 すると、ボッと小さな火が先端に灯る。


「さすが、勇者の持っていた魔道具だな。無色の魔石でもしっかり機能しているや」


 色付きの魔石には、一属性の魔力のみが籠められている。

 赤なら火、青なら水……と、色と属性が対応しているためとても分かりやすい。


 無色の物よりも出る確率は低いが、その効果は無色の物を遥かに超えている。

 ……というより、魔道具の場合は属性が合わなければ機能しない物が多い。


 生活用の魔道具は、極限まで効率を高めた結果無色の魔石でも問題は無い。

 だが戦闘用となると、効率と威力を両立する為に色付きの物が必要となる。


「ちなみにこれは戦闘用、本当なら巨大な火の玉──×ラガイアまで使える魔道具だ」


 本来、そんな超絶火力を誇る魔道具を使うためには、迷宮の最下層辺りで手に入る巨大な色付きの魔石を使わなければならない。


 しかも、一度使ったらおそらく魔石の中に貯まっていた魔力すべてが尽きるうえ、修復不可能な状態まで壊れるだろう。


「だけどこの魔道具は違う……まあ、途中で壊れたらどうしようもなくなるからな」


 この魔道具は勇者(アキ)が仲間と集めた高品質の素材で作られており、かつて使われた高度な技術が要所要所に見受けられる。


 無色の魔石内の魔力を増幅し、使われた素材とその技術で属性を帯びた魔力へと変換する術式を魔道具に刻むことで発動。


 それは現代において、国宝級の魔道具でも不可能とさえ言われることだ。


「これって……メイカというチートは例外として、どれだけ魔道具に人生を費やせばここまでの物になるんだか」


 魔道具の作るのはそう簡単ではない。


 使う素材を考え、発動する術式を刻み、適正な魔石を嵌める──それだけなら簡単にも聞こえるが、絶対にそんな甘い考えでは辿り着かない領域にあるのがこの魔道具である。


「会ってみたかったな、これの製作者に」


 弟子がいるなら、きっと今のその技術は継承されているだろうか。

 勇者は製作者を老人と言っていたので、未だに生きているとは考えづらい。


 いつか、そう考えて旅の目的にするのも良いかもしれないな。


  ◆   □  移動中  □   ◆


 常に“虚無限弾・追尾”と“虚像偶像”を発動し続け、墓場の中を歩いていく。

 運が無いのも関係しているのか、未だに色が付いた魔石は発見できていない。


「……うげっ、ついに来たか」


 ああ、説明していなかったな。

 こうした迷宮(ダンジョン)では倒した魔物の素材は残らず、ただ魔石だけが残る。


 なんでも迷宮が魔石以外のすべてを回収しており、迷宮を運営するためのエネルギーにしているらしいぞ。


 だがしかし、それは迷宮で産まれた魔物だけであり、それ以外の存在は勝手が違う。

 たとえ死んでも死体はアンデッドになるまでその場に残り、倒されるまでは魔物として迷宮を彷徨い続ける。


 俺が見つけたのは、そうしてアンデッドになる途中の死体だ。


 入り口から近い場所なら専門の冒険者が回収しているが、奥地になるとそうした者の手が届かなくなり、回収できない死体が残ってしまうのである。


「まあ、死体自体はもう慣れたけどな。ご冥福祈りますよ~っと」


 魔道具の火力を少し上げて、死体に火を付けていく。


 ああ、ちなみに持ち物はある程度人形が漁り済みだ。

 ある程度なら俺より先に行動してくれるから、本当に楽なんだよな。


 火が点いた死体は、そのまま体を燃料に燃え上がっていく。

 肉が焼けていくその匂いを嗅いで……腹が減ったな、と思う俺であった。



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