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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【始まる】面倒事対処 その01【準備】
2/129

スレ02 ステータス(偽)

真実はチャットの中に



「こ、ここは……」


 再び意識を取り戻した俺の視界には、地球の服装をした複数の人たちが、中世風の偉そうな格好をした男と話し合う光景が映る。


 その周りにも、鎧を着こんだ騎士っぽい人たちが敷いてある絨毯の線に沿って並んでいたり、杖やローブを身に纏っている怪しそうな格好をした人がいたりと……まさにファンタジー感満載な状態がそこにはあった。


「あっ、最後の人が目を覚ましたみたい」


 俺が立ち上がると、こちらで会話をして男女中の一人が俺に気づいて周りに知らせる。


「……どうやら全員目が覚めたようだな。それでは、勇者様がたにもう一度説明をいたしましょう」


 椅子に座った偉そうな格好をした人──たぶん王様──が、俺たちの方を見ながらそう言ってきた。


  ◆   □  説明中  □   ◆


 だいたいは女神様に聞いた通りだ。

 初耳だったのは、魔王が送還の魔法を知っているという部分くらいだったな。


 ──あっ、それとこの国の名前がアインだということだ。


「勇者様がたの力を視させていただきたい。どうかこの水晶に手を乗せてください」


 説明が終わった王様──本当にそうみたいだ──がそう言うと、兵士が大きな水晶を五人掛かりで運んできた。


「この水晶は『開示の水晶』と言って、触れた対象のステータスの開示を行ってくれる魔道具なのだ。鑑定スキルを高レベルで発動できるのだが、その貴重さ故に国宝と呼べる至宝であるぞ」


 便利なものもあるんだな。

 あとで強奪のスキル持ちが、奪わなければ良いけど。


 アイテムから強奪、そんなパターンもあるらしいし。


 話を聞いていると、鑑定にもレベルがあることが理解できる。

 それで強奪持ちが分かればいいんだが……どうせ無理なんだろうな。


「ではユウト殿から、水晶に手を」


「はい」


 そう言って水晶に手を乗せたのは、俺と同じ高校生ぐらいの少年だ。


 付け加えることがあるとすれば……周りで彼を見ている女性の中に、彼に熱い視線を向けている者がいるということぐらいだな。

 ……チッ、リア充が!


「こう……ですか?」


 彼がそうやって掌を水晶に当てると、水晶が光り……文字が水晶に浮かび上がる──


---------------------------------------------------------

ステータス

名前:ユウト・クルス(男)

種族:【異世界人Lv1】

職業:【勇者Lv1】


HP:1000/1000

MP:1000/1000


ATK:100

DEF:100

AGI:100

DEX:100

MIN:100

LUC:100


通常スキル

(言語理解)(鑑定)(解析)(無詠唱)(魔力操作)

(武術適性)(魔法適性)(聖武具術)(神聖魔法)

(限界突破)(属性適性・全)(属性耐性・全)

(魔力回復・極)


固有スキル

【勇者】


祝福

(創造神の祝福)(地球神の祝福)

---------------------------------------------------------


『オォーーーッ!!』


 どうやら、いきなり彼らが求めていた人材が見つかったようだ。

 スキルも(──・極)だか(無詠唱)で……いかにもチートっぽいヤツばっかりである。


「さすがは【勇者】を持つお方だ。創造神様からの祝福も頂いており、能力値も最初からこの数字。素晴らしいですぞ、ユウト殿」


「は、はぁ……ありがとうございます」


「うむ。……では、次の方」


「はーい、次は私がやるよ」


 今度は彼を見ていた女の子が、水晶に手を当てる──


---------------------------------------------------------

ステータス

名前:アヤ・ミウラ(女)

種族:【異世界人Lv1】

職業:【聖女Lv1】


HP:500/500

MP:1000/1000


ATK:10

DEF:20

AGI:10

DEX:10

MIN:100

LUC:90


通常スキル

(言語理解)(鑑定)(魔力操作)(回復魔法)

(魔法適性・神聖)(魔力回復・極)(魔力感知)


固有スキル

【聖女】


祝福

(生命神の祝福)(地球神の加護)

---------------------------------------------------------


『オォーーーッ!!』


 同じ反応しかできないのだろうか……さすがに何度も続いていると飽きるぞ。


  ◆   □  測定中  □   ◆


 それからも、一人一人水晶に掌を押してステータスを開示していく。

 結局、強奪系のスキル持ちはこの場に出てこなかった。


 おそらく、隠蔽スキルも神様に願ったんだろうな……羨ましい。


 俺にも同じように偽装系のスキルがあったなら、見なくても想像が付くステータスをどうにかできたかもしれないのに。


「では、最後に……」


「は、はい。あ、朝政です」


「……アサマサ殿、手を」


 何度も見て来たから分かるぞ。

 ヒンヤリとした感触を右手で感じながら、ステータスの表示を待っていると──なんだか少しだけ他の人よりも時間を掛けて──俺のステータスが現れた──



---------------------------------------------------------

ステータス

名前:アサマサ・ワタリ(男)

種族:【異世界人Lv1】

職業:【■■使いLv1】


HP:100/100

MP:100/100


ATK:10

DEF:10

AGI:10

DEX:10

MIN:10

LUC:0


通常スキル

(言語理解)(鑑定)


固有スキル

【■■使い】


祝福

(地球神の加護)

---------------------------------------------------------


『…………』


 やはりというかなんというか……誰も俺に歓声を浴びせてはくれない。

 しかも嫌な予感は立て続けに起き、お偉い方々が集まって話しだす。


「……国王様、この者の隠されたスキル。もしや、あのスキルでは」


「ま、まだ決まったわけではない」


「し、しかし! 早く決断しなければ!」


「こ、これ! この場で決めることではないのだぞ!」


 俺にも固有スキルがある、それはとても嬉しいが……もしかしたら【端末使い】──つまりただのスマホ関係かもしれない。


 そうなると、ただのハズレ……それがバレたのか?


「と、とりあえず勇者様がた。今日はゆっくりと休んでください」


「えっ? は、はい」


 最初に鑑定を受けたユウトがそう答えた。

 その場にいたメイドの指示に従い、今日の寝床へと俺たちは向かって行く。

 ……本当、なんだかすみません。


  □   ◆   □   ◆   □


 その頃、とあるチャットアプリでは──このようなトークが繰り広げられていた。



ハルカ:朝政さんに掛けておいた保険が働きました

ステータスの偽装はバッチリです


ナツキ:本当に発動したんだか


アキ:賢者様、どんな風に偽装したんだ?

ものによっちゃあ、朝政がいきなり処刑√に逝っちまうんだが


ハルカ:えっと~、確かこんな感じです

後、聖女さんは黙っていてください

[表示される朝政のステータス]


フユツグ:おいおい賢者様

アイツを傷付けたいのか?

こんな最弱成り上がり主人公のスキルリスト見せたら、苛められちまうだろう


ナツキ:何やってんのよ賢者様

それにこの職業の隠し方、【奴隷使い】みたいに見えちゃうじゃないの


ハルカ:し、仕方が無いじゃないですか

朝政さんの職業──【神器使い】だったんですから

神だけでも器だけでも、バレるからと慌ててそこだけ隠してそれ以上時間が無かったんですよ!


アキ:朝政も朝政で何やってんだよ

いきなりその職業って、勇者でも無理だろう


フユツグ:元勇者がそれを言うと、めっちゃ実感があるよな


ハルカ:それに朝政さん

あのスキル以外は特典スキル以外何も持ってなかったんですよ

能力値もそのままです、変えてませんよ


ナツキ:なら、本当のステータスはどんな感じなのよ


ハルカ:こんな感じですよ


---------------------------------------------------------

ステータス

名前:アサマサ・ワタリ(男)

種族:【異世界人Lv1】

職業:【神器使いLv1】


状態異常:【絶対不変】


HP:100/100

MP:100/100


ATK:10

DEF:10

AGI:10

DEX:10

MIN:10

LUC:0


通常スキル

(言語理解)(鑑定)


固有スキル

【神器使い】【絶対不変】


祝福

(地球神の加護)

(異世界勇者の慈愛)(覇道魔王の慈愛)

---------------------------------------------------------



アキ:聞いてはいたが……やっぱり、朝政の親父さんとお袋さんは凄いな

ステータスは異世界に行ってもやっぱり変わらないか……姉妹たちが全部盗っちまったし


フユツグ:だけど、絶対不変まで固有級の扱いを受けてるって……

それがどんな変化になるんだか


ナツキ:……変わらないスキルが変わるはずないじゃない

本当だったのね、賢者様


ハルカ:だから言ったじゃないですか


フユツグ:そういや他の奴には連絡したか?


アキ:朝政の家族には伝えた

未来予知のスキルを持って人にわざわざ連絡する必要も無かったがいちおうな

魔技師や龍王、獣王にも伝えておいた


ナツキ:私は大商人とクソ淫魔ね


ハルカ:私は暗殺者と侍です


フユツグ:そうなると……というか、朝政の交友関係広すぎだろ!


アキ:仕方無いじゃないか、日本人は召喚されやすいんだから

ソイツらを覚えていられるのが朝政だけ、ならそいつらが何かを相談する時には、朝政しかいないに決まってんだろ


フユツグ:ハァ、アイツが一番の主人公だろ



過去編やったらそうとうな量になりそうだな。

どんだけ強そうな二つ名だよ。

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