表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【始まる】面倒事対処 その01【準備】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/132

スレ15 練習風景をダイジェスト



「さて、本日は俺の練習風景を動画撮影しておこう……自意識過剰みたいに聞こえるから何度でも言っておくが、お前らに注文されてやっていることだからな」


 訓練場の隅っこの方で、独りでぶつぶつ呟く俺って……もういろいろとヤバい気が。


 だが、練習を見ておきたいとアイツらから真面目な理由もセットで言われてしまえば、否が応でも受け入れざるを得なくなった。


 なので今回、ひたすら練習しているだけという、果てしなくつまらない動画をスマホで撮影することになった。


 ……最初は隠し撮りにしろと言われたが、どうやって本人が隠すのだろうか。


「ハッ、ハッ、ハッ!」


 これまた注文で、武器を振るうのであれば声を出せとのこと。

 このときの理由はたしか……丹田に力を籠めるとかそんなんだったっけ?


 似たような感じで、一回一回魔法の発動も言わなければならない。


「──“虚無矢(ホロウアロー)”!」

(──“虚無矢”!)


 頭の中でも詠唱を済ませていたため、発動するのは二回分。

 一の矢の陰に二の矢を放っておくことで、相手の隙を突くという攻撃のやり方だ。


 魔法を近接戦闘に組み込むための練習なのだが、やはりこれまで使っていなかった概念そのものを組み込むのは難しい。


 法則から異なるファンタジー技術なのだから、そういった点から考えなければダメだ。

 地球に無かったはずの力を、いきなり使いこなせるのは──主人公みたいなヤツだけ。


 一から丁寧に、じっくりと浸み込ませていくことで、俺みたいな凡人でもほんの少しだけそれを身に付けたと言えるようになる。


 武器の先から魔力を伸ばしたり、体から延長させた魔力に特別な効果を付与したりと、俺なりに工夫はしているが……どうにもアイツらと並び立てるイメージは浮かばない。


 地球に魔法を持ち込んだ想定で仮想戦闘を行ってみても、『甘い』の一言で躱されたり斬られたり、破壊される未来しかない。


「まあ、まだ教官が見つかっていないからというのも理由か……お前らのヤツって、全部クセが強いんだもの」


 それぞれがそれぞれ異世界で、別の法則の中で扱うために習得した技術だ。


 どれもこれも運用方法が異なっており、同じことをしているはずなのに起きる結果が全然違う……なんてものすらある。


 ──まあ、それでもいちおうは全部扱えるように扱かれたんだがな。


 そんな格闘術は狭い場所でも練習できるので、今は広い場所でしか振れない武器の練習に励んでいる。


 今さら説明する必要もないだろうが、当然魔力で生成した武器だ。


「──しゅーくちー、しゅーんどー、むーはくしゅー……」


 今度は変な歌を歌いながら、スキップで移動していく。


 ただ、その一歩ごとに『縮地』や『蠢動』や『無拍手』などの技術を織り交ぜており、何だか気持ち悪い感じ機動になっている。


 まだ『潜蛇』は完璧ではないので、両足でできたことを片足でも試していき、どんな状況でも体幹を維持できるよう練習している。


 やった理由は──これができれば『潜蛇』もいつかできるのでは? と思ったからだ。


 先ほど挙げた三つの歩行術は、基礎とも呼べる(アイツらにとって)簡単なもの。

 それよりもワンランク上な『潜蛇』は、本来それらをマスターからやるべきだった。


 ……というお説教を受けてしまったので、改めて一からお勉強中である。


 そうした修練の結果なのか、『縮地』で進めるべきも格段に伸びた。

 うん、だいたい一歩で2mぐらいだな……いやいや、これでも充分に凄いからな。


 ちなみに『天駆』という、空を走れるようになる歩行術も同じランクである。

 グネグネ動いて進むのも、空を動けるようになるのと同じくらい難しいのだ。


「よっ、ほっ、そらっ、はっ、ふぉっと」


 お次は、空中に自動発射機能付きで設置された魔法を躱す作業だ。

 威力は0なのだが、ノックバックが非常にクるので必死に避けている。


 たまに避け切れないのがあるが、それは拳に魔力を籠めて対処していた。

 その反動も結局はクるので、それを利用した避け方も工夫しなければならない。


「こういうのって、よく物語のキャラならできているしな。戦闘民族しかり、反射神経がいいヤツしかり」


 俺の場合、魔力を感知して避けている。

 たとえ視界を奪われようと、籠められた魔力で攻撃を避けられるようにするためだ。


「おっと、弾速や射撃数(?)とかの説明を忘れていたっけ?」


 放っているのは“虚無弾”で、さっき説明したノックバック特化のオプション付きだ。

 それを──100m/mimで連続十発ずつ放っている。


 ……えっ、人間には不可能だって?


 ははっ、そんなの1km/minを百発とかいう狂った所業をずっと見てれば、すぐに思わなくなるからな。


 ……最初にそれをやっているアイツを見て狂ってるって感想を言ったら、即座にやらされたんだっけ?


 逃げようと思ったのに、即捕まって練習台の前に立たされた。


「死ぬかと思いました、ガチで」


 まあ、結局死なずに生き残れたし、アイツともそれから仲良くなれたから良いんだが。

 でも、あの時に見えたのって絶対リバー・オブ・サンズと走馬ライトだった気がする。


「……ふぃいいー。よし、終わり」


 そして、他にもいろいろとやってから終わりにした。


 これ以上の撮影は必要無いし、みんなも求めていないだろうから撮影モードを終了してから、スマホを消す。


 ちょうど他の奴らも撤退してるし、まあ今日も練習を頑張ったってことで。




 この後、部屋でできる格闘術の練習を少ししてから、今日という日は終了した。

 明日は動画もないし、もう少しアイツらに秘密にしたい修業でもするかな?



===============================


参加者:アサマサ以外


 ・

 ・

 ・


ハルカ:せっかくなので、朝政さんの一日を垣間見よう……そう甘い考えで撮ってもらった私が愚かだったのでしょうか


アキ:……あれはしゃあない

みんな、他の奴らがどういうことを教えているかを知らなかったんだ

むしろ、早く気づけた方が凄いだろ


フユツグ:なんかいろいろと混ざってたな

俺の教えた縮地も、なんか無拍子と重ねてやられるとビックリだ


ナツキ:回復魔法前提の格闘術もやってたわ

脳のリミットが自由に外せてるみたい

……リミットの解除は教えてないんだけど


リホ:それ、私かも

恐怖を抜くため


ユキ:某も教えたな


ミランダ:我もだ


 ・

 ・自分が何を教えたかを詳細に説明する

 ・


アキ:ってなると、朝政の今の歩行術はあの忍者で、格闘術の基本は戦闘狂か

反射神経に関しちゃ、神速って感じかな


フユツグ:神速かー、たしかにアイツの鍛え方は異常だったしな

てか、それを教えるなよ

アレはアイツだからこそできたことなのに


ハルカ:なのに、武術系のスキルは習得できていないんですよね

今の朝政さんなら(武芸百般)ぐらいなら簡単に取れそうなんですが


アキ:ああ、見た感じなら一騎当千もできそうだったしな


===============================


 この後は、朝政の戦闘力についてで討論が始まるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ