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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【祭りの始まり】面倒事対処 その06【無数の戦付き】

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スレ129 これは知り合いの話だが

皆さん、大変お待たせしました!



 アヤさんを監視する騎士もいるため、俺と彼女は距離を取ることになった。

 だがスマホを渡すことはできたため、目的地へ向かうまでも連絡を取ることはできる。


「この街、とっても楽しそうだね」

[みたいなことがあったんだよ。まったく、勝手に人を殺したことにするなんて何を考えているんだろうね]


「今は祭りの真っ最中だからな。というか、だからこそ来たんじゃないのか?」

[いいさ、別に。ラノベを見ていたなら分かるだろう? 誰かは善意を持っているかもしれないけど、それ以外の奴は違うってこと]


「ううん、行ってほしいって言われたから来たの。理由とかは教えてくれないんだ」

[最近、いろんな場所に行かされるんだけど何かこれにも裏があるのかな?]


「あの国もあの国で、聖女様のご威光を広めたいってことなんだろうな」

[監視の一部が居なくなっている。おそらくアヤさんを囮にして、何かやりたいことが有るんだと思うぞ]


 召喚した国も国で、いろいろと企んでいるみたいだ。

 キンギル先生にはすでに連絡したので、おそらく目的を果たすことはない。


 大人しくアヤさんの護衛だけに徹していたのであれば、そこまで痛い目を見ることもなかった……ああ、それでアヤさんか。


「そろそろ学園に着くぞ。国からああしろとかこうしろとかは言われているか?」

[たとえ失敗しても、アヤさんの魔法で大抵の傷は癒せる。そうじゃなくても、治せないほどにやられたという事実を残す気だな]


「! ……と、特に言われてないよ。そ、それよりもアサマサ君、君のクラスメイトを見てみたいなー、なーんて」

[私の魔法のせいで?]


「自分から見せる気はないな、残念だが。ほぼバレているけど、異世界人じゃないって隠しているから勘弁してほしいんだ」

[勝手に肩書きを使われているんだ、別にアヤさんが悪いってわけじゃない]


「……そっか、なら仕方ないね」


 どちらの話に向けた言葉なんだか。

 少々落ち込んでしまったアヤさんと共に、学園の中へ入っていく。


 後ろの方で騎士が揉めていたが……まあ、それは無視する。

 お蔭で一時的に自由になったアヤさん、彼女を連れて迷宮の中(ダンジョン)へ向かう。


「ここからは普通に話していいぞ。迷宮は一種の別世界らしいし、アイツらが入ってくるまでは追跡とかもできないだろう」


「……うん」


「不自然にすぐ追いついてくるとか、そういうことってなかったか?」


「……うん」


 ああ、さっきの話がショックみたいだ。

 才覚溢れる能力を獲得したヤツがたまに陥るのだが、国の思惑に引っかかって自分の望まぬ諍いを引き起こす……みたいな感じで。


 アヤさんの想像の中では、そういった戦乱の未来でも見えているのかもしれない。

 実際、とある聖女なんかはどの神を崇めているかで宗教戦争になったらしいし。


 俺には才能なんてないので、これっぽっちも気にする必要は無かった。

 それに加えて体験談を無数に知っているので、知らなかったということにも陥らない。


 ただ、いつまでも落ち込んでいられるのもちょっと面倒臭……じゃなくて心配だ。

 言いづらいけれど、ポリポリと頭に触れながらアヤさんに話しかける。


「あー、えっと……その、なんて言えばいいのかな……」


「?」


「これは知り合いの話なんだが……自分のせいでって悩むよりもさ、まず自分がやれたことを考えた方がいいらしいぞ。そりゃあ、大まかに言えば思惑通りかもしれないけど、少なくともやってきたのはアヤさんだろう?」


 たとえ用意された状況であろうと、そこで選択をしてきたのは彼女自身だ。

 人間は、自分で選んで決めたことならば覚悟を決められる……故に実行してきたはず。


 どうやら分かってくれたようで、少しだけ俯いていた顔をあげてくれた。


「うん、ありがとう。ちょっと元気が出てきた気がするよ。ねぇ、アサマサ君。それってもしかして、アサマサ君の話だったり──」


「いや、俺のじゃない。さっきも言った通り知り合いの話だ」


「……あ、あれ? こういうときって、実は自分のことを言うものじゃないの?」


「リア充君じゃあるまいし、そんな人生経験積んだことないからな。いつもなぁなぁで、流されて生きてきた日本人が元気が湧くような話はできないしさ」


 それもそう……なのかな、と不思議そうに首を傾げるアヤさん。

 実体験に基づいた話だったので、そういう部分に違和感を覚えたのかもしれない。


 いづれにせよ、落ち込んでいる状態からは脱したようだ。

 ならもう少し、話を進めることができる。


「アヤさん、どこまであの国を信じる?」


「……アサマサ君も生きているし、あんまり信じられなくなっちゃったよ」


「なら、好都合。今はまだ無理だろうけど、アヤさんには真実をしっかりと知ってもらってほしい。異世界召喚、そして帰るために必要なことについて」


「! ……そっか、ここは学校だもんね。アサマサ君も調べていたんだ」


 も、ということはつまり……そういうことなんだろうな。

 俺の場合は伝手が豊富にあったが、彼女の場合は独りだ。


 アイツら同様、暗中模索で帰るために独力で奮闘していたのだろう。

 ……うん、教えられるレベルまでは、しっかりと伝えるべきだな。



それでは、また一月後に!


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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誤字脱字報告、また質問疑問なども大歓迎です。

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