スレ128 同郷との再会は再開の合図
皆さん、お待たせしました!
「…………」
「…………」
「……解散ってことで」
「ま、待ってよ!」
待ち合わせの場所に行った俺が見つけたのは、黒髪の和風美少女だった。
……うん、和風というかなんというか、純日本の顔である。
「あ、アサマサ君……だよね? お、覚えてくれてるかな?」
「アヤさん……だっけ? たしか、あのリア充君といっしょに居た?」
「リア充……ユウト君のこと? あははっ、たしかにリア充だねユウト君は。最近は、王女様と……って、そうじゃなくて!」
一人で軽快なノリツッコミをする彼女は、俺と時同じくして異世界召喚をされたリア充君……もとい【勇者】として召喚されたユウト君のクラスメイトのアヤさんである。
全然関係性は無いし、接点と言えばユウトもといリア充君絡みのことだけ。
模擬戦後も絡んできた彼を咎め、引き離してくれるのはいつも彼女だった。
「えっと、ごめんね。ちょっと変なことを聞くけど……幽霊とかじゃ、ないよね?」
「足あるぞ。あと、この世界だと霊体系の魔物の中には足が生えているのもいる」
「あっ、うん。それは知ってるよ。私も聖女として活動している時に、除霊とかを任せられたことがあったから……つまり、アサマサ君は生きていたってことでいいんだよね?」
「国がどう判断したかはともかく、俺は生きているぞ。迷宮はいろいろ頑張って、どうにか脱出した」
別に嘘を吐く必要はない。
だが、細かく説明するとセリさんの説明をしなければならなくなる。
──さすがに【魔王】を発見したという情報が国に伝わるのは、避けておきたいのだ。
「……で、そっちはいったいどうして?」
「あっ、えっとそれは──」
「おい、貴様! ……どこを見ている、貴様だぞ召喚者!」
後ろを振り返ってみたのだが、急に叫びだしたアヤさんの後ろにいた男は俺をご要望のようだ。
仕組んだものかと一瞥したが、とてもあたふたしていたので演技では無かろう。
となると……テンプレとかを鑑みて、おそらくは──
「聖女であるアヤ様になんたる暴言! それが許されるのは同じ聖人であるユウト様のみのはず……ぐっ、だいたい貴様は死んだはずだろう! なぜ、このような場所に!」
「はいはい、それを説明しようとしたんだから静かにしていてくれよ。えっと……まあ騎士さんが言った通り俺は死んだと思われているみたいだ。ただ、前にこっちに来た王女様が俺を観てたから気にしなくて良いぞ」
「え゛っ? そ、そういうのって結構危なくなるんじゃなかったっけ?」
「ラノベとか読んでた? 大丈夫だって、俺はちょいとスキルを奪われただけだし。それから無事に脱出後はここに来て、学園に入学しようとした……結果落ちて、今は従者として潜り込んだのが俺の立場ってヤツ」
鑑定していいぞ、と言って偽装したステータスを視せておく。
いろいろと言いたげの顔だったが、騎士の方に視線を向けると勝手に納得してくれた。
──特に、視線を送った意味はないのに。
「じゃ、じゃあ! こっちでのんびり生活できているんだよね?」
「まあ、そうなるな。クラスメイトは面白い奴らばっかりだし、序列なんていかにもな制度があるんだぜ。観ている分には楽しいぞ」
「そ、そうなんだ! あっ、こっちであったことも説明するね!」
「ん? ああ、知らないよりはそっちの方がいいか……ただその前に、ここに来た理由とかを教えてもらえないか? 護衛をしろとか言われてここに来たんだが」
後ろの騎士がもう殺意全開でこちらを睨んでくるが、気にせずにスルーしておく。
アヤさんはそういうことに疎いのか、まったく気づかずに手をパンッと合わせる。
「そういえばそうだね! じゃ、じゃあ、二人っきりでいかない? 私もこの街を案内してもらいたいし!」
「行けませんアヤ様! そんな男と護衛を付けずに歩かれるなど!」
「大丈夫ですよ。アサマサ君が護衛だって言いましたし、ユウト君を倒していたのも覚えているでしょう? だから、彼以上の護衛はそういないよ」
「ぐっ……では、離れた場所に移動しましょう。ですが、くれぐれも護衛は護衛らしい行動を心がけてください──いいですね?」
最後はアヤさんがいるから敬語なのだが、妙に力の入った忠告をしてから離れる騎士。
そんな彼も含めた騎士たち、一部の隠蔽系スキルでも持った奴らが気配を隠す。
残った(スキルを)使えない騎士たちがアヤさんの視界から離れると、彼女は満足そうに頷く……どうやら、ずいぶんと温い環境に居たようだな。
「そろそろ行こうか。ああ、そうだ。せっかく会ったわけだし……これをやるよ」
「えっ? これってもしかして……まさか、使えるの!?」
「そうそう……こんな感じでバッチリだ」
「いったいどうし……へっ?」
スマホを渡し、使えるということをアピールするという体で文章を打つ。
そこに[まだ見張られているから、逃れるのに協力しろ]と書かれれば驚くだろう。
「どうだ、使ってみるか?」
「う、うん……あり、がとう。えっと……こういう感じだっけ?」
女子特有の超高速タイピングで入力された[うん、お願い]という言葉に頷き、案内を再開する。
──リア充君に義理立てする気はないが、とある聖女の話をたっぷり聞いているし、助けてみるのもいいと思えたんだよな。
それでは、また一月後に!
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